第48話:冒険の醍醐味
どもどもべべでございます!
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そんなこんなでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~!
「遅い! ですわ!」
「す、すみません!」
冒険者ギルド、正門にて。
フロキアから報告は受けていただろうに、オリアンティの第一声はそれはそれは見事な唯我独尊であった。
うん、言う程遅くないんだがな? まだ昼頃だし。
「まったく、このワタクシを待たせるなんて偉くなったものですわね?」
「いや、ついさっきまでティータイムを優雅に過ごしていたじゃないか」
「お黙りなさい! 庶民とワタクシとでは、時間の使い方というものが違うんですのよ?」
「貴族の典型というものに私は詳しくないが、お前のそれは完全にアウトな発言だな」
俺もそう思うわ。
「貴族の? いいえ、貴族という肩書だからではありません。これはワタクシ! このワタクシにのみ許された発言なのですわ! オォーッホッホッホ!!」
「あ、あはは……」
「はぁ……まったく」
なんだろうなぁ、こいつは。いっそ清々しいわ。
完全に周囲の視線釘付けなのに、堂々としたもんだ。ここんとこはハノンに見習って……いや、やっぱいいわ、うん。
「それより、ハノンさん? 先日ワタクシが言った事は覚えていますか?」
「は、はい。僕に支援魔法を教えてくれるって……」
おう、そうだな。
支援魔法なら、ハノンの攻撃魔法を補ってパーティに貢献できるかもしれねぇ。オリアンティがいる間は安定してるように見えるけど、このパーティはふとしたことで崩壊しかねんからな。
問題は、どういう方向に支援を伸ばしていくかだが……。
「前は味方の防御を底上げするような魔法を例に挙げましたが、他にも魔法はありますわ。属性が水と土なら、相手の妨害にも長けていますの。そちらを覚えて味方が戦いやすいよう場作りする、という選択肢もありましてよ?」
「妨害、ですか……」
「あとは、神の奇跡程ではありませんが、回復魔法も覚えられます。とはいえ、戦闘中に使える類のものではありませんが」
「っ……そ、それでも、回復は覚えておきたい、ですっ」
「ふむ……でしたら、防御、回復、妨害。この3種を覚えて見て、どう伸ばしていくのが貴方に合うかを見てみましょう。下級の魔法は一通り覚えておいて損はないですし」
「よ、よろしおねがいしますっ」
ひとまず、方針は決まったか?
だったら、練習だな。フロキアが頷いてギルドに入るのが見えたし、訓練場を借りに行ってくれたのだろう。
「攻撃魔法は、魔力を感じた上で相手を倒すという感情の高ぶりをそのまま威力にしますが、支援魔法はそうはいきませんわ。味方の呼吸を読み、同調して必要な魔力を相手の害にならないよう調節し行使しますの。扱いに関しては雑に撃って良い攻撃魔法に比べて段違いでしてよ?」
「が、頑張りますっ」
へぇ、魔法を早々に諦めた俺にとってもこの講義は有意義だ。
特に回復に関しては、癒しの奇跡でもないのに誰かを癒すという荒業に近くだいぶん難しいらしい。ハノンは素質はあるらしいがセンスが無いと言っていたし、もしかしたらそこんとこも難しいかもしれんな。
「……。戻った」
「あらフロキアさん、どうでした?」
オリアンティとハノンが話してる間に、フロキアが帰ってきた。
準備はもう出来てるし、いつでも訓練には行けるが……。
「すまない。訓練場は既に借りられていた」
「あら、そうですの」
「私だけでも先に行って取っていればよかったな。オリアンティのお茶に付き合わされている場合ではなかった」
「ま、まぁ、仕方ないですよ……僕だって、その、時間昼からにしてもらいましたし……」
ふむ、そうなると依頼だな。
まぁ、実戦の中で覚えればいいさ。
「ヴォルさんがまた無茶なこと考えてる気がする……」
『おう、守ってやるから頑張ってみせろ』
「仕方ない、実戦で学びますわよ!」
「ひぃ……やっぱり……!」
はっはっは、無茶はさせんさ。懲りたしな。
そんな俺達を見てフロキアが小さくため息をつき、一枚の張り紙を差し出してくる。
「そう言うと思って、手ごろな依頼を持ってきた。ハノンくんも一度これを体験しておいた方が良いだろうと思ってね」
「……危なくない、依頼です?」
全員で覗きこむ。
その依頼書に書かれていたのは……
【ダンジョン探索、モンスター素材の納品】
・指定階層:3~4F
・指定ダンジョンモンスター:豚人
・指定素材:オークの睾丸(1匹分=銀貨10)
・依頼者:商人ギルド
・銅貨級、または銀貨級のいるパーティから
「ダ、ダンジョン……!?」
「そうだ。グランのダンジョンに潜り、そこで生み出される豚人を倒し、素材を納品する依頼だ」
へぇ、ダンジョンの依頼を確保するなんてやるじゃないか。
ダンジョンは危険も多いが旨味のある依頼が多い。3、4階層はアイテムこそ回収され尽しているが、そういうモンスターから剥ぎ取っての納品依頼が無くなることはない。
「このくらいの階層なら、ハノンさんを守りながら探索もできると思いますわ。オークなら睾丸以外も肉になりますし、良いのではないでしょうか?」
「あう……ダンジョン、うぅ……」
「怖いかい? 嫌ならば別の依頼にするが」
『まぁ、俺が死んだのはもっと奥の階層だ。このくらいの、しかも豚人が相手なら、この面子だと負けようはないだろう。……当然、俺も絶対油断しねぇと誓うぞ。同じ轍は踏まん』
そう、ダンジョンの怖さは環境と罠、そしてモンスターの絶妙なバランス。
俺はありえん確率の偶然で殺されたが、そんな可能性もあり得ると実体験した今、ダンジョンの階層に関係なく油断はありえん。
「……ちょ、ちょっとコワイけど……でも……」
ハノンはむずむずと体を揺らしたあと、フロキアとオリアンティ、そして俺を見る。
その目には不安があるが、何よりも奥に見えるのは挑戦の色だ。どうやら、前に俺に言った「頑張る」が、最期の背中を押したらしい。
「やり、ます。冒険者として……僕も、強くなんないと……!」
「うん、わかった。必ず守ろう」
「ま、ワタクシがいればオーク如きに後れを取りませんわ! オォーッホッホッホ!」
うん、意思は固まったな。俺もハノンの経験を積ませてやることに努めるとしよう。
なぁに、ダンジョンなら俺に任せとけ。……説得力ないか?
「そうと決まれば、臨時でスカウトを雇おうか。銅貨で丁度いい奴がいたか……」
『あ、それなら』
「? ヴォルさん?」
「ん?」
ギルドに依頼を受けに行くフロキアを呼び止め、挙手をする。
前足で自分を差し、小さく「フシッ」と鳴いてアピールした。ハノン、通訳よろしく。
「……ヴォルは、なんて?」
「えぇっと……ヴォルさん……」
いいの? というハノンの視線。気にすんな。こいつらの順応性ならさほど気にせんだろう。
苦笑しつつも、ハノンは俺の体を持ち上げて2人に向き合った。
「その……罠発見と解除なら、ヴォルさんが出来るって……」
「「!?」」
うん、ギョッとした顔が面白いな!




