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第47話:スラムへ

どもどもべべでございます!

一週間、期限のギリギリになってしまった!

申し訳ない~。申し訳ない~。

そんなこんなでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~!

 

 さて、眠気も取れた、腹も膨れた。

 集合は昼から。フロキアには伝言も頼んでるし、問題なし。

 つうわけで、俺らは2人でスラムへと足を運んでいた。パーティを組んでまだ数日だからか、こうして2人だけで活動しててもまだ違和感はないな。


「えっと、いつもの串焼き、ん~……12本……で」


「あいよ!」


 俺を頭に乗せたまま、ハノンは串焼きを買い、本数分の鉄貨を払う。

 この屋台も、ハノンが初めて買った時からすっかり常連だ。最近ではタレが美味くなって評判になって来てるし、いつかは並んでもろくに買えなくなるかもな。

 スラムのちびっ子2人とは、最初のトイレ掃除の頃から交流を絶やしていない。この串焼きは、そいつらへのお土産って訳だな。


「ヴォルさん……行きましょ?」


『あぁ、足元に気を付けて歩けよ』


「もう……森の中まで歩いてるんです、から……心配しすぎですよ」


『いや、お前の場合、人ごみの中の方が不安でなぁ』


「……否定できない……!」


 朝の露店区は賑わいもピークだ。下町の住民だけではなく、収入の入ったスラムの人達も来るからな。

 故に、ハノンがなんらかのトラブルに巻き込まれる可能性だってある。そん時はいい経験だろうが、回避するにこしたことはない。

 現に、俺らの3つ隣を歩いてたおっさんは、スラムから来たであろう子供に財布をすられているしな。あの様子だと、気付くのは何かを買おうとした時だろう。


(……まぁ、こういうのをどうにかするのも、仕事の内ではあるんだが……)


 明らかな犯罪行為。

 これを取り締まるのもまた、冒険者になったからこそ発生する義務である。

 しかしまぁ、ハノンは気付いてないし、少年もその場を後にしてしまっているしなぁ。


 ハノンにとって、スラムとの繋がりは俺に出会う前から存在する貴重なコネクション……少年の取り締まりが、そのコネクションを崩壊させる可能性だってある。

 だったら、俺は黙っておこう。組織はアルバートがどうにかするが、ハノンは俺が守るしかないしな。

 それに……スラムの子供にそこまでさせるのは、領主の責任だ。表面上は、子供の犯罪だがな。


「? どうしました、ヴォルさん……」


『いんや、何でもない』


 小さく欠伸を洩らして、頭の上で体勢を変える。これでバランスを崩しそうになったハノンは、俺の様子を見て覚えた疑問から気をそらしてしまう。

 もうっ、と小さく声を洩らし、そのままスラムへ足を踏み入れるのであった。

 ……お前がああいうのに気づけるようになったら、手取り足取り教えてやんよ。





     ◆  ◆  ◆





「シルちゃん、カイルくん……!」


「お~、来たかハノン! 最近付き合い悪いぞ~」


「お兄ちゃん、そんなことないとおもうけど~」


「わぁってるよ! むしろ頻繁に来すぎなんだよな!」


 スラムの一角にて。

 いつも通りの区画でゴミ拾いをしてる兄妹に、俺とハノンは遭遇できた。

 前に掃除した、公衆便所の近くだな。ここでもまた酔っ払いがゴミ捨てたりすっから、これらを集めて然るべき所に持って行くと、環境改善として小遣いが出る。

 スラムの子供たちにとって、重要な収入源というわけだ。


「ヴォルちゃんヴォルちゃん~」


「フギュっ」


 そして俺は、妹のシルにぬいぐるみみたいに抱きしめられる。

 これもここに来てからすっかり恒例である。


「あはは……あの、これ……お土産、持ってきた」


「うは! 家畜牛の串焼き!」


「にく~!」


「うん……家族で、食べて?」


 タレの匂いが封じられた包みを受け取り、カイルとシルは目を輝かせる。貰えるもんはごねずに貰うって精神、オジサンは大変好ましく思います。

 変なプライドよりも腹を満たす事を優先。俺が小さい頃もそうだったもんだ。


「ありがとうよハノン! 今日の晩飯にするわ!」


「持って帰って……食べない、の?」


「あ~、母ちゃんと父ちゃんが今出ててよ。すぐには食えねぇんだ」


「夜に、帰るって」


「そっかぁ」


 ふむ、その状態ですぐに食わない辺り、この2人が両親を好ましく思ってるのは間違いないな。出来た子達じゃねぇか。

 元々、冒険者になる前だったハノンを匿ってくれていたのは、この家族だ。理由も聞かず、冒険者ギルドのマスターであるアルバートに身柄を渡すまで保護していたこの人達には、頭が下がる。

 しかし、仕事に出てるって訳じゃねぇのか? なんか濁したような言い方だが……


「……お仕事、なの?」


 お、ハノンも引っ掛かったか。


「ん~にゃ、仕事って訳じゃねぇ。交代での見回りだな」


「今日は、お父さんとお母さんの番、なの」


「そっか……」


 ふむ、見回りか。

 スラムの治安を守る為に、順番で見回りを行うのは昔からの風習だな。

 とはいえ、それは夜中に、交代で行われるものだったはずだ。なんで朝から、それも夜までぶっ通しになっていやがる? そんな無理なスケジュールじゃなかったはずだ。


「つっても、一日通しなのは今回からだぜ」


「今回……交代する予定だったジェフさんが、怪我しちゃったもんね」


「そうそう。だから、朝から夕方を父ちゃんと母ちゃんが見て、夜を他の人に任すんだよ」


 俺の疑問をたまたま二人が喋ってくれた形になったな。

 しかし、朝方にも警戒が必要になってる疑問は拭えてねぇ。

 どうにも気になった俺は、ハノンに念話を飛ばして2人に聞いてもらう事にした。


「……見回りって、夜だけじゃ、なかった?」


 ゴミ拾いを切り上げ、カイル達の自宅に足を運びながら、ハノンが聞く。

 しかし、カイル達は顔を見合わせて小首を傾げている。これは、情報源としては期待できないか。


「俺らもよくはわかんねぇけどよ。ジェフさんの怪我がどうとかって言ってたよな」


「うん、あさから見回るってなったのも、今日からだもんね」


「なるべく人のいる場所にいろって言われたから、俺らあそこでゴミ拾いしてたんだ」


「そっかぁ……」


 ……きな臭ぇな。

 こりゃあ、ギルドでアルバートに報告した方が良さそうだ。


「……なんか、コワイ事になってなきゃ、良いんだけど……」


「ま、それが何かを見るための見回りだろ。知らねぇもんを怖がって止まってる余裕、俺らにゃねぇよ」


「ね~」


 はは、強いな。若い頃を思い出すぜ。

 知らない事程怖い物はなく、しかしそれで足を止める余裕もない。

 剣を取って、振り回して、初めて大丈夫だと判断できる。そういう時代が確かにあった。

 ……それで死んだ奴も、もちろんいる。危うい事に変わりはない。

 だから、ここは大人が一肌脱いでやらんといかんな。


『ハノン、昼にギルドに行ったら、このことを報告だ。良いな?』


「は、はいっ」


「何がハイなんだ?」


「あ、い、いや、ヴォルさんと話してただけ……」


「ヴォルちゃん、わたしともお話ししよ~!」


「……フス」


 子どもの好奇心に晒され、俺はげんなりして耳を伏せる。

 シルは俺を好いてくれるのはいいんだが、やたら飾り付けようとしてくるんだよな……こっ恥ずかしいったらありゃしない。

 なんとかこいつらの家で玩具になる展開は回避したい所だが……


「っ」


「……ヴォルさん?」


「ヴォルちゃん~?」


 ……なんだ?

 今、スラムの住民たちの視線の中に……敵意みたいなもんが混じってたような気がしたが。

 なんとも言えんな……ハノンの上等な装備に嫉妬した奴だって言われたらそれまでなんだが、先日アルバートに言われた件もある。

 とはいえ、もうその気配は流れてしまっているし、追おうと思っても無駄、か。


『……なんでもねぇ』


「は、はぁ……」


「ヴォルちゃん、なんて~?」


「何でもないって……」


「じゃあ気にすんな! それより、帰りに配給のスープ貰っていこうぜ! ハノンがいれば余分に貰えるだろ!」


「い、いや……冒険者には、貰えないんじゃないかな……あ、でも、その近くに屋台があれば、何かお昼ご飯買えるかも……」


「「ひゅー!」」


 結局、その後は何事も無く。

 俺らは、少し豪華になった飯をカイル達に振る舞い、昼が近づいた所でその場を後にした。

 カイル達はなんか食えって言ってたけど、明かに余裕なさそうだったしな……つまめるもんつまんで、後は丁重にお断りさせてもらったよ。

 こういうのは、最低限もらうのが、親しき仲の礼儀って奴だ。


「また来いよ! ハノンっ」


「う、うん」


「ヴォルちゃん、またね~!」


「…………」


「……似合って、ましたよ?」


「フシッ! フスッ!」


 俺の毛を布リボンで一杯にしたのは許せんがなぁ!

 

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