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第46話:出汁の香り

どもどもべべでございます!

宣言通り、グルメ回です!

起きてから書いてるので、まだご飯食べてない。だからかな……自分でもおいしそうに書けた気がする!w

そんなこんなでご投稿! どうぞお楽しみあれ~!

……さぁ、食おう!

 

「お、おはようございます、フロキアさんっ」


「あぁ、おはよう」


 食堂前で、俺達とフロキアは合流した。

 なんのかんのでフロキアも滞在一杯の間はこの宿の全てを満喫しているらしい。朝なのに血色が良く、非常に健康的だ。

 まぁ、この宿はグランアインの誇りと言っても過言ではないからな。前にも言ったかもしれんが、王都の宿にだって負けんぞ。


「今日は……スラムに行くんだったかな?」


「はい、そのつもりです~。オリィさんとは、その後に合流しようかと……」


「ふむ、では私が付いて行くのは無粋だな。旧知の仲に会いに行くんだろう?」


「あ……す、すみません、気を使わせて……」


「気にすることはない。オリアンティには私から言伝しておこう」


 相変わらず気を回してくれる奴だな。回し過ぎて起こしにまで来ようとするのはどうかと思うが。

 あれだな、最初にいけ好かない奴だって印象を受けたのは、こいつが色々と直球過ぎる性格だからだな。

 誤解されやすいんだろうな、こいつ。


「しかし、朝食は一緒に食べてくれるだろう? 私も、あと数日しかここにいられないからね」


「も、もちろんです……!」


「ふふ、今日は極東の国で覚えた料理らしい。楽しみだ」


 小さく微笑み、食堂へ促されるままにハノンは入って行った。

 扉を開けた瞬間、溢れんばかりの出汁の香り。こりゃあ……なんとも、落ち着く香りだな。

 キッチンへ目を向ければ、オゴスの旦那が鍋を睨みつけている。これはあれだな、沸騰しないように見てる時の顔だな。


「やぁアンタ達! 今日も早いね!」


「あ……お、おはようございますっ」


「おはようございます、ベローナさん」


 ベローナさんが、食堂の準備を進めている。

 しかし、その横を抜けるように、パタパタと奥へ走っていく人影が見えた。

 その影は、宿の従業員専用の扉を開け放ち、即座に侵入。扉を閉めてしまう。

 俺達がぽかんとしていると、ベローナさんがニヤリと笑った。


「初めて見れたねぇ。あれがうちの一人娘さ」


「あ、あ、最初に言ってた……」


 そういや、娘がいるとか言ってたな。俺ですら見たことなかったぞ。

 というか、あれは……その、娘だったのか。ずいぶんとこう、モッサモサしてたから、てっきり新手のモンスターかと思ったぞ。


「すまない、毛で隠れてて見えなかった」


 相変わらず直球だなフロキア!


「ハッハッハ! あの子はどうにも、極度の人見知りでね! 坊や以上なのさ。なるべく人と目を合わせないようにって、髪を伸ばして防壁にしてんだと。くせっ毛なんだから、切んないと毛玉のモンスターにしか見えないってのにねぇ」


「……人見知り……」


 お、おう、そうだったのか。

 ハノン以上の人見知りとは恐れ入る。そして、そん子が一人娘……この宿、大丈夫なのか?

 この宿が無くなるなんて事になったら、俺ら冒険者がグランアインで活動する理由の一つが消えるんだが……。


「ま、あの子がこのまま引きこもりを続けるつもりなら、いつか追い出すけどね。今はまだ様子見って所さ。……さ、飯を食っていきな!」


「ふむ、まぁそうだな。いただこう」


「あ、は、はい……」


 いつもとは違う空気で戸惑いながら、俺達はカウンター席に腰かける。

 同時に、オゴスの旦那が朝食を出してくれた。

 極東の島国、ジパで作られてるっていう伝統の料理だな。香り豊かな汁物、卵を巻いて焼くっていうややこしいが美味い奴。そして米っていうジパの主食に、野菜を何かしらで漬けた保存食。

 うん、質素に見えてどれも手が込んでるな。


「僕、極東の料理、初めてです……」


 ほう、ハノンの故郷は極東よりは手前なんだな。


「私もだ。この汁物は随分香りが良いな……調味料が独特なのか」


「ミソっていう、豆を使って作られた調味料を混ぜてるのさ。そして海藻で出汁を取る。それらが合わさって、素材の味が何倍にも引き立つ汁になるのさ」


 なるほど、今日の具は……ヌメリ茸か。本来ならば、食えるが処理が面倒くさいって理由で使われない激安食材だな。

 これを使うって事は、この汁に合うものなんだろう。ヌメリ茸が合う汁ってのは、想像できないが……さて?


「では……」


「は、はい」


「「いただきます」」


「フスッ」


 俺達は、早速いただく事にした。冷めて食い時を逃すなんてへまはしない。

 やはり全員興味があるのか最初にまずミソを使った汁に手を出す。

 スプーン(兎サイズ)を手に取り、軽く混ぜただけでも、香りが部屋に広がっていく。部屋に嗅がせるのはあまりに勿体ないと感じてしまい、たまらず一口すすってみた。


「「「っ!」」」


 こりゃあ……なんて旨味だ。

 舌の上で冷ますために、空気を含ませた瞬間、鼻に通っていく豊かな風味。そしてミソという調味料の味と出汁の味。

 それが、ヌメリ茸のエキスによってトロミがつき、舌に絡みついて離れない。口内で奉仕活動を行っているかのような味に、胸が躍るような多好感が溢れてくる。


「これは……凄いな」


「わ、わ、落ち着く味ですね……!」


「その米を一緒に食べたら、また美味いのさ」


 なるほど、と全員が米に手を出し、一口食う。

 塊の時は互いに吸着しあっていた米が、口内で唾液とミソ汁に絡み解けていく。

 噛みしめると、仄かな甘み。それが口内に残った汁の余韻と絡み、更に違った味わいを見せてくれる。

 しかもこいつ、噛めば噛むほど甘みが増していく。次第に、ミソ汁とのコラボから、米だけのソロパートに切り替わっていくかのようだ。


 ならば、この上からこれを食ったらどうなる?

 俺は、野菜を漬けた保存食に手をだした。後からベローナさんから聞いたが、キュウリという野菜らしい。

 一口齧った瞬間、じゅわりと塩気と若干の青っぽさ、そして漬けた調味料の深みが口内を押し流していく。

 これは、口の中がさっぱりするな。一度口内をリセットし、新たな味の変化を楽しむために挟むと良さそうだ。それに、単体でも美味い。


「ふむ……この卵にも、出汁が使われているんだな」


「ふわふわして、トロッとしてます……」


「あぁ、出汁巻きっていうのさ。美味いもんだろう?」


 出汁巻き。この卵にも風味を足してるってのか。

 汁や米にはスプーンがいるが、これにはいらないな。直接がぶりと行ってみる。

 瞬間、何層にも巻かれた卵の面白い食感が、歯を楽しませてくれた。ただかき混ぜて焼いた卵では、ここまでの食感は出せないだろう。

 そして、感じさせる出汁の旨味……卵本来の美味さと相まって、かなりの調和をもたらしてくれている。


 たまらず、ご飯を一口……いや、二口。

 中で絡めば米の甘みと卵の旨味が……そこにミソ汁を投入。更に口内を味の洪水で満たす。

 飲み込んだ後、ハァと息を吐いても旨味を感じさせてくれる。

 たまらず保存食で味覚をリセット。また違うパターンで味の変化を楽しんだ。


「卵は時間かかるけど、お代わりもあるよ?」


「おかわり」


「お、おかわりくださいっ」


「フシッ!」


「ははは! 待ってな食い盛り!」


 結局、俺とフロキアは米を3杯、ミソ汁2杯。

 ハノンは米2杯とミソ汁2杯、そして保存食をおかわりしたのであった。

 朝から大満足である。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんという飯テロ小説…。 表現力豊かなグルメ描写でお腹が空いてしまいます。…味噌汁飲みたい。 文章だけで美味しいと思わせる文章力に脱帽でございますよー、くそー(?) [一言] なかなか複数…
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