第43話:小さな飲み会
どもどもべべでございます!
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どうぞ、お楽しみあれ~!
ギルドから出た俺たちは、改めて3つに分割された報酬を分け合った。
場所は、盗賊ギルドの真上にあるあの酒場である。竜の息吹亭に行くと、ハノンが風呂に入りたがるからな。
それに、依頼が終われば酒場に直行ってのは、冒険者のルーチンワークでもある。
エール2杯に果実水。腹にたまらん程度の軽い小鉢が机に並んだ。なんとも質素な祝杯である。
こいつら、酒に飲まれないタイプか……ちょっと残念な気分のおっさんです。
「ん……銀貨、5枚、ですか」
「あぁ、肥蜥蜴4匹を3人で仕留めた場合は、大体この位が相場だ」
「なるほど……」
フロキアから説明を受けているが、ハノンは少々釈然としていなようだ。顔に出さないよう、果実水を飲んで誤魔化しているのが丸わかりである。
……ははぁ、さてはこいつ……
「あんなに怖い相手を倒したのに、報酬が少ない気がする……そう言いたげですわね?」
「!?」
やっぱりか。
ハノン、そいつはちと感覚がズレてきてるぜ。
『おう相棒。肥蜥蜴は危険度こそあるものの、ヤバさで言えば銅貨級がソロでも相手出来る奴だ。そう高位の存在じゃねぇ。魔物でもねぇから、必然的に報酬は銅貨級の依頼の中でも中間かそれより下の難易度なんだよ。報酬が高いわけがねぇ』
「な、なるほど……」
「ハノンくんは、ずっとソロで活動していたから、報酬は総取りだったね。私もそうだが……この依頼は最低4匹の討伐を条件に、銀貨15枚と銅貨数枚の依頼だったから、3人でわけたらそうなってしまうのも仕方ないかな」
「なるほど……僕、少し報酬を高めに思ってたんですね……」
「一人15枚だと思っていまして? オォーッホッホッホ! それは流石に強欲すぎますわ!」
まぁ、そういう依頼も無いこたぁないが、銅貨の中でも特殊だろうな。
鉄貨の依頼でもスラム清掃が特殊であったように、1人15枚……すなわち銀貨45枚の依頼なんてのも、あるにはある。
だが、それはほとんど、前準備に金がかかったり、自己責任な所がある依頼ばかりだ。それに、そういう特殊依頼はかなり目立つ。
アルバートの忠告を守ろうとするならば、あまり手を出すべきじゃあねぇな。
「す、すみません……」
ハノンは勘違いが恥ずかしかったのか、手元にある果実水を誤魔化すようにクピリと飲む。
「なんというか……今回貰った分じゃ、宿屋の宿泊費にはならないなって、思って……」
「あぁ、なるほどな……」
「あら? ただの宿屋なら、銅貨で充分じゃございませんの」
「彼が今借りている宿は、かなり高級だからね」
へぇ、生意気ですわ。と、オリアンティがむくれる。
ハノンから宿の情報を聞き出そうとして、鼻を摘まんでプニプニしならが問い詰めていた。
あうあうとされるがままのハノン。それを見て微笑み、エールを飲むフロキア。
うん、中々どうして、絵になってきたじゃないか。これが冒険者ってもんだよ。
「ふんっ、まぁいいですわ。それよりもハノンさんっ」
「は、はいっ」
「貴方の今後の指南方針ですが、魔法を支援に寄せてみますわ。自衛も出来ない攻撃魔法だけでは、不安しかありませんものねっ」
おそらく自分が借りた宿よりも高いという事がわかって、気に入らないのだろう。むくれたオリアンティが、今後の方針について語り始める。これは、俺にさっき言ってた奴だな。
ハノンに攻撃魔法の適正はない。かといって訓練しない理由にはならんが、少なくとも支援魔法がなくては役に立たないレベルだ。
だから、支援に寄せて確実にパーティに貢献する。
「ひとまず、水で味方を守る【ウォーターシールド】、石の壁で防壁を作る【ストーンウォール】は鉄板ですわ。それ以外ですと、水に含んだ癒しの力で僅かに回復を促す【アクアビット】などもあります。神官の奇跡程、回復はいたしませんが」
「っ……そ、そういうの、覚えときたいです……!」
「貴方の場合、先に攻撃手段を持っておいた方が良いと思っていたのですが、あれではね……では、その方向性でよろしいですわね?」
「はいっ」
ふむ……オリアンティの魔法を見る限り、詠唱は割と適当でイケなくもない。
俺が生活魔法を使う時には、詠唱無しで意思の力を強めて使う。
つまり、気持ちさえ乗れば、攻撃魔法を無詠唱で使えるのではないか? 実際、魔物の中にはそういう手合いもいるからな。
俺が攻撃魔法を使えるようになれば……ハノンが支援特化でも問題はなさそうだ。この体は気こそ少ないが、魔力は生前よりも多い。
有効活用できることは、していこう。
「それじゃあ、一服が終わったら早速訓練ですわね!」
「朝に訓練をしたし、依頼も終わって夕方だ。流石にここから訓練は酷ではないか?」
「覚えておける内に覚えておかないと、いつまでたってもお荷物ですわ! どうせ明日も依頼に行くのでしょう? ならば朝から行って魔法の実戦訓練をしやすいよう、今の内に覚えておいた方が良いに決まっています!」
「む……」
はは、筋が通ってる。
何より、ハノンもやる気みたいだ。
うんうんと頷いて、フロキアを見つめている。
「……だめ、ですか?」
「……少しだけだぞ。少なくとも、今言われたすべてを学ぶのは体力的に厳しいはずだ」
「っ、はいっ」
うんうん、俺じゃなくてフロキアに聞くようになってきたな。良い傾向だ。
パーティとは信頼関係だからな。こういう風に意見を出し合い、お互いを知っていくのが一番だ。
「んもぅ、全部は流石に、ワタクシだってやりませんわよっ。もちろん、休憩を挟むことは忘れませんわよ? フロキアさんはこの子に対して心配性が過ぎますわ」
「オリアンティだって、戦闘魔法を使った直後に人に教えるのは大変だろう? 本当に大丈夫なのかい?」
「む……わ、ワタクシの心配は必要ありませんわ! それはフロキアさんだってわかっておいででしょう?」
「それでも、女性だからな」
おぉ……フロキア、お前そのルックスでそんなこと言ったら、大抵の奴は堕ちると思うぞ。あのオリアンティですら頬を赤らめてテレ模様だ。
いいなぁ、俺の生前じゃあ、こんな事言ったら鼻で笑われるような面子しかいなかったのにな……。
「……ヴォルさんも、それで、いいですか?」
「フシ?」
って、俺にも聞くのかよ!
まったく……仕方ない奴だなぁ。
『魔力切れには気を付けて、自分のペースを無視するな。それならば、今からしていいんじゃないか? それと……』
少しだけ、老婆心を出しておく。
『ハノンが、フロキアを信頼して良いと判断するなら、今度お前の目的も話しておくといい。一緒に依頼を受けてみて、どう感じたかによるけどな』
「……はい、わかりました」
「む、ヴォルはなんて言ったんだい?」
「あ、えとですね……」
こうして、冒険者の時間は過ぎていく。
ハノンが訓練を選んだことで、初めての飲み会ってのは存外短い時間で終わってしまった。
俺がハノンくらいの時には、ここから朝まで騒いだもんだが……これが時代かねぇ。
ハノンが自分の境遇を話す事は、なかった。あいつなら、率先してそこんとこ突いてくれるような気がしたがな。……まぁ、それでこの町を俺ごと離れるようなことになったら、アルバートを敵に回しかねんし、妥当な判断だったかな。
フロキアさんが、オリアンティを心配している描写をつけくわえました。




