第41話:手応えと方針
どもどもべべでございます!
筆が乗ってしまった。連続投稿は気持ちいいぞい!
深夜勤務の時は、子供たちが寝てる時にポチポチできるのが理想なんだけど……エプロンシアターとか作んなきゃだし、そうもいかないんですよね。
まま、そんな愚痴はほっといて! 今日もご投稿でございますとも!
どうぞ、お楽しみあれ~!
蓋を開けてみれば、全員無傷の圧勝という形。
倒れ伏す4匹の肥蜥蜴。規模的に、4匹狩ってりゃまぁ、被害は抑えられるし依頼の名目は達成だ。
それに、これらの肉を剥ぎ取れば、報酬とは別にいい感じの金が手に入る事だろう。正当な冒険者の旨味って奴だな。
「……ハノンさん。貴方が何故、その程度の実力で冒険者になれたのかはよぉ~くわかりましたわ」
肥蜥蜴の周りで警戒している俺とフロキアの後ろでは、オリアンティがハノンにくどくどと何かしら語っている。
あいつ、まともな時はちゃんとしてんだけどな……テンション上がったら、ハノンのこと「庶民」やらなんやらと中々高圧的になるな。悪い奴じゃないのはわかるが、何のかんの貴族だなぁという気分。
「肥蜥蜴相手にあそこまでの大立ち回りができる角兎を従魔にしていたから、自分の体を守るだけでよかった……そういう事ですわね?」
「は、はい……」
「まぁ、契約獣はそもそも貴方の強さでもあるのだから、とやかくは言いませんわ。事実今までは、それで何とかなってきていたのでしょうし」
オリアンティが腕を組み、頬に手を当てる。その度に強調される人類の夢が眩いが、ハノンはお説教の気配を感じているのかそのたわわを愛でる余裕がないらしい。
「で・す・が! それがあのような腑抜けた魔法の原因であるならば! 即刻悔い改めて向上に励むべきですわ!!」
「うひぃ……!」
「いいこと庶民! 魔法には属性の向き不向きがあり、なおかつ系統の向き不向きもあります! 支援魔法を得意とし、攻撃魔法が不得手な者ももちろんいるでしょう! ですが、いくらなんでもあの魔法は酷すぎますわ!」
うん、まぁ魔法はカジってこそいるが明るくない俺でも、そう思う。
ハノンの攻撃魔法は、なんというか……うん、ヒドイな。魔力はあるのに、なんであそこまでヘロヘロなんだ?
まぁ、俺の生前は水の槍を作る事も出来なかったから、ハノンの方が数段マシという見方もできるが。
「誰かを傷つけたくないという美徳かしら? それならば冒険者などやめて神殿に入りなさい! 他者を傷つけるという慢心ではなく、誰かを守る為に討つという驕りにもシフトできないのなら尚更ですことよ!」
「は、はいぃ……! す、すみません……」
「謝るのなら、ワタクシではなく敵前に立ったあの1人と1匹になさい!」
「はいぃっ、す、すみませんでしたぁ!」
おぉう、スパルタだな……。
『ま、まぁなんだ。これから少しずつ磨いていけばいいさ』
「これから少しずつ磨いていけば良い。誰しも初めてはあるものだ」
ふむ、意見が合うなフロキア。
やはりこいつと組んだのは正解かな。
「それより、ハノンくんには解体の仕方も見せておきたい。反省会は済んだか?」
「まだまだ言い足りませんわ! フロキアさんはこの子に対して少々甘いのではなくて?」
「彼は努力している。実力が追いついてくるまで、私達がフォローすればいい」
「冒険者の稼業は薄氷の上でしてよ? 悠長なことを言っていたら、間に合わない事だってありますわ!」
うん……なんつうか、子供の教育方針で揉める両親みたいな感じになってる気がするな、
ありがたいことなんだが、ここ一応森の中だからな? あまり白熱しすぎるなよ?
「……ふう、詳しい話は後でしよう。血の匂いで獣が寄って来たら困る」
「致し方ありませんわね。森の中で長時間無防備になる訳にもいきません。……ですがハノンさん。今回は0点という事を、しっかり肝に銘じておきなさい?」
「は、はいっ!」
「よろしい、ではフロキアさんの元へ!」
「はいぃっ」
ハノンが、俺達の元へ駆け寄ってくる。
さて、解体は多少しんどい光景だが、ハノンは最初にあの最下層のトイレ掃除を経験させている。それに比べりゃあ、多少の血肉なんぞ問題ないだろう。
むしろ、これは美味い肉だからな。慣れりゃあ心躍る光景になるさ。
「角兎っ」
「フス?」
声がかかったのでそちらを見れば、オリアンティがこちらに手招きをしていた。
ふむ……何か話があるみてぇだな。
ハノンとフロキアが解体について話し始めたのを見て、俺はそちらに向かう。ハノンと目が合ったが、問題ないと頷いておいた。
「……フスッ」
「やはり、かなり知能の高い個体みたいですわね。ならば、こちらの言う事は理解できると考えてよくて?」
「フシッ」
返事をしながら周囲の警戒にあたる。
今んとこ、血に誘われた獣は近くにいない。問題なく解体は出来るだろう。
いくつかブロックに分けておけば、全部とはいかないがハノンの異次元バッグに押し込むこともできる。華奢なハノンでも、それで荷物持ちの役割を果たすことができるはずだ。
「あの子を守って今まで戦っていたのですもの、その位では驚きませんわ。……では、言います。あの子は今後、支援魔法の指導に重点を置きますわ」
「フス」
ま、だろうな。
魔法の系統の不得手、だったか? 確かにハノンの攻撃魔法は、磨いたとしても碌な威力にはならんだろう。
「ですが、魔法的火力が見込めないというのは、このパーティには非常に厄介な事だと思いますの。……貴方達、タンクには向いていないでしょう?」
「……フス」
そう、だな。
最初に圧勝なんざ言ったが、実の所かなりの綱渡りだった。
そもそも、俺の体は単なる角兎。挑発して敵を引き付ける事はできても、防御力は紙でしかない。
いくらテイマーサークレットの効果で全体的に強化された体とはいえ、回避に失敗すれば、あっさりと殺されてもおかしくないのだ。
こういう時、【身体硬化】が使えれば耐えれたりするんだが……この体に巡ってる気は、それが使える程まだ増えてねぇ。
そして、フロキアもまた軽戦士。躱し、いなし、穿つのが得意な戦い方だ。
ソロと違い、パーティ戦では敵を引き付けて真正面から戦う必要もある。駆け引きからの遊撃という形で戦ったほうがいいというのが本音であるフロキアには、勝手の違う戦闘だったろう。
2体の肥蜥蜴と相対した時、フロキアが手間取っていたのはそういう点が原因であるに違いない。
そう、このパーティには、ステータス的に純粋な【タンク】がいない訳だ。
「だからこそ、無理にでもあの子に攻撃魔法を覚えて欲しかったのですけど……あれでは少々厳しいですわ。だからこそ、【ストーンウォール】や【ウォーターシールド】辺りを覚えさせて、防御に専念させる方が、パーティ全体の生存率が向上します」
ふむ。それならまぁ、いけそうか。
俺かフロキアに防御魔法をかけて、無理矢理タンク運用する。その間に殴り勝つ。
まぁ、理想的にはそんな感じかね。
「フシッ、フシッ」
「……それでよろしく、と取ってよろしくて?」
「フスッ」
俺は頷き、オリアンティを見上げる。
結果として、ハノンの生きる目が大きい方を考えてくれてるからな。文句なんざ言うつもりもねぇ。
……ここまで意思疎通してなんだが、こいつよく、角兎なんかとマトモに会話出来てるな。
受け入れ方が半端ねぇ……懐が広いってレベルじゃねぇ気がするが?
「……わかりましたわ。では、そのように」
俺との会話はそれで終わりらしい。何も言わず、2人の元へ近づいていく。
丁度今、2体目の解体が終わったらしい。かなりの手際だな。
ここからは、ハノンにも実際にやらせるらしく、おっかなびっくりナイフを持つハノンが見えた。
……さて、警戒の時間が長くなるかね。
俺は小さく息を吐き、周囲に意識を傾けるのであった。
フロキアとオリアンティの談義を、少し白熱させるよう改稿しました。




