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第38話:魔法とステータス

どもどもべべでございます!

レビュー貰ったら連日投稿! 押せ押せで行きますよ!

というわけでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~!

 

「では早速ですが、始めてもよろしくて?」


 オリアンティが強気に笑う。始めるって言ったら、当然魔法の話だろう。

 訓練が終わった後だが……大丈夫か? ハノン。


「よ、よろしくお願いします……!」


 ハノンはそう言って、頭を下げた。

 うん、問題はなさそうだな。無理をしてるって訳でもなさそうだ。


「よろしくてよ! ワタクシを視界に入れる栄誉だけでなく、ワタクシに師事する名誉を貴方に差し上げますわ!!」


「は、はい、先生っ……!」


「オォーッホッホッホ!! 素直は美徳ですわよ庶民の子! しっかり揉んであげますから楽しみにしている事ですわぁ!」


 ……フロキア、本当にこいつで大丈夫なのか?

 俺のそんな視線に気づいたのか、フロキアはこちらを見た後肩をすくめてみせる。


「……私が知っている限り、あれは隣町のギルドで銀貨級を名乗っていた。魔法に関しての指南許可証も見せてもらった事がある。……大丈夫だとは、思う」


 指南許可証は、文字通り他人に魔法を教える許可を貰った者が持つものだ。

 冒険者ならば銅貨級から取得可能だが、ギルドからそれなりの信頼がある場合に限る。その許可証があると言うならば、まぁこちらから言うことは何もないか。


「では、庶民の子?」


「あの、ハノン、です……」


「……ふぅん? では、ハノンさんと呼んで差し上げてもよくってよ! 感謝に打ち震えながら拝聴なさい!?」


「あ、ありがとうございます……!」


「よくってよ! 素直なのはよくってよ! オォーッホッホッホ!!」


 オリアンティは、ハノンを値踏みするように見つめた後、満足気に笑う。

 いちいち高笑いすんのな……話進まねぇ……。


「オリアンティ。始めるならさっさとしてくれ」


「まぁっ、こらえ性がありませんこと。ふふ、仕方ありませんわっ」


 ナイスだフロキア。流石知り合いだけあって、奴の操縦を心得ている。


「では、ハノンさん? まずは貴方の適正属性を見ていきましょうかっ」


「あ、は、はいっ」


「ちなみに、魔力についてはもう知っておいでで?」


「その……最低限は」


「話が早いのは好きですわ! では、軽く触りだけ」


 オリアンティが、魔力の適正について説明を始める。

 まぁ、わかりやすく言ってしまうと、なんの魔法が使えるかという話しだな。

 人の中には、魔力を持つ者がいる。そしてその魔力は、人によって質が違う。

 火に適正がある者は、炎の魔法を効率よく使える。水の適正があれば、少ない魔力で水を生み出せる。当然だ。


 もちろん、適正魔力以外の魔法も使えなくはないが……それはあまりに効率が悪い。魔力の量にもよるが、生半可な量じゃせいぜい、生活魔法くらいしか使えないだろう。

 ちなみに、俺の生前は水だけに適正があった。生活魔法しか覚えられる程度の魔力しかなかったから、一通りは適正関係なく覚えたがね。


「と、いう所で、貴方の魔力の質をみていきましょうか。」


「はいっ」


「では、カードをお見せしてもらっても?」


「あ、はいっ」


 ハノンが冒険者カードを取り出し、オリアンティに見せる。

 ステータスを見たいというので、素直にそのページにしているが……まぁ、警戒心がそこそこあるハノンが見せるんだから、信用が持てたって事だろ。何も言う事ないさ。

 んで、今のハノンのステータスだが……。



《パーソナル》

 名前:ハノン  年齢:10  性別:♂


《能力値》

 筋力:★ ☆ ☆ ☆ ☆

 敏捷:★ ☆ ☆ ☆ ☆

 知力:★ ★ ☆ ☆ ☆

 精神:★ ★ ☆ ☆ ☆

 魔力:★ ★ ☆ ☆ ☆


《技能》

 従魔師    盾使い

(テイマー) (ガード)

:Lv1   :Lv1



 改めて説明すると、★の評価は冒険者としてどれだけの技量を持っているかだ。

 星が一つでもあれば、冒険者としてギリギリの最低限……前までハノンは、筋力と敏捷は冒険者として不相応だと指摘されていた。

 しかし、ここ最近の訓練で肉体面が鍛えられてきたんだろう。ようやく最低限の実力がついたと言ってもいい。

 それに、技能に盾使ガードいが増えてるのも良いな。戦士と違い、防御に念頭を置いた存在となった証拠だ。この記述があるだけで、ハノンが生き残れるかどうかの判断がつけられる。


「うぅん……弱いですわね!」


「うん、弱いな」


「フスッ」


「あぅ……」


 うん、まぁ弱いのは変わんないんだけどな!

 一般人でも、ものによっちゃあ★3とかざらにいるしな!


「ですがまぁ、この魔力量ならば2つくらいは適正があるかもしれませんわね! まずは魔法の使い方から教えていきましょうかっ」


「は、はい……! よろしくお願いします……!」


 さて、生活魔法以外の勉学は、水魔法以外俺も初めてだ。

 少しワクワクしながら、オリアンティの準備に目を向けておく。


「『土くれをここに。こねて回して固めなさい。命令ですわ、さぁ早く!』」


 彼女は訓練場の一部を使い、地属性の生活魔法、【アースクリエイト】を使用した。瞬間、盛り上がった地面が人の形を作り、大きな人形となって固まっていく。

 うん、というか……詠唱独特すぎないか!? なんでそんな高圧的なの!?

 俺のおしえてもらったアースクリエイトと全然違ったぞ……俺、握りこぶし台のサイズしか作れなかったし。


「さ、的が出来ましたわ。これを使って魔法を勉強していきますわよ!」


「は、はいっ」


 なんか一部不安になるが……あの量の魔力を使いこなせるオリアンティから学べるなら、きっとハノンも何かしらを覚えられるだろう。

 何かあったら俺がフォローしよう……そう思って、俺もまたハノンと共に、人形に近づくのであった。





    ◆  ◆  ◆





 魔法を覚えるのには、誰かに師事するのが一番いい。その人物が覚えている魔法を、効率よく教えてもらえるからだ。

 しかし、オリアンティが覚えていない魔法は、基本的には覚えられない。適性魔力がわからないハノンにとっては、結構な死活問題だ。

 だが今回、オリアンティは適正もわからない素人を教えるという話を聞いていたため、その辺りの対策の為に魔導書を持ってきてくれていた。これならば、魔導書に載っている魔法を教えることが出来るからな。ありがたい話である。


「ねぇフロキアさん?」


「なんだ」


「この子、素質はあるのにセンスがありませんわ!」


「そのようだな」


「あうぅ……!」


 およそ二刻後といった所で、オリアンティは咆哮した。

 うん、まぁ、わかる。まぁ……わかる。

 ハノンは間違いなく、素質があった。ぎこちないとはいえ、真水を生み出す生活魔法【ウォータークリエイト】や、さっきオリアンティが使っていた【アースクリエイト】を、短い時間でものにしたのだから。

 他の生活魔法も試してみたが、まだうまくは扱えない。つまり、ハノンに波長が合う属性は、水属性と地属性という事になる。


 そこまで知れた所で、オリアンティは手っ取り早く魔力を扱う方法として、攻撃魔法のやり方を教えることにした。依頼をこなしていく上で、最も使う用途が多い魔法だからな。

 ハノンの覚えの速さから見ても、威力は無いにしてもそこそこの魔法が使えると、誰もが思っていた。だが、しかし……


「ハノンくんに、攻撃は向かないのではないか?」


「うぅん、そうですわね……」


「フス……」


 攻撃魔法に関しては、てんで素人以下の結果しか出さなかったのだ。

 水を槍にして打ち出す【ウォータースピア】や、石弾を打ち出す【アースバレット】など、適性がある属性でもお寒い限りなのである。


「うぅ……せ、『清浄なる水をここに。我が敵を打ち倒す槍となりて、天翔け突き進まん』……! ウォータースピアっ」


 ハノンがもう一度、魔力を練って詠唱する。

 うん、練り方もこの時間でかなり良くなったと思う。オリアンティの教えは本物だ。

 水も問題なく空気中から生み出し、槍の形も出来た……いや先端丸ぅ!? ほぼ楕円形の水の塊!

 そして遅ぉ!? 子どもの投げる水風船でももそっと速く飛ぶぞ!


 ぱしゃんっ


 ……ハノンのウォータースピアもどきは、土人形に何度目かの行水を提供して散った。

 うぅん……これは……。


『ハノン……気持ちはわかる。俺も魔法はダメダメだったからな……』


「う、うぅぅ~……!」


「はぁ……仕方ありませんわね! 今日は魔力を使って疲れたでしょうし、ここでお開きにいたしましょう?」


「はい……ありがとう、ございました……」


 しょんぼりと肩を落とすハノンに対し、オリアンティは薄く微笑み、頭を撫でる。

 高圧的な女に見えて、その手付きは優しいもんだ。


「初日で生活魔法を2つも覚えたのですから、素質に関しては申し分ありませんわ。落ち込むことはなくってよ?」


「んっ……は、はい」


 しばらくそうして撫でていたオリアンティだったが、はたと何かを思い出し、考え込む。

 そして、扇子で口元を隠しながら、ニヤリと笑ってみせた。下から見えてるぞオイ。


「そうですわね……少し明日から、やり方を変えてみましょうか。フロキアさん、手ごろな依頼を受けてきてもらえなくて?」


「え……」


「あぁ、わかった」


 フロキアは小さく頷き、ギルドに入っていく。

 ほう、依頼ね。これはつまり……俺好みのやり方か?


「あの、オリィさん……それってつまり……」


「えぇ、明日は、実戦の中で攻撃魔法に慣れていただきますわ!」


「や、やっぱり……!?」


 うん、こいつもそっち派だったか!


「あぁぁ……僕の周り、過激派が多い……!」


「オォーッホッホッホ!! 安心なさい! ワタクシがついていてあげるのだから!」


 ハノンの悲鳴と、オリアンティの高笑いが響く。

 結局俺らは、ハノンの魔法に不安が残ったまま、依頼を受ける事になったのだった。……まぁ、戦えるのが3人いるなら、守ってやれるな!

 

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