第33話:パーティ
どもどもべべでございます!
ほわぁぁぁ!!
この話を書き終わって、さぁ投稿って思ってホームに飛んだら、レビューされてるるるるるる!?
ひええええええ!!
あきじゃさん、ありがとうございまぁっす!
そんなあきじゃさんに感謝を込めて! どうぞお楽しみあれ~!
パーティ。それは、冒険者であれば必ずと言って良い程必要な存在。
すなわち、仲間の存在だ。
どんだけ強靭な戦士だろうと、どんだけ知略に優れた魔術師だろうと、1人の力には限界がある。
なればこそ、共に肩を並べ、目的を一つとした同盟者達が集まった時、その力はあらゆる困難を打ち砕く鋼刃足り得る存在へと昇華されるのだ。
それがパーティ。それが冒険者。
(そんなパーティへのお誘いを……まさかフロキアから提示してくるとはな)
正直言って、意外だ。
こいつの元の性格は知らんが、第一印象で考えると、仲間というものを極力持とうとはしないタイプだと思っていた。
いや、もちろん今までの経緯でこいつが根っからの嫌な奴ではないというのは理解している。しかし、善人であるという点と孤高であるという点は、矛盾しない要素だ。
だからこそ、こいつは5体のゴブリンに囲まれて危機に晒されていたのだから。
「どうだろうか、ハノンくん」
「え、えぁっと……」
ハノンは突然の申し出に、しどろもどろになっている。どう答えれば良いのか、わからないというのが正直な所だろう。
視線が俺に向いて、助けを求めているようだが……俺は首を横に振って、ハノンに答えを委ねる。
『お前の好きに判断してみろ』
「っ……!」
俺が手助けするもんじゃないからな、こういう問題は。
俺はあくまでハノンの契約獣。鍛えもするし助けもするが、けして縛る存在ではありたくない。
それは、先日の失敗で堪えた。こういうのは、ハノンに選ばせるべきだ。
もちろん、相手がフロキアでなければアドバイスの一つもしたんだがな?
「その……ど、どうして、僕……なんです?」
「ふむ、どうして、か」
フロキアはわずかに考え、あっさりと答える。
「君を見ていたい。共に歩みたいから、かな」
「ぁぅ……!?」
……いや、なんでそこで告白してんのこいつ!
男と男ですけどぉ!?
「そ、それは、どういう……!?」
「む? 君という存在がとても気になるという意味だが。常識よりも数段強い契約獣を従え、ギルドマスターからも懇意にされている。なおかつ純朴で心優しく、人間性も評価出来る……背中を預けるに足る冒険者だと思えた」
あ、あぁ、そういう事ね。
びっくりした。てっきりそういう類の人種だったのかと……。
「この手の宿を利用している辺り、おおよそ鉄貨級ではない依頼を受けたのだろう。そして生存している……つまり、生きる意思も充分にあると見える。先日は君の実力を過小評価して謝罪したが、今度は君の実力を再確認して、もっとその姿を見てみたいと思った」
「あわわわ……い、いろいろ訂正したい気もしますが、その、ありがとうございます。でも、僕はそんな、フロキアさんにそこまで言っていただけるような存在ではなくて……!」
「ふむ?」
ハノンは、小さな体を更に小さくしてもじもじと揺らす。その見た目からは、とても冒険者としての気概は感じられない。
しかし、フロキアはそれでもなおハノンへの評価を落としたりはしないようだ。
「その……僕は、運よくその、ヴォルさんっていう強い角兎と契約できたっていうだけで……弱いままで……銀貨級のフロキアさんとパーティだなんて……」
……その自己評価には一喝してやりたい気分になるな。
ハノンの表面や性格は確かに臆病な子供で間違いないが、根っこは生存意欲と根性の塊だ。一皮剥けちまえば、化けるという確信がある。
でなければ、暗殺者を相手に運だけで生き延びられるもんかい。
「ふむ、そういう点ならば、私だって銀貨級とは程遠いぞ?」
「え?」
ハノンの疑問に、フロキアはなんでもないように答える。
「ゴブリン討伐に参加して、痛感したよ。ギルドマスターが私に銀貨級の地位を与えたのは、ゴブリン王を討伐するまでの防波堤が欲しかったのだと」
ゴブリン討伐作戦。そこでフロキアが見たのは、まさに地獄と言ってよかっただろう。
作戦内容的に、銀貨級のほとんどは洞窟の外か入り口付近で、溢れ出たゴブリンを抑え込む役割だったと聞く。
一番敵が多く、かつ一番死者が増えるであろう役割を、銀貨級と一部の金貨級に任せる事で、被害を最小限に抑える。アルバートがよくやりそうな手だ。
銅貨級の面子は洞窟中腹でゴブリンを袋叩きにする。そして残りの金貨級が道を切り開き、銀貨級のパーティーが暗殺部隊としてゴブリン王の元へかち込む……そういう算段だ。
当然、ソロで活動していたフロキアは、大量のゴブリン相手にぶつかり合う入り口付近の担当だったんだろうな。
「私の実力は、他の銀貨級に比べると明らかに一歩劣っていた。指揮をとっていたギルドマスターがいなければ、死んでいただろう。あげく、逃げてきた銅貨級を庇い、傷を負って戦線離脱する始末だ」
「い、いえ、でも、生き残れたのが凄い事だと……」
「君は、そう思うかね?」
「は、はい」
「ならば、同じく生き残った君も強者足り得る。違うかな?」
「ぁぅ……!」
ハノンの言質を取った事で、フロキアの頬が緩む。
こいつ……同情を誘いやがった。こういう事も出来るのか。
「銀貨級として不十分な私、鉄貨級では不十分な君。すなわち、どちらも銅貨級程度の実力だ。パーティを組むのに最適なバランスじゃないかい?」
「え、え? そ、そう……なのかな」
「あぁ、君がいてくれれば、私は助かるんだが」
……ハノンの好きにしろとは言ったし、フロキアなら大丈夫だろうとも思うが……。
一度ハノンには、相手の口車で混乱しないよう訓練させた方がよさそうだな。というかフロキア、お前の実力は銀貨級で良いと俺は思うぞ。
「もしそれでも不安なら……そうだな。君は従魔師なのだから、魔力はあるんだろう? 何か魔法を覚えているかい?」
「い、いえ……まだ……」
「ならば、私の知り合いに頼んで、魔法を教えて貰えるよう斡旋しよう。遠距離攻撃魔法を覚えれば、君の角兎の負担を減らしてやれるぞ?」
おぉ、これは素直にありがたいな。
魔法を師事する相手を探すのは、結構金がいるから後回しにしてたんだよな……俺にもコネがある訳じゃないし。
もしハノンが何かしら魔法を覚えれば、生存率は大きく変わってくるだろう。俺の体も、元の肉体より魔力が多いみたいだからな。もしかしたら、なにか魔法を覚えられるかもしれん。
「…………」
ハノンはごくりと喉を鳴らし、考え込んでいる。
もう一度ゆらゆらと浴槽から出て、体の火照りを取る様に外気に肌を晒す。
白い肌は血色が良くなった事で桃色に染まり、背中を伝う雫が、臀部の谷間へ吸い込まれていく。
思考の時間はたっぷりと。肌の色が、白桃程に落ち着くまで続いた。
「……フロキア、さん」
「なんだい」
「本当に……僕で、良いんですか?」
「あぁ、君が良い。……君が、良いんだ」
そこまで聞いて、ハノンは顔をフロキアに向ける。
頬の赤みは、照れか、火照りか、感動か。潤んだ瞳も相まって、その表情はどこか儚げだった。
しかし、隠しきれない嬉しさでその様相は塗り潰されている。どうやら、答えは決まったらしい。
「その……僕で良ければ……よろしくお願い、します……」
「あぁ、必ず君を守ろう」
こうして。
裸の付き合いを経て、俺らは仲間同士となった。
俺とハノンと……そしてフロキア。立場としてはでこぼこの面子。
後に英雄が生まれる事となるパーティの、結成秘話である。




