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第21話:御貴族様御用達

どもどもべべでございます!

ちょっと引き伸ばし過ぎかしら? でも、いわゆるボスまでの下りですからねー。お待ちいただければ幸いです。

そんかしちょっとしたあざとさをご提供! どうぞ、お楽しみあれー

 

 盗賊ギルドから出たハノンは、涙目でもうあそこは嫌だと言っていた。

 まぁ、ふとしたことで情報抜いてくるからなぁアイツ。怖いのはわからんでもない。

 しかし、これもまた勉強だ。いや、むしろこの数日で詰め込むには過剰な気がするが……状況が状況だしな。

 ゴブリン関連の依頼なんざ、早めに根元を見つけておかないといらんことになるのは目に見えてる。今回の対面は必要な事と割り切ってもらおう。


『さて、場所は特定した。後はそこへ行ってみない事にはな』


「とはいえ、貴族街になんて、僕行った事ないですよ……?」


『ん、あぁ、まぁそうだろうな。けど今のお前なら、入って行動する分には問題ないさ』


「それって、冒険者だから、です?」


 まぁ、そうだな。

 冒険者の利点は、権利を買い取った存在だという点だ。

 つまり、身分が証明されているっつう訳で。なにかトラブルに巻き込まれたとしても、冒険者許可証を見せて、持ち主で間違いないとされれば、取り調べだけで済むケースが多い。

 まぁ、明らかに黒の場合は普通に捕まるんだが……そこはそれ、その時には最大限にこちらの持ち札である、ギルドマスターのコネを最大限に利用させてもらおうじゃないか。


『と、いう訳だ。別に貴族街で宿を借りる訳でもなし、さほど気にする必要なく行動できるさ』


「で、でも僕、鉄貨級です……よ?」


『町の外に出た時と一緒だよ。冒険者になるだけでも、高い金払って資格を得てるんだ。最低ランクでも十分な保証だぞ?』


「そ、そういうもの、なのですね……」


 現在、説明しながらもハノンを貴族街まで向かわせている真っ最中だ。とはいえ、そう遠い場所ではない。

 町の北側、山脈をバックにした区画が貴族街となっている。まぁ一番攻め込まれにくい場所に領主の屋敷があり、そこを中心に貴族街になっているって感じだ。

 事実、北側の区画に近づけば近づくほど、高そうな店が増え、かつ補装がしっかりなされた道が増えている。貴族に触れる機会がこの辺りだと多いって証明だな。


 もうしばらく歩くと、更にワンランク上を目指した様子だな。外装が高級そうな建物の数々が増えてきた。街道では木々が並び、商人ギルドの本気を見せざるを得ないとばかりに、店の1つ1つが貴族様御用達になってきているのだ。

 いやはや、この町も随分様変わりしたもんだわなぁ……昔はここらへんもほとんど市場だったんだが、領主が一山当てて金が入ってからはこの有様だ。


「ふわぁ、凄いです……!」


『今のお前の装備なら、ここの連中と比べても見劣りしねぇだろうさ』


 街道を歩く人々は、一定の富裕層だ。当然身なりもいいし、中にはどこかのギルドの偉いさんという可能性もある。

 対し、ハノンの装備は上等な魔法のローブに魔法の盾だ。値段だけで言えばこいつら2、3人分くらいの価値はある。ドレスコードとしちゃ物々しいが、見下されるよりはいいわな。


『さて、あんまりボロは出さないようにな。歩いてるだけなら問題ないんだからよ』


「そ、そうは言っても、緊張しますよぉ……」


『ゴブリンの情報は出回ってないからな、まだこの界隈は平和なもんだ。そんな中で挙動不審な冒険者がいたら、明らかに何か探ってるってわかるだろ?』


「ぅ……た、確かに」


『緊張が取れないなら、何かしらで和らげてから、落ち着いて行動すべきだぞ?』


 なるほど……とハノンが口にした所で、妙な浮遊感が俺を襲う。

 まぁ、妙もなにも、ハノンが俺を抱き上げただけなんだけどな。


『……ハノン、何してんだ』


「ん……落ち着くための行動、でしょうか」


 それだけ言って、ハノンは俺の脇に手を回して抱きかかえたまま、口元を俺の後頭部に押し付ける。

 もふん、という感触を頭に感じながら、宙ぶらりんの状態……ぬいぐるみの気持ちって、こんな感じなのかねぇ。


『……これ、落ち着くか?』


「ふぁい、落ち着きまふ」


『……そっか……』


「んふ~」


『落ち着いたのは良いが、今度は威厳がまったく無いな……まぁ、いいんだけどな』


 結局、ハノンは俺を離す事無くもふもふし続け、目的地まで歩いてのけた。

 周囲の人々からの、なんかほんわかした視線が妙に痛い……変な名物にならなきゃいいんだが。

 それはそれとして、俺らの目の前には、いかにもな豪華さを誇る宿屋が見て取れる。情報にあった、【雅の極み亭】だ。

 名前からして豪奢が服着て歩いているような雰囲気だが、まさにそんな感じだな。ご満足五つ星のサービス提供を売りにしている、老舗にケンカ売るスタイルを地で行く宿屋だ。

 俺も依頼の都合で一回泊まったことあるが……どういう金回りであそこまでのサービスができんだ? ってくらいに金のかかるもてなしを受けたぞ。


「ここに、ガジルデさんがいるんでふかね……」


『3日前までは、な。店のやつらには聞いても無駄だろうからなぁ……少しこの周囲を聞き込みするか』


「入んないんでふ?」


『仮にガジルデがここに匿われていた場合、ガジルデなんていないって言われて門前払いを食らうのがオチだろうからな。んで、店のもん経由で俺らの調査がばれて引っ込まれるとお終いだ』


「なるほど……だから、周囲にガジルデさんを見たか聞くんでふね」


『あぁ……ところで、そろそろモフるのやめねぇ?』


「あとすこひ……」


『まぁ、いいんだけどよ……』


 まさかコイツ……このままで調査を開始するんじゃねぇだろうな?

 なんか不安になってきたぞ……!

 

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