第127話:祭りの続行
どもどもべべでございます!
この章は戦闘少な目でしょうなぁと、思ってみたり。
ではでは、どうぞお楽しみあれー!
ハノンとアノンは、促しに従って着席する。
領主夫妻が座るソファの、とんと真向かい。面と向かっての対談だ。
普通に考えたら、かなり破格な対応だな。貴族でもない冒険者に、盗賊ギルドという顔を持つとはいえ表向きは劇団の一員が許される対面ではない。
オリーベルのコネがあったからこそ実現した空間だ。素直にアイツには感謝しておこう。
『あの……私は何で、ココにいるのでしょう?』
『……離れるタイミングを見失ったからだろうな』
柔兎の嬢ちゃんは、もっと場違いな感じだな。
ま、俺の近くにいれば違和感は多少薄れるだろ。
「さて、私達にお話しがあったとの事ですが……まずは、感謝の言葉を受け取ってもらえないかしら?」
「感謝ですか?」
「えぇ、娘を……オリーベルの事を、守ってくれたのでしょう? 本当に、ありがとうごさいます」
「い、いえ! そんな……!」
「まったく……ナイフを持った悪漢程度で危機感を感じるなんて、あの子はたるんでいますね。やはり一度、山で修行させますか」
「えぇ……」
うん、これだけでもうオリアンティの母親だってわかるな。いかにもアイツが言いそうな事を言ってやがる。
それに、こうして面と向かっても、この夫妻には隙が見当たらない。常在戦場なんて言葉がぴったりだな。
言動含めて、なんでこいつらが貴族やってんだって気分になってくる。軍人と会話してるって言った方がまだしっくりくるぞ。
「……ほう」
「……フス」
いや、あの旦那さんに関しては、そうガチガチでもなさそうだな。目ぇ輝かせやがってよ。
「あ、あの、それよりですね……」
「あぁ、話しはオリーベルから聞いていますよ。賊は思ったよりも、早く動いたそうですね」
「はい、身内の恥です。申し訳ありません」
「良いのですよ。これまで通りに対処すれば、問題などありません」
「これまで通り……?」
へぇ、これまで通りね。
この落ち着きようから察するに、この街はけっこうな修羅場をくぐってきてるみたいだな。
「この街は、モンスターの住処を奪い取って築いた地。モンスターとの争いは絶えず、戦力を求めた結果として、暗部とも呼べる者達を集めた事もあったのですよ」
「……それが、今の盗賊ギルド……ですか?」
「そうだね。ボクの派閥は比較的新しい方で、グランアインなどの他の町との繋がりから人材派遣してきた人が多いんだよ」
「この街も文化の中心と呼ばれるようになりましたが、かつては血塗られた争いの過去を持っている。昔からこの街で尽くしてくれている者達は、力こそが正義という名残を残しています。私達との繋がりを維持しつつ、機会があれば追い落とそうとしてくる事は、初めてではないのですよ」
もちろん、毎年という訳ではありませんが。と付け加え、オリフィリアは苦笑する。
身内の毒と知りつつ、今の経済を支えるために切る訳にはいかない奴らがいるってのは、あまりに皮肉な話だな。
「じゃあ、アノンさんが最近トップになったというのは……」
「ボクらの派閥が力を付ける前に、先代が謀殺されてしまってね。この街にいる限りは仕方ない事さ。……とはいえ、ボクはまだまだ力がないから、こうして貴族様に顔を通すにも苦労するんだけどね。オリーベル様が巻き込まれてくれて助かったよ」
実りある文化の町とか謳っておきながら、蓋を開けたら修羅の国にも程があるな!
この祭りも、機を見て馬脚を露した連中を一掃するって考えが含まれて開催されているという。知りたくない裏側を知ってしまうと、素直に祭りを楽しめなくなるな……。
「今回はタールネスが動いているという話は、アノンから聞いていました。彼は長く尽くしてくれていましたが、いよいよ動き出しましたね」
「えぇ、相手の動きを見るに、パレードで一網打尽という訳にはいかないかもしれません。できればこちらも打って出たいのですが……」
「それでは、民に被害がでるかもしれません。せっかく私達という餌をぶら下げる機会なのですから、できればパレードで事態を収めて欲しいところです」
「え、餌……」
ふむ、どちらの考えも理解できるが……問題は、タールネスが裏で糸を引いてる証拠がないって事だよな。
あの捕まった三下が、情報を吐いてくれていればいいんだが……。
「……アノン様」
「ん? ……そうか、残念だよ」
どうやら、そうもいかないようだ。
「部下から報告がありました。今回捕まえた男ですが、取り調べ室で急死したとの事です」
「遅効性の毒、ですかね。情報は?」
「残念ながら」
「……証拠がなければ、速攻で片を付けるのは難しいでしょうね」
やはり俺たちには、敵を迎え撃つ選択しか残されていないらしい。
全ては、明日。決着がつくって事だな。




