第125話:器族の露見
どもどもべべでございます!
やべぇ遅刻する!行ってきます!
という訳で、お楽しみあれー!
鉄砲玉を拘束し、刃傷沙汰が発生した際に起こった周囲の混乱もようやく落ち着いてきた。本番が近かったためほとんどの人は劇場内に入っており、目撃者が少なかったというのが幸いしたな。
変態貴族が暴走していなければ、午前のレッスンが終わったタイミング……昼時に外に出ていただろう。そうなると、最悪のタイミングでこの襲撃が起こったかもしれん。
ある意味、オリーベルには感謝せんといかんな。
しかし、結果として俺らにとっては、あまり良くない方向に話が転がりそうになっていた。
「器族……ですか」
「話には聞いていたけど、ボクも初めて見るねぇ」
「うぅ……」
現在俺達は、警らの派出所にいる。襲撃者を引き渡した後、そこの個室を借りたのだ。
その個室にて、ヘナはアノンとサシャ、そしてオリーベルに囲まれてすっかり委縮してしまっていた。
領主の娘と、盗賊ギルドの関係者に、ヘナの存在がバレた。これは俺とハノン、そしてヘナにとって、よろしくない事実だ。
銅貨三人組に存在を晒したのは、連携の為に必要な事だったが、ことこの場にいる面子に対してはデメリットの方が大きい気がするな。
「ヘナさんって、言います。はい、ご覧の通り、器族の女の子です」
「ハノンくんの服の中から出てきたけど、かなり自由に形状を変えられるんだね?」
「っ……」
ついにヘナは耐えられなくなったのか、ハノンの後ろに隠れてしまう。
瞳だけが見え、残りは全て毛髪で隠れている姿をしているヘナは、パッと見ただのモンスターだ。
しかし、ハノンの背中に隠れてオドオドしている姿からは、まったく脅威を感じられない。これでも少しは人見知りもマシになってきてるが、器族がその存在を隠さないといけない都合上、改善まではまだまだかかりそうだな。
「ふむ、警戒されているらしい。まぁ仕方ないか」
「ヘナさん、貴女のおかげで助かりました。せめて、お礼だけでも受け取ってもらえないでしょうか?」
「……(こくこく)」
「よかった。ありがとうございます!」
「あの、それなんですが……ヘナさんの存在は、他の人には秘密にしていただきたく……」
「ふむ。まぁわかるよ。いかにも狙われそうな種族だからねぇ」
そう、器族は基本、遺跡などで発掘される人工生命体だ。
普通にはお目にかかれないし、こうして動いている個体だけでも、相当な価値がある。
ましてや、ヘナは人間として育てられ、冒険者としての基礎も叩き込まれている。存在が漏れれば、様々な所から狙われる事になるだろうな。
ばれたらヤバい所でも筆頭なのが、貴族と盗賊ギルド。今回は、その両名にバレちまったんだよな……。
「ハノンくん、君の服の中にヘナくんがいた。つまり、先ほどの踊りにはヘナくんが関与していたと考えていいんだよね?」
「う……そ、そうです。ヘナさんに手伝ってもらってました……」
「体に纏って、動きを矯正してもらったって所か。そうなると、明日のパレードには彼女の存在が不可欠なんだよなぁ……」
「つまりハノンさんのエロさは損なわれていないということですね! 良かった!」
この貴族に関しては、あまり心配しなくていい気がしてきた。
しかし、アノンに不安が残る。明日のパレードが終わるまでは隠しててくれそうだが、それ以降は何をしでかすかわからん雰囲気だな。
「へ、ヘナさんに何かあるようなら、僕……許しませんよ!?」
「おぉ、ハノンくんがそこまで言うのか! んん……わかったよ。君にも恩義があるからね。ボクから彼女に何かするという事はしないさ」
ふむ、まぁ当面は問題ない、か。
ハノンもひとまず安心したらしく、ヘナを撫でて落ち着かせていた。なんとも、すっかり守り守られの関係になったな。
「それに、今の問題はヘナくんではないからね」
「……そう、ですよね。さっきの人、オリーベルさんではなく……」
「あぁ、ボクらを狙っていた。つまり、裏にいるのはボクらの敵だろうさ」
ここにきて、話しは襲撃事件に戻る。
俺らを襲ってきたのは、前日にナローの所にいた三下の1人だった。あの時はあっさりと引き下がった奴が、あんな場所で斬りかかってくるなんてのはおかしい。
明かにやけになっていたしな。上からの圧力というか、脅しがあったのは間違いない。
つまりは使い捨ての駒として使われたって訳だ。明日のパレードで襲撃が起こると思っていたが、それよりも早く仕掛けてくるとはな。
「どうしましょう? 他の参加者さんの為にも、お祭りを中止にした方が……」
「私からお父様に話を通せば、それは可能でしょうが……」
「いや、ここまでの事をしでかす連中だ。ここで根絶やしにしないと、これよりも酷い事をやらかすに決まっているさ。……明日のパレードは、あいつらを根絶する絶好の機会なんだ」
確かに、必要な事ではあるんだろうが……この先も同じ襲撃が起こらんとも限らん。市民の安全も考えんといかんし、悩みどころだな。
「……でしたら、お母様にお話しを通しましょうか」
「オリフィリア様に?」
「えぇ、何か対策を講じてくれるはずです」
領主の妻に相談か。
果たして、オリアンティみたいな好人物なのか、オリーベル並みの変態なのか……どっちなんだろうな。
「ところで、なのですが」
「ん? どうしました、オリーベル様」
「私、結構ヤバい案件に巻き込まれていますか?」
「そこを理解していなかったのかい!?」
こいつ、ノリで今まで話を受け入れてやがったのか!
こいつが領地を受け継いだら、絶対にアーケンラーブが滅ぶぞ。オリアンティに頑張ってもらわんとな……。




