第123話:変態襲来
どもどもべべでございます!
今回もなんとかご投稿! どうぞお楽しみあれー!
「お待たせ、ハノンくん。件のご令嬢を連れてきたよ」
ところ変わって、レッスンルーム。
レッスン用に女装したハノンの元に、アノンがやってきた。きちんと客人は連れてきてしまったみたいだな。
まぁ、仕方ない。オリアンティなら口も堅いだろうし、さほど気にする事は無いだろう。
そう思っていたのだが……。
「初めまして! 私はオリーベル。ここ、アーケンラーブの領主を両親に持つ者です!」
「えぇぇぇ!? オリィさんじゃない!?」
「え? いえ、オリィで良いですよ? いきなり距離を詰めてくるタイプは嫌いではないので」
「い、いえ! そうではなく……! あの、オリアンティさんかと……」
「あぁ、姉を知っているのですか。という事は、貴方は外で活動をしてたのですね?」
「は、はい……」
まさか、オリアンティじゃないとは。予想外だった。
オリーベルって言ったか。見た目としては、乳が無くなって背の低くなったオリアンティって感じだな。
気の強そうな見た目はあいつとどこか似ているが、纏う雰囲気に厳格さは感じない。オリアンティよりも、社交的に生きやすそうな性格なんだろうか。
……だが、あの目は少し、気に入らんな。まるでハノンを値踏みするかのような、下衆な視線を感じるぜ。
「あ、改めまして、ハノンと言います……! うぅ、こんな格好ですみません……」
「……ふへ」
「っ!」
「あ、あの?」
「あぁいえ! お気になさらず。今日は無理を言ってごめんなさい。けしてレッスンの邪魔はしないので、私の事は空気か何かだと思って過ごしてくださいな」
今一瞬、かなり邪悪な気配を感じた気がしたぞ。
人間が用いる全ての欲望を煮凝りにしたような、そんな気配だ。
「……フス」
「おやおや、カワイイ角兎ですねぇ」
オリーベルは、ニコニコしながら俺の頭を撫でてくる。
その笑顔に、さっきのような不快感は感じられない。……気のせい、か?
「さ、オリーベル様からは気にしなくて良いとのお言葉を貰ったし、早速レッスン行くよ!」
「まぁ、私としてはお二人の関係も気になるのですがねぇ。貴女とハノンさん、そっくりですし」
「空気にお伝えする件ではないもので。……というか、お母様から聞いていらっしゃらないのですか?」
「昨日は町の宿屋で一泊しましたから、帰っていませんの。帰ったら勉強をさぼった罰が待っているのが目に見えていますからね!」
あぁ、こいつあれだな。ダメな奴だ。
問題を先延ばしにしても、結果として最悪な状況になるのは目に見えているだろうに……。
アノンもそのことはわかっているだろうが、もう気にしない事にしたらしい。肩をすくめた後に、ハノンに向き直った。
「さてハノンくん、課題は克服したのかな? 昨日の今日では無理だと思うんだけど」
「い、いえ。やれます……やらせてください」
「ふむ、わかった。手加減しないからね!」
『あの……よろしくお願いいたします』
『お、おう』
柔兎の嬢ちゃんも合流し、改めて俺とハノンのレッスンが始まった。
昨日の課題は、俺等が出してしまうというエロさの克服。なんとも間抜けな字面だが、これ一つで会場全体の雰囲気が決まると言ってもいい問題点だ。
まぁ、誰だってパレードがストリップ劇場みたいな雰囲気になったら嫌だよな。うん。
ハノンは、物覚えが良い。昨日教えてもらった振りつけを、宿でもみっちり復習して身に着けている。
しかし、俺から見てもその仕草は、見る者を誘うかのような色香を漂わせていたのは事実だ。
その対策として、俺等が用意した必勝の策……
「……これは……」
「ふむ、所々危ういですが、まぁ……昨日程ではありませんね」
それは、確実に機能していた。
間違いなく、ハノンのエロさは軽減している。しゃなりしゃなりとしていた妖しい動きは、一本の筋が通ったかのようにキビキビとしたものになっていた。
まるで、外部から矯正されたかのようだ。
(まぁ、実際に矯正してもらってるんだが……)
(流石です、ヘナさん!)
(……うぅ……ハノンさんの、体……ぴっちり……考えちゃダメ、ダメだよ、ダメ……)
そう、俺たちの秘策こそが、器族のヘナだった。
ヘナはその種族特性上、あらゆる形にその身を変形できる。
今までのように手のひらサイズのボールになる事もあれば、俺等をすっぽり包み込めることもできる。かつてはそれで、高所から落ちた俺とハノンを救った事もあるのだ。
そして、その特性を利用すれば……誰かの服の中に潜りこむ事も、可能だ。
俺らの策はずばり、ヘナにハノンの服ん中に潜ってもらって、内側から動きを矯正してもらうという内容だった訳だ。
「ストップ! いやぁ、凄いじゃないか。まるで昨日とは別人だ!」
「あ、ありがとうございます……」
「これなら本番も問題ないね! 角兎くんも発情状態じゃないみたいだし、このままを維持してもらいたいものだっ」
ちなみに、俺の発情は収まった訳ではない。
これは、一種の精神統一。気功師が己を落ち着かせるために用いる手法を使っている。
まぁ、要するに心頭滅却して性欲を抑え込んでいるんだな。
なんで昨日使ってなかったかっていうと、あれだ。めっちゃ我慢してるだけだから、絶対反動がくるんだよな。どっかで。
だが、ハノンが合格もらっといて、俺が足を引っ張る訳にもいかん。こうでもせんとこの嬢ちゃんに本能刺激されちまうから、やむを得ない選択だ。
「…………」
だが、向こうで見ているオリーベルは険しい表情だ。
なんだろうな。ハノンの踊りは完璧に近かったはずなんだが、お気に召さなかったんだろうか。
「おかしい、昨日はあんなに来るものがあったのに、今回はまるで別人……いや、本当に別人? 違いますよ……」
なんかぶつぶつ言ってる。怖い。
「ハノンさん!」
「は、はい!?」
オリーベルは、いきなり立ち上がると一気に距離を詰めてくる。自分の事空気とか言っときながら、かなり積極的だなおい。
「ちょっと脱いでもらえません?」
「!?」
そしていきなり爆弾を落としてきやがった。
おい、こいつ本当にオリアンティの妹か!




