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第113話:アーケンラーブの食生活

どもどもべべでございます!

あぁ~締め切りギリギリなんじゃぁ。

もう少し筆を早めようと思います。申し訳ない~

 

『お前は本当に、朝弱いなぁ』


「す、すみません……」


 朝食である野菜スープに硬いパンを浸しながら、ハノンが申し訳なさそうに謝る。

 部屋の外からは、祭りの喧騒が聞こえてくる。流石に早朝はそこまで騒がしくないと思っていたが、夜間に撤退していた出店が改めて並んだ途端に、祭り再開とばかりに元通りになっていた。

 そして、その喧騒の中をぐぅぐぅ寝ていたのが我らがハノン。あれだけ騒がしかったら、自然と起きそうなもんなんだがな。


「……ぐっすり……寝てた……」


『ま、今は休憩時間のようなもんだし、約束の時間には余裕があるから良いんだけどな。訓練は……町に帰ってから集中すればいいか』


「は、はい……」


 盗賊ギルドのお抱え店に顔合わせに行くのは、今日の昼だからな。寝てもらってても良かったんだが、祭りはあと3日あるんだ。寝て過ごすにはあまりに勿体ない。


「はふ、ヘナさん。そのソース取ってもらっていいですか?」


「……ん」


 自室でテーブルを囲んでいるため、ヘナも今はのびのびとした姿だ。カットされたチーズを髪の奥に差し込みながら、髪を伸ばしてハノンにソースを渡している。

 スープが染みて柔らかくなったパンに、チーズの溶け込んだソースをかけて頬張るハノン。グランアインとは毛色の違う食事を、堪能しているようだ。


 アーケンラーブの近くには川が無いからな、新鮮な魚は少ない。その分牧畜が盛んなようで、近くの牧場からチーズやミルクが入荷できるらしい。

 今食ってるそれも、俺等が昨日助けた牧場主のチーズかもしれんな。

 観光地として各地から取り入れた食材に、ミルクやチーズで食生活は豊かな町。それがアーケンラーブの特徴と言えた。


「ん、美味しいです」


「……だね……」


「フス」


 このチーズのソース、随分と濃厚だな。

 焦がさないように煮詰めてるのか。その他にも色々くわえてるんだろうが、さて何が入っているのやら。

 塩気はそこまでではないが、旨味が強い。それがチーズの風味と相まって、かなり美味い。

 各地から食材を集めるスタイルのアーケンラーブだからな。必然、素材の鮮度は低い事が多い。それを補うために、香りの強いソースを使ってるって訳だ。


「……依頼……昼から……」


「ん、そうですね」


「……それまで……何する……?」


「うぅん、昨日は劇場に行きましたし、違う所に行ってみます? ナローさんのお店とか」


 ナローの出店か。

 売り上げに貢献するのは有りだろうな。ナローは今後、良いコネになってくれそうだし。


『……ところで、荷物の中身は確認しなくていいのか?』


「荷物の中、ですか? いえ、流石にそれは……」


『見て良いって言われてたんだから、今見たっていいだろう?』


 ハノンは変に誠実だよな。他人の荷物だからって、見て良いと言われた物を見ないとは。

 ……ぶっちゃけ、俺は輸送中に見たぞ? 何かしらの危険物の可能性もあったからな。

 本当に危険は無かったから良いんだが、この点は今後警戒するよう教えんといかんな。


『お前が見ないならそれでも良いが、それでパーティ全体に危険が及ぶ可能性もある。相手を信用するのも良いが、愚直なのはダメだからな?』


「は、はい……」


「……荷物、見るの……?」


「そ、そうですね。確認してみようかな」


 食事が終わり、食器を厨房に持って行った後、3人で例の荷物を囲む。

 ハノンでも運べるくらいの大きさだが、存外中身は詰まっているらしく、そこそこ重い。

 見た目は素朴な只の箱だ。荷物に紛れてても、違和感が無いようにだろうな。


「じゃあ……開けます、ね?」


「あ、僕開けますよ」


「いや……私、開けるよ……」


「いえいえ、僕が」


『ええいまどろっこしい!』


「「あっ」」


 今更警戒して自分が開けようと主張し合うな! 紳士かお前ら!

 とりあえず危険な物ではないのはわかってるから、俺が開けてしまう事にする。このままでは永遠に終わらなそうだ。


「……服?」


「です、ね」


 そこに入っていたのは、数枚の衣服だった。

 どれもやたらと可愛らしいデザインで、女性ものだというのがわかる。中にはズボンもあるが、それでも男が着るようなものではない。


「同じデザインの物が、二組ずつ入ってるんですね」


「……カワイイ……」


「ですねぇ。あんまり実用的ではないですけど、誰かが着たらカワイイんだろうなって感じです」


 確かに、こんなデザインの服を普段使いしてる奴はいないんだろうな。

 どれもこれも、可愛すぎて周囲に浮く感じだ。俺には服の良し悪しなんぞわからんが、こんなの来てる女がいたら「おぉ?」っと視線で追ってしまうのは想像に難くない。


「なんで、ギーメイさんはこれを僕に頼んだんでしょう……」


『さぁな。わからんが、危険な物ではないから嫌とも言えん』


 アイツの事だから、何かしらの意味はあるんだろうが……俺にはわからん。

 せいぜい言えるのは、その場で中身を検めたとしても、断るような内容じゃないって事だけだな。


「……わかんない……ですね」


「ですねぇ」


 結局、なんとも言えないモヤモヤを抱えたまま、俺等は盗賊ギルドの連中と相対する事になる。

 だが、本当に中身を見ていない状態で会うよりはずっと良いだろう。


『じゃ、とりあえず昼までは時間を潰すか』


「ヘナさん、ナローさんのお店に行った後、お風呂に入りませんか?」


「……良いね……」


『本当に好きだな……』


 祭りよりも風呂を優先するのは、流石だと思えるわ。

 まぁ、昼からはまた冒険者としての活動が待っているし、そうなったらハノンが故郷の人間を見つけたいという目的にも近づく。

 おそらく、この時間がアーケンラーブで、最期の自由時間になるだろう。

 ハノンにはしっかり堪能してもらって、気を引き締めてもらわんといかんな。

 

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[一言] 朝弱いハノンきゅんきゃわわ( ˘ω˘ ) そして服とな!? もしや……!
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