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第99話:vs???

 どもどもべべでございます!

 いいぞハノンくん! 安定して戦えるようになってきたぞ!

 成長を感じるハノンくんの回。どうぞお楽しみに!

 

 俺とハノンは、街道とは逆の方向へ見回りに向かった。

 街道沿いは整備されてるから危険は少ないかもしれんが、少し離れたら茂みも多少はあるからな。追剥ブッシュワッカーぎやゴブリン達が身を隠してる可能性もある。

 とはいえ、この周辺にそういった奴らがいないのは事前に確認済みだ。目的は、もう少し先にある水場だな。


『馬の水を消費してたろ? それを補充するためにも、水場が近い所で休憩するのが大事なんだよ』


「皆さん、それを踏まえた上であそこを休憩拠点に選んでたんですね」


『だな。しかし、水場は野生動物を含めて危険な存在が多い。だから離れた場所に拠点を作って、警護を担当した奴はそこを見に行くんだ』


「なるほど……対処できそうな危険なら、人を連れてくればいいんですね」


『そういうことだ』


 水場は、休憩拠点の木が視界に入らない場所にある。少し離れた所に林があって、そこに小川が流れてるんだよな。

 俺が中腹まで石畳を敷きに行ってた時から、この辺りの小川で水を確保するのは恒例だった。逆に言うと、俺はここ以外の水源を知らないから、こっから先はあいつら銅貨三人組頼りになるな。


「……ちょっと、ごめんね」


 と、移動中にヘナが声をかけてきた。

 ハノンがポケットから取り出すと、大きくなってさらりとした髪をたなびかせる。うん……綺麗な髪なんだけど、目に見える範囲の9割が髪だからな。残りの一割眼球だし、こいつは器族の中でも異色なんじゃないかと思えてくるな。


「ヘナさん、皆さんから離れたら出てきてくれましたね」


「……まだ、他の人……怖い、です」


「僕だって結構緊張してるんだから、一緒に頑張りたいんだけど……」


「……も、もう少し、心の準備をさせて……」


「はぁ、じゃあ準備できたら挨拶しましょうね」


 うん……正直この2人は元々が人見知りだったからな。ハノンは大分改善されたしフランクな銅貨三人組と一緒だから問題なく進めてるけど。

 ただ、ヘナは現在進行形で余裕ないくらいの人見知りだからな。荒療治であいつらの真ん中に突っ込んでもいいけど……器族自体が希少だから、他の町に行く前にあんまり情報を漏らしたくないんだよな。変なトラブルになりそうな気がする。


「……あの、この下。足跡がある……」


 俺たちが林に入って少し歩いた段階で、ヘナが異変に気付く。

 流石は野伏レンジャーの技能を持ってるだけあって、野外活動はお手のものだな。俺じゃこの消えかけの足跡には気付けないわ。


『うん、小川の方向に向かってるな。待ち伏せしてる可能性が高いか』


「……人の足跡、ですよね? そしてそれが……意図的に消してある?」


「……そう、見えるよね……」


 いやぁ、ヘナが気付いてくれてよかった。

 俺とハノンだけだったら、しっかりと襲われてただろうな。

 間違いなくこの先にいるのは、追剥ぎ共だろうさ。

 こうして休憩に入った馬車の水汲み班を狙おうとしてる辺り、何らかの方法で遠見が出来る奴がいるだろうな。


『んじゃ、あいつら呼びに行くか』


「え、その、気付いたんだから、無視したりとか……」


『いや、冒険者にとって追剥ぎの駆除は義務に近い。こいつ等はモンスターや野生動物と違って、意図的に悪意を持って誰かを襲うからな。見つけたら排除が基本だ』


「ぁぅ……」


 追剥ぎ共の身柄を町に突き出せば金も貰えるし、賞金首なら特徴になるものだけでもいい。どの町でも共通してるくらいには推奨されている。

 だからこそ……銅貨三人組を呼んで、狩らせてもらおうじゃねぇか。





    ◆  ◆  ◆




「ふ、防ぎました……!」


「よくやった! うおぉぉぉらぁ!」


 ガキィン! という音が響き、火花が散る。

 追剥ぎの振り下ろした手斧を、ハノンが盾で防いだ音だ。

 ハノンに守られた銅貨組の戦士ファイターが、両手剣の腹で手斧の男を吹き飛ばす。

 そいつは思い切り吹き飛び、木にぶつかって沈黙した。


「くそったれ! お前ら絶対前通すなよ!」


「親玉が魔法使う気だ。速攻かけろ!」


 銅貨組の斥侯スカウトが大きく腕を振るい、短刀で取り巻きの数人を巻き込んだ斬撃を繰り出す。視線の先には追剥ぎの親玉がいるんだが、確かに前衛を固めてる下っ端達に指示を出しながら呪文を唱え始めてるな。


「『清浄なる水をここに。我が敵を打ち倒す槍となりて、天翔け突き進まん』……【ウォータースピア】っ!」


 そんな親分を狙って、ハノンが魔法をぶっ放す。指示を出してた分、ハノンの方が一手早かったようだ。

 オリアンティとの魔法訓練の成果で、ハノンの魔法は3つまでの水球を同時に撃てるようになった。ウォータースピアは種別的に回避が可能な魔法なんだが、数を撃てば当然避けづらい。


「ぐあぁ!」


 とはいえ、相変わらず威力は低いんだけどな。装備を固めた人間相手じゃ、急所にでも当らない限りせいぜい怯ませる程度のものだ。

 だが、呪文を唱えている魔術師にとってはその一瞬の怯みが命取りだ。


「っ……『大地の力をもって――――」


「フッシッ」


「!?」


 その短い時間を使って、息を潜めてた俺が親玉の背後に姿を現す。

 跳躍して相手の後頭部に狙いを定め、回し蹴り。

 声すら上げる事すらできないまま、親玉の意識は刈り取られた。


「『抗う者の力を奪い、拘束せよ』……【バインド】!」


 最期に銅貨組の魔術師が拘束魔術を使い、まだ行動しそうな奴を縄で雁字搦めにしてやった。

 追剥ぎ共の総数は6人。今の段階で親玉と手斧が沈み、実質まともに戦えるのは範囲攻撃を食らった3人。

 俺らの人数差を見れば、ここから逆転は難しいってのは……わかるよな?


「こ……降参する!」


「頼む! 命だけは!」


「う、腕が……腕がぁ……」


 うんうん、なんともスムーズな展開だったな。

 待ち伏せしてるつもりが、逆に不意打ちを食らえばそりゃあ総崩れにもなるだろう。銅貨組を呼んでこっそり近づき、相手が気付く前に一気に片を付けにいった訳だ。

 最初に銅貨組の魔術師と斥侯が範囲魔法をぶちかました結果、反撃できたのは手斧だけだったという悲しい展開。だが、親玉が魔術師だったからな。まともにかち合ってたら絶対面倒臭い展開になってただろうから、これは本当に最初の運びが功を奏した。


「はぁ……はぁ……ど、どうします?」


「そうだなぁ、逃がす選択肢は無いとして……」


「かといって、連れて行くのもここからアーケンラーブだろ? まだ遠いぜ」


 とりあえず、武器を落として降伏した3人を戦士がロープで拘束していく。

 まぁ、確かにここから追剥ぎ達を連行していくのはなぁ。水とかだけでも消費しないといけないし。


「けど、ハノンくん本当に凄いわねぇ。味方を守って魔法撃って、契約獣がボスを倒しちゃうんだもの」


「だな! めっちゃやりやすかったぞ!」


「あ、ありがとうございます……」


「おい、お前らも手伝えって!」


 うんうん、ハノンがここまでやれるようになったのは本当に嬉しい。最初は短剣を防いだだけで盾を取り落としてたからな。

 ようやく、同業者から認められる言葉をかけてもらえるようになった。良かったなハノン。


「……フス?」


 そんな感じに感慨にふけっていたが、拘束されている親玉を見てふと思い出す。

 そういや、この親玉の魔術師、えらく上等な魔術師用の杖持ってるな。趣味の悪い独特な加工……うん、生前に手配書見た覚えがあるぞ。


『ハノン、ハノン』


「はい?」


『こいつ、賞金首だ。遠見の魔術で獲物を待ち構える厄介な連中だぞ』


「そ、そうなんで――――」


『馬鹿、俺から教えてもらったって雰囲気出すな。怪しまれるからっ』


「は、はいっ」


 という訳で、その旨をハノンから三人組に伝えてもらう。

 その結果……


「「「よし殺そう(殺しましょう)」」」


「こ、怖い……!?」


 うん、まぁそうなるよな。

 結局、俺らは追剥ぎ達を順番に丁寧にコロッとやることにした。

 拘束された連中は思い切り悲鳴をあげていたが、まぁこれまでに何人もやってる奴らだしな。慈悲はない。

 ハノンには血みどろな作業をやらせたくなかったようで、三人組が空気を読んで全部やってくれた。一回はこういうのも経験させたかったんだが……まぁしょうがないな。


「よーし、臨時収入ゲット!」


「水汲みの過程で起こった戦闘だし、危険手当にもなるわよねぇっ」


「索敵に戦闘、大活躍だなハノン!」


「あ、ぅ……は、はい……」


 おうお前ら、血に染まった状態でいつものテンションを垂れ流すな。ハノンの人見知りがぶり返したぞ。

 しかし、銅貨組が即席な連携に長けた面子だったのもあるが、俺の新技をお披露目するまでもなく終わったな……まぁ、安全に対処できるならそれでいいか。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 賞金首ぃ! いやっふー!賞金げっとだぜ! たしかにヘナちゃんのこと紹介するのは一苦労だろうなぁw
[一言] ハノンきゅん……、強くなって(ほろり)。 そして賞金首は遠慮なくコロッとやるあたり、この世界が良い意味で殺伐としているのが改めてわかってよかったですw あと、100部分到達おめでとうございま…
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