祭りと言えば御輿に喧嘩。
諸君、私は休暇が好きだ。
諸君、私は休暇が大好きだ。
土曜が好きだ。日曜が好きだ。祝日が好きだ。祭日が好きだ。振替休日が好きだ。夏休みが好きだ。年末年始が好きだ。有休が好きだ。代休が好きだ。
幼稚園で小学校で中学校で高校で高専で専門学校で大学で大学院でバイト先で会社で
この日本に存在するありとあらゆる休暇が大好きだ。
◇◆◇◆
「おまたせ有利君」
奏ちゃんがそう言いながら、焼きそばの入ったパックを俺に手渡す。
「サンキュー、あ、そろそろ御輿が通るみたいだから、食べながら来栖さん見ようぜ……というわけで、龍之介椅子出して」
「ほらよ」
龍之介に、店の端に椅子を二つ出してもらいそこに座って焼きそばを食べる。
「あ、来たよ」
食べはじめて少しすると、奏ちゃんがそう言って左を指差す。
「本当だ」
奏ちゃんの指差す方向に目を向けると、御輿が担ぎ込まれてくるのが見えた。
さて、来栖さんはどこにーーって、神輿の上か!
来栖さんを探そうとするまでもなく、神輿の上という一番目立つ所でTシャツの上に半被を着て、仁王立ちをしている来栖さんの姿が目に入った。
「鉢合わせの相手も来たな」
そう言い、来栖さんとは反対方向に目を向ける龍之介。
「……鉢合わせ?」
なんだそれと思いながらも、反対方向に目を向けるともう一つの御輿を担いだ集団がやって来るのが目にとまった。
「ん? 上に乗ってるのは……」
知ってる顔だなぁ。
……なんで麗奈さんが御輿の上に乗ってるんだろう。
五メートルほど離れた位置で止まる麗奈さんの御輿。
ところで、御輿を担いでるのって、どうして怖そうな人達ばかりなんだろうな。
「お前ら! 気合い入れて行けよ!」
神輿の上から、担いでいる女性達に向かって声を張り上げて言う来栖さん。
「「お嬢ぉぉーーーー!」」」
……なんでお嬢?
「準備はいいかー!」
麗奈さんも、神輿の上からそう声を張り上げる。
「「「おおぉぉぉぉ!」」」
それに答える御輿を担いだ女性達。
そして、威勢のいい掛け声とともに神輿を斜めに傾け、睨み合う。
「いけぇぇ!」
神輿の上に乗っている来栖さんが合図を出すと一斉に走りだし、待ちの姿勢をとっている麗奈さんの御輿と激しくぶつかる。
その瞬間、御輿に乗っている二人の胸は激しく揺れ、地響きのような独特の鈍い音が響き、周囲からは興奮の声と拍手が巻き起こり、祭りのボルテージは一気に上昇する。
「って、まさかの喧嘩御輿か!?」
普通に担ぐんじゃないのかよ!?
龍之介の言ってた鉢合わせって、喧嘩御輿の事だったのか。そしてあの胸の揺れ方は……ノーブラだな。
わっしょいの掛け声に合わせて、両者の御輿が激しくせめぎ合う。
「すげえ……」
喧嘩御輿は始めて見るけど、迫力満点だな。圧巻の一言に尽きるよ。
時間にしては一分にも満たないが、激しい攻防が続いた結果来栖さんの御輿がバランスを崩しそのまま押し出される形となって勝敗が決まった。
「すごかったね」
御輿が引き上げていくのを見ながら、そう呟く奏ちゃん。
「うん、すごい迫力だった」
俺もそれに頷く。
「さて、一緒に他のところも見て回ろうよ」
「そうだね」
立ち上がってそう言う奏ちゃんに頷き、二人で祭りの続きを楽しんだ。
それが夏休みの思い出だ。
諸君、私は休暇を……地獄の様な休暇を望んでいる
諸君、君達は一体 何を望んでいる?
「「「「休暇! 休暇! 休暇!」」」」
よろしい ならば休暇だ。
よし、夏休みをエンジョイするぜぇぇぇぇ!
追試あるけど。




