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水泳や陸上の標準記録突破すれば次へ進むシステムいいよね

バスケとかテニスとか勝者しか進めないって言うんじゃなくさ、一定水準まで達したら誰でも次に行けるよーって感じがいいんだよね。


◇◆◇◆



「よし、とりあえず各自自由にアップだ」


 大会の行われる会場に入ると、水着に着替えて集合し各自でウォーミングアップを始める。


 人が多く、集団で行動するのは困難なので俺も例に習って一人でアップを始める。


 しかし、本当に男が少ないんだな……ざっと見渡しても選手は女子ばかりで男の選手は数える程とまではいかなくとも、かなり少ない


 その中でイケメンたるこの俺が注目を浴びるのは、至極当然ともいえる結果なんだけど……


「ヤバイ……超かわいい子いるよ」

「去年は居なかったよね……一年生かな?」

「ちっちゃい……」

「メアド交換できないかな」


 集中できねぇよ……。

 つーか、ちっちゃいって言うんじゃねーよ! 小さくないわ!


 俺は小さいと言った女子に抗議の目を向ける。


「ねえ、なんかこっち見てるよ」

「どうする? 話しかけてみる?」


 

 くっ、ダメだまったく効果がない……よし、見てろよ、だったら俺の泳ぎで魅了してやる。


 俺は周りの視線が気になりながらも、アップに集中する。


 どうだ? 俺の泳ぎはよ! ほらほら噂しろよ、ほらほらほら……って、誰も見てねえのかよっ!?


 泳ぎ終わって周りを見ると、皆アップに集中しており誰もこっちを見ていなかった。


 なんか釈然としないけど、お陰でアップに集中できるからいいんだけどさ……うん、いいんだけどさ……もっとこうさ。


 なっ、なんだあの速さは!? とか、なんて綺麗なフォームなんだ!? とか、俺TUEEEEEって思えるようなリアクションが欲しかったんですけど。


 まさかの誰も見てないっていうね……まぁいいさ、本番で度肝を抜かせてやるからな!


 見てろよモブキャラ共! お前らは主人公の俺を引き立てる為にあるんだからな。


◇◆◇◆


「……」


「えっと、有利君……ドンマイ」


 奏ちゃんがそう俺に話しかけてくる。


「……キニシテナイ」


「あ、はい……」


 意気揚々と種目に挑んだ俺だったが……フライングで失格しました。気持ちが先走ってついつい早く飛び込んでしまった。本番で注目を集めてやろうと思っていたが、俺の思っていたのとは別の意味で注目を浴びる結果となってしまった。


 いや、まだだ、まだ終わってない、俺にはまだ200m自由形がのこっている! 神はまだ、私を見捨ててはいなかった!


「あ、私の競技がそろそろ招集始まる頃なので、ちょっと行ってきます」


 奏ちゃんは、そう言うとキャップとゴーグルを持って招集所へ向かう。


 お、奏ちゃんが泳ぐのか……じゃあ、応援しなきゃな

 俺は起き上がって奏ちゃんが入場してくるのを待つ。


 しばらく待つと、奏ちゃんが出てくる。泳ぐのは100m自由形か


『4コース、染谷奏選手』


 奏ちゃんの名前が読み上げられる。

 お、奏ちゃんが出てきたな……って、4コースって一番速いところじゃん。凄いな……けど、確かに速かったもんな。


 ホイッスルが三度鳴り、コース台の上にあがる奏ちゃん


『Take your mark 』


 その声でスタートの構えを取る。


 一瞬にも、永遠にも感じるような沈黙がその場を包みこむ。そして、ピッという電子音がなると同時に一斉にコース台を蹴り、水中に飛び込む。


 スタートでリードするのは奏ちゃんの隣の3コースの選手……しかし、奏ちゃんはその選手にあっという間に追い付き、そのまま他の選手を引き離して50mのターンを行う。


 後半からも、その差を埋めるどころか逆に突き放してトップを独泳する奏ちゃん。


 周囲からは、驚きの声があちこちで上がる。


 そして、奏ちゃんがゴールしてタイムが表示された瞬間、そのどよめきはさらに大きいものとなる。全国標準記録を軽く突破していたからだ。


 つまり、県総体ですでに全国への出場が決まったということになる……地区をとばしていきなり全国っすか……速すぎるよ……。


 主人公ポジ……完全に奏ちゃんに取られてる気がするんだけど……。


 い、いや……まだだ、まだ終わってない。

 ここで俺も格好いいところを見せれば、主人公の座は守れる筈だ……。

 よし、やるぞ! 俺は主人公の座を守るぞ!


 

◇◆◇◆

 

「………………」


 観客席を4つ占領してうつ伏せで横たわる俺。


 主人公補正が……仕事してくれなっかたよ。はは……俺は主人公になんてなれないんだ、せいぜいモブキャラその1がいいところだよ。

 真っ先にゾンビになるのがオチだよ……あはは……あはははは……。


 もうダメだ…………異世界転生にかけてトラックに牽かれたい。チート能力もらってハーレムつくりたい。


「あの……」


「やめてやれ奏」


 俺に声をかけようとした奏ちゃんをの肩に手を置いて、そう言う坂本先輩


「坂本先輩……」


「1500でフライングして、挽回しようと意気込んだ200で足をつってタイムが出なかったなんて、言ってやるだけかわいそうだろ」


「うっ……」


 いまの言葉が一番の凶器だよ。


「あの……多分先輩が今ので止め刺してますよ」


「ありゃ、そりゃ悪かった」


 俺の夏は……終わった。まだ本格的な夏になってないけどね……。

 


その一定水準ってのがバカみたいにレベル高いんだけどさ。

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