俺様の美技に酔いな
TwitterとかSNSの通知をドラクエのレベルアップ音にしたんだけどさ、今日だけでレベル30になった。
◇◆◇◆
「「「「…………」」」」
ジェットコースターを終え、ベンチで休憩する俺達。
……もうね……無理……
生きた心地がしなかった。
「……本当……だれよ、あれ考えたの……」
ベンチに足を開いて座り、天を仰ぎながらそう言う奏ちゃん。
パンツ見えるぞ……と口に出す余裕がない。
「デンジャラス過ぎて……楽しむ余裕がなかった……」
逆にうつむいて、地面を見ながらそう呟く麗奈さん。
「…………」
俺はベンチに横になり、完全に沈黙している。返事が出来ない、ただの屍のようだ。
「以外と面白かったけどな」
「そうだな……アタシも最初はふざけるなと思ったが、案外楽しかった」
と、アイスを食べながらそう言う龍之介と来栖さん
嘘だろおい。お前ら超人かよっ! なんて肝っ玉の太さだよ。
「そろそろ昼時だな……どうする。どこかで飯でも食うか? 少し早いが」
「それなら……ここに……レストランがある……あと、その隣にゲーセンがあった。少しそこで時間を潰すといい」
麗奈さん……マジで下調べは完璧じゃないっすか。
「よし、復活! さっさとゲーセン行こうぜ」
横になったら気分が良くなったぜ!
なんならもう一度あのジェットコースターに乗ってもいい……今度は龍之介が隣以外でならな。
◇◆◇◆
「あ、パンチングマシンだ。龍之介やろうぜ」
ゲーセンに行くと、パンチングマシンがあるのが見えたので、龍之介を誘ってパンチングマシンに向かう。
「おう、別にいいぜ」
龍之介はそう言うと、コインを入れてグローブを右手にはめる。
「ふーっ………………オラァッ」
パンチングマシンの前に立った龍之介は、ゆっくり息をはくと左足を踏み込み、強烈なパンチを繰り出す。
『372.68』
画面にはそう数字が表示される。
「「「「おおー」」」」
そして、周りからは驚きの声が上がる。
スゲーよただのパンチでそこまでとは……流石はリアルシャック。ボクシングしたらどうだ?
「私もやってみよーっと」
そう言いながらコインを入れてグローブをはめる奏ちゃん。
そして、全力のパンチを繰り出す。
『180.12』
「ありゃ? あんまり出なかった……」
思いの他、記録がよくなかったことに首を傾げる奏ちゃん
「貸してみな、こういうのにはコツがいるんだよ」
そう言ってコインを入れて、奏ちゃんからグローブを取る来栖さん。
「みてな」
そう言って、野球のボールを投げるように構えて、そのままボールを投げるようなフォームで右腕をパンチングマシンのミットに叩きつける。
『777.79』
「ええ!」
「まぁ、ざっとこんなもんか」
そう言いながら、グローブを外してもとの位置に戻す来栖さん。
化けもんかよっ! よっしゃ、俺もあの方法でやろうっと。
俺は、グローブをはめて来栖さんと同じように構える。
「龍之介! 俺が勝ったら昼飯奢りな」
「あっ! 汚ねぇぞ!」
「へっへー、もう遅いもんねー」
喰らえ! 黴菌撲滅右ストレートーーーー!
俺は振りかぶった腕を、まっすぐにミット目掛けて降り下ろす。しかし狙いはズレ、俺の腕はミットを掠りそのまま台を叩く。
「痛いっ!」
腕めっちゃ痛い。みんな、パンチングマシンで遊ぶときは、普通にパンチしような。投球パンチ危険、やるのイクナイ。
『033.40』
画面に数字が表示される。
なんでや! 阪神関係ないやろ!
「あ~……」
狙い外した……。くそう、積年の恨みを晴らすはずが、返り討ちにあってしまうとは……。
一体俺になんの恨みがあると言うんだ!
「有利、昼……奢りな」
と、悪い笑みを浮かべてそう言う龍之介。
勝ち誇った笑みを浮かべやがって……コイツをなぐりてぇ。
「まだだ、まだ終わってない。次はあれで勝負だ龍之介」
俺はエアホッケーを指差してそう言う
「いいだろう」
「麗奈さん手伝ってください」
俺は麗奈さんに手伝ってもらうように頼む。
「うむ、任された」
と、快諾してくれる麗奈さん。これで勝つる!
こっちは二人、龍之介は一人。貴様一人ではカバーしきれまい!
これで俺の勝ちだ!
「なら、アタシはこっちを手伝おうかな」
なにっ! まさか来栖さんが龍之介に味方とは……いきなりの想定外!
「……じゃあ、私は見てるね。有利君、頑張れ」
「おうよ」
俺は、マレットを手にとってそう返事する。
行くぜ龍之介! ジグザグに壁に反射させてゴールを狙う……名付けて、有利スペシャル! いっけえぇぇぇぇぇぇ!
俺は開幕同時に必殺のショットを放つ。
パックは壁に反射しながらジグザグに進んでゴールに突っ込んでいく。そしてそのままゴールに入ると、思われたがあっさりと龍之介に打ち返される。
しかし、そんな直線的なショットが決まると思ったか! そんなもの、軽く防いでくれる……麗奈さんが!
「お願いします」
「任された」
麗奈さんが龍之介の放ったパックを、マレットで止める……しかし、龍之介のショットの威力があまりにも強く、勢い余ったパックは飛び跳ねると、麗奈さんの顔面を襲う。
「パウッ!」
顔面にパックが直撃した麗奈さんは、大きくのけぞり、そのまま仰向けに倒れる。
「まずは……一人だ」
それを見てそう呟く龍之介
え……エアホッケーってそういうゲームだっけ?
そんなテニヌみたいにプレイヤーにダイレクトアタックとかあったっけ? ないよな!? なんでお前だけ『ホッケーの王子様』してるんだよ!
「来い有利」
そう言う龍之介。
あの……なんか黄色いオーラみたいなの纏ってるんだけど……。
無○の境地的なもの発動してるんですけど……。
奏さんヘルプミー……あ、ダメだ。めっちゃ必死に目を反らしてる。
このままではやられる……否、殺られる!
こうなったら……俺も跡部○国ならぬ、有利王国を発動させるしかない!
行くぜ! 有利王国発動!
「俺様の美技に酔いなぁぁぁぁ!」
その後、体を動かして腹も減り、時間も丁度良くなったので俺たちはゲーセンを出て隣のレストランに入った。
昼飯? ええ、奢りましたよ。勿論。
有利王国なんて発動するわけないじゃないですか。
あと、あいつデザートまで頼みやがった。
ちなみに、講義中に3連続くらいでレベルアップ音が流れて、教授に「誰ですか? メタルキングを倒した人は」と言われた。




