15.
申し訳ございません、初回アップ時に前回の内容の大半を重複してアップしてしまいました(汗
22:15に修正致しました。
見ていただきました皆様、ご迷惑をおかけしました(泣
そしてこの数時間後、城外に無事抜け出たクリスティーナは……
「殿下……!」
「今はクリスと呼びなさいっ」
「クリス様、危ないのでもう少し速度を落としてください!」
「〜〜っ!分かったわよ」
前後と右側を一般騎士に扮した近衛騎士、左のやや後ろ側にラケル。それぞれで馬に跨りながら森の側の街道まで辿り着いた。
直ぐにでも一直線で森に入ってしまいたいけれど、「馬で入れる道まで回り込んで行きましょう」という近衛騎士に、つい大人気なく苛立ちをぶつけていた。
クリスティーナは心底案じていた。急展開の強制力に。
せめて少女と言われる7歳から事件は始まるものだと、準備を少しずつ進めながらも何処か余裕を持っていた。
だと言うのに、まさかまさかの「巻きで行きまーす(by強制力)」状態だ。
(え、森の中にロリコンのネクロフィリアが闊歩してたらどうしよ〜スノウたーん!!
ベイマック○機能☆!とか言って暖め機能を付けてないで、防犯ブザーをさっさと作っとけばよかった〜!!ごめんよぉ〜!!!泣)
冬の森で存外と役に立った機能とは露知らず、心中で懺悔も入りつつ焦るクリスティーナの心情を知らない周りは、ただ子供の事を心配する母親の様相のクリスティーナを見て……
「ご自身のお子でも無いのになんて慈悲深い……!」
「女神の使い……いや、女神様そのものだ!」
近衛騎士達は、新王妃派から新王妃信仰へとアップグレードしていった。
翌朝、まだ空が白み始めた頃にスノウは物音で目覚めた。
(フィナ……あ、昨日……今日洗うって言ってた)
丸まっていたスノウはもそもそと動き出し、毛布と掛け布の中から顔を出した。
まだ眠い目を擦りながらベッドを抜け出して、暖気が入るように開けていた扉からそっと様子を伺った。
暖炉の前ではサロが5つに分けた荷物をゴソゴソと探りながら確認していて、長テーブルの奥のキッチンではシュロがトントンと軽快な音を立てながら調理をしているようだった。
ふんわりと漂う香りが、朝の空腹を目覚めさせる。
クルルル〜……
昨日はある意味よく運動したスノウのお腹は、とても元気な目覚めを迎えて元気なお返事を返した。
「お?おはようスノウ。早いな、眠れたか?」
「うん」
お腹を押さえて真っ赤なスノウに気付いたサロが笑顔で振り向いた。
「おはよぅスノウ。メシはもうちょっとかかるから暖炉で待ってて〜」
シュロはエプロンで手を拭きながらにっこり笑う。自然と輪に入れてくれる雰囲気に戸惑いながら頷いたスノウは言われた通り暖炉の前に近づいた。
「んー?これか?今日も出るからな。あいつらの荷物チェックしてんだ。各自で任せるととんでもないもん突っ込むからなー」
「まぁ、俺もそうだったけど」と荷物を詰める手は休めないサロが苦笑する。
「皆……行っちゃうの?」
「スノウも行くぞ。スティラさんのとこだけど。街まで行くのに荷車とロバを借りた方が安心だからな」
ポンポンと頭を撫でられ、スノウはまた戸惑う。黒い髪を見ても、スノウを見ても誰も嫌な顔をしない。
優しくしてくれて、当たり前のように輪に入れてくれるのなんてクリスティーナだけだと思っていたから、どうして良いのか分からなかった。
(こういう時……確か……)
昨日も言ったら褒められた。
クリスティーナがスノウに、教えてくれた言葉。
『嬉しい時は嬉しいって言うのよ?勿論嫌な時はそう言うの。それでやって貰って嬉しかったらね、笑顔で──』
「あ……………あの、“ありがとう”っ」
ぎこちないかもしれないが、できる精一杯の笑顔を浮かべてスノウは真っ直ぐサロに感謝の気持ちを伝えた。
一方真正面から美幼女スマイルを受けたサロは
(ぐはっっっっっ可愛いヤツと思ってたけど、これはやばいっっっ!)
なんとか耐え切ったが、庇護欲スイッチ全開で押された結果…
「よし、今日からスノウは俺らの妹だ」
“俺の妹”の太鼓判を押したのだった。
料理ができてくると、匂いに誘われたようにゴード、ロブとナットが部屋から出てきて寝ぼけ目のままテーブルへと着いた。なんとなく昨日と同じところに座ると、ナットが目を擦ってぼんやりとスノウを見つめる。
「おはよぉスノゥ〜」
「おはよう……ナット」
えへへ〜と笑うナットに釣られてスノウも自然と笑顔になった。
しかしそのホンワカとした雰囲気を押し除けるようにテーブルの真ん中にはドンッドンっ!と大皿とパンの入ったカゴが置かれ、木の大きめのお皿とスープの入ったカップが配られた。
「ぅおっし、今日はスノウが居るからな、ちょっとは行儀よく食うんだぞ?ゴードはスノウに料理取り分けてやれ。いいな?
今日も女神に感謝して、さぁ食うぞ!」
「「「「感謝ー!」」」」
スノウは目の前の光景を目を瞬かせて見ていた。先にとゴードがサラダとオムレツとパンを1個取り分けてくれた後は…
「あーーー!ずるいシュロ兄!俺が刺してたのに!」
「バカやろー油断しお前が悪い!最後に口に入ったもん勝ちだ」
「皿引き寄せんなー!」
「肉ほしーーー」
「野菜も食えお前らっっ!」
「ソースないの、ソース」
まさにテーブルの上で繰り広げられる戦争だった。
最近はクリスティーナと食事をすることが増えたスノウだったけれど、常に静かで優しい空気が流れていた。優しく美しいクリスティーナの側で食べる食事は心まで満たされる様で。
なので、目の前の賑やかを超越する様な食事風景には驚いて、固まってしまったのだった。
「スノウも食べないとナットに食われるぞっ」
「は、はいっ!」
「無茶言うなよ」とゴードが苦笑する隣でシュロとロブがパン籠を引っ張り合っているのが目に入る。賑やかすぎる食卓に、スノウもいつの間にか笑いながらなんとか食事を摂り終えた。
朝食の後、着替えると準備していた荷物を背負ったり籠を持ったりして早速家を出る。スノウはナットのお下がりに、緑の厚手のコートとベージュのマフラーを巻いてモコモコ状態だ。木靴は危ないからチョコレート色のブーツを借りた。
先頭はサロで最後尾はシュロ。間をゴードとロブ、ナットとスノウが一列で歩く。
途中途中木の実を取ったり、草や花を摘んだりしていく。道途中でゴードが実が鈴生りに実っている木にするすると登っていって大きな声で呼びかけた。
「おーい、カゴ準備しろ〜」
いとも簡単に木に登っていくゴードにびっくりして見上げていた横をナットとロブがカゴを高く掲げて嬉しそうに跳ねた。
「わーい!いっぱい落として〜!」
「ジャム・ソース、あ、甘いので煮て食べるのも良いな!」
準備万端な2人の上に、ゴードが沢山の木の実を降らせ始めると、カゴからこぼれ落ちた実をシュロとサロが拾い上げてカゴへと投げ入れていく。
みんなが楽しみながらやる作業であっという間に籠いっぱいになった。
「よっし、こんだけあればスティラさんも喜ぶだろ。もしかしたら色々作ってくれるかもな〜」
「「早く行こー!」」
待てないと目を輝かせた年少の2人は、兄達を急かす様に先へと進み始めた。
ドサっと音を立てて飛び降りたゴードに、「さ、行くぞ」と背中を押され、また先へと進み始めた。
同じディズ○ー繋がりということで(笑
ぬくぬく抱っこ機能搭載のうさぎちゃんでございました。




