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ショートショート8月〜4回目

とろける真夏

作者: たかさば
掲載日:2024/08/17

……夏は、暑い。

夏は……、熱すぎる。

夏は、暑くて熱くて……たまらない。


真夏の熱波は、著しく日常を脅かす。


瞬く間に傷む食品。

あっと言う間にぬるくなる飲料。

気付けば破損している部材。

急速に効率を低下させる生物。


夏は、暑すぎるのだ。

夏は、熱くなりすぎるのだ。


常軌を逸脱した猛烈な暑さは、あらゆるものを溶かす。


秋、冬、春であれば、気軽に口の中に放り込むことができるのに。

秋、冬、春であれば、正しく形状を維持しているはずなのに。

秋、冬、春であれば、活発に行動しているのが当たり前なのに。


真夏は…あらゆるものが変容してしまう。


たとえば、氷菓。

たとえば、チョコレート。

たとえば、グミ。

たとえば、マシュマロ。

たとえば、バター。

たとえば、ホイップクリーム。

たとえば、プラスチック。

たとえば、人。


真夏の熱波のせいで、形状が変わってしまうものは少なくない。

真夏の熱波に負けて、形状を保てなくなるものはあふれている。


液体化する食品を見ると…、悲しくなる。

変形して使えなくなったパーツを見ると…、泣けてくる。

だらしなく横たわる人を見ると…、やる気が削げる。


とろけてしまった食品を飲みこめば…むなしくもなる。

とろけてしまったパーツを取り替えていると…居た堪れなくなる。

とろけてしまった人間を見ると…意欲が失せる。


真夏は、本当に……忌々しい。


独特の食感を楽しめるはずの食品なのに、液体状態を受け入れざるを得ない。

苦労して手に入れた部品なのに、また探しに出かけなければならない。

溌剌とした動きが魅力的な生き物なのに、見る影もない。


暑くて、熱くて…食欲も、失せる。


マズそうになった食品。

使いにくくなったカトラリー。

ベタベタしてしょっぱくなった肉。


……暑さが和らぐまで、避難するか。

……熱さが消え去る頃、また来るか。


入道雲を見上げた私は…、2.725ケルビンの空間へと、飛び立った。

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― 新着の感想 ―
[一言] ああ、夏はみんな足が早いから(笑)  夏自体はちんたらだらだらと鈍足なのがまた(苦笑)
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