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『眠れない日には』と『眠れる日には』
『眠れない日には』
眠れない日に、思い浮かぶことは、容易く言葉にできない。
眠れない日に、考えることは、軽々しく口にものぼらない。
眠れない日に、思い描くことは、早々叶うものでもない。
闇に彩られた夜空を見、星の瞬きを吸い込むように、深く深呼吸をする。
ただ、月明かり、薄暗闇の中で考えることの全てが、
不健全だとは言い難い。
『眠れる日には』
眠れる日に、思い浮かぶことは、あっと言う間に言葉になって、音楽の音符のように、周りを飛び回る。
眠れる日に、考えることは、軽快に口から飛び出してゆき、彩られていく。
眠れる日に、思い描くことは、なにかの拍子に早々に叶ったりして。
美しい景色を見、清々しい空気を吸い、深く深呼吸をする。
ただ、明るい陽のもとで考えることの全てが、
健全だとは言い難い。




