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『地団駄を踏む』



地団駄じだんだを踏む』



会えないあいだに

会えなくなった


知らないあいだに

会えなくなった


会いたいけれど

ただ、


もう会えない




(洗濯機の前に佇み、

優しい面影

鉛筆で線を描くようにして

辿ってみれば

一生懸命教えようとしてくれた

指先だけが

凛として浮かぶ


疫病の所為で

時間の感覚は崩れ去り

永遠なのか一瞬なのか

近いのかそれとも遠いのか

混乱したまま

洗濯機をまわす

ぐるぐる

 ぐるぐると

  渦になる)



会えないあいだに

会えなくなった


知らないあいだに

会えなくなった


会いたいけれど

ただ、


もう会えない




(仕方がないと諦めて

諦めて諦めて

ようやく洗濯機を止めた

もっともっと色んなことを

教えてもらうはずだった約束は

叶うことなく

私の奥底

洗剤のように溶けることなく

ゆっくり

 ゆっくりと

  沈殿していく


だからもう

仕方がないのだからと

何度目だ

自分に言い聞かせては


動かない洗濯機の前で


何度も

 何度でも

  地団駄じだんだを踏む)





最後にひとめでも

会えていたなら






こんなにも憎しみに

まみれることも

なかっただろう







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― 新着の感想 ―
[一言] 拝読いたしました。 三千さん、もしや何か悲しいことがおありになったのかもしれません。はがゆさ、悲しみの心のかけらが、読み手の心に、深く突き刺さります。想像だけでは書けない作品だと思いました…
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