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『風を嫌う』と『濡れ髪』と『まだまだ』
『風を嫌う』
強く吹きあれ
すべてを
巻き込み
ハードル走みたいに
あっという間に
春を連れ去って
地平線の彼方へと
追いやってしまう
これから来ようとしている夏が
怖いという気持ちは
ここからくるのだと
思うんだけど?
『濡れ髪』
ほっそり白い
うなじが冷える
今日は何度の
体温なのかな
シャワー終わりの黒髪が
饒舌に語る
僕を誘って
いるらしい
『まだまだ』
まだまだ
枯れない
一生懸命
その身を保とうと
水切りの
春色ガーベラ
十円玉
深く水へと沈め
その水を清いにかえて
守るように
まだまだ
枯れるな
私を見ていて
まだまだ
生きて
私も生きるから




