17/52
『いよいよ夜』
西の空は枇杷の色
山の端ごろんと寝そべって
雲を従えゆっくりと
近づく宵にせっつかれ
あくびをふわあとひとつ吐き
時間なのかと問うてくる
空に浮かぶは立ち枯れの
樹木や冷え冷え 山のふち
影絵のようなその陰影
見事なまでのその枝葉
西の空は紺青へ
あっという間に移りゆき
今日も宵に負けてしまったなあと……
枇杷色の空が
……悔しそうに
薄くなり
消えていく……
いよいよ
夜
≡≡≡≡≡ ≡≡≡≡≡ ≡≡≡≡≡ ≡≡≡≡≡
≡≡≡≡≡ ≡≡≡≡≡ ≡≡≡≡≡ ≡≡≡≡≡




