『キミはヒドイ』
『キミはヒドイ』
ねえ。
もう呆れてるんだけど。
キミはすぐにいなくなっちゃう。
ううん、いなくなっちゃうと言っても、行き先はまあ決まってんだけど。
夏はそうでもないのに、冬は速攻。
私の鼻先にキスをして、ぱくっと甘噛みしたら、すぐにぷい。
ツンデレとかなんとかってさ、そんなレッテル貼りたくなるけど。
それでもさあ、すぐにいなくなっちゃうだなんて、ヒドイと思わない?
しかも私の大切なもの、
奪っていっちゃうんだよ。
だから私からキミが離れた途端、心も身体もパリッパリ。
なんでここまで乾燥しちゃうんだ。
カサカサになった鼻の下。
はああ、風邪なんてひくんじゃなかった。
だいたい今のボックスティッシュは、薄型すぎるんだよー。
✳︎ボックスティッシュのエレジー✳︎
え、ちょっと待って。
なんでこんなに、違いがあるの?
同じキミであるはずなのに、キミは私からなにも奪っていかない。
奪わないどころか、与えてくれるね。
私の頬に触れる、その優しい手。
しっとりとして、柔らかく私を包み込む。
キミのこの、安心感は、
いったいどこからくるのだろうか。
だからキミが近づいてくると、私はその嬉しさについ、いつも頬を赤らめてしまう。
けれど、頭の中を占めるのは、いったいぜんたい、ドウナッテルノ? という疑問だけ。
鼻セレブだなんて、誰の命名? その人とんでもない天才だね。
ねえ、それにしても、高すぎるってー。
一箱200円だなんて、私のお財布、覗いてごらんよ。
はああ、風邪なんてひくんじゃなかった。
買えるわけなーーーい。
✳︎ボックスティッシュの賛歌✳︎




