ダンジョンの名前は千変万化
【魔力量測定器0】と【魔力量測定器1】を返却してくれながら蒼が言った。
「蓮、【魔力量測定器0】をもう一台作って、ダンジョン課に売ってくれないか?」
と…。
都庁で富士山を見て確認するからと、魔導具を持っていった翌日にそんなことを言われた。
ってことは…?
「富士山の魔力量測れたの?」
「都庁に着いて測ったら6,300万あったぞ。で、念のため帰りにも測ったんだけど、8,900万になってた」
「増えてる…」
ってことは、まだ富士山は火山活動してるってことなんだね!?
「これで観測するってこと?」
「あぁ、魔力が減ったらどこかにダンジョンが発生した可能性が高いしな」
あー、なるほどー。
「わかった。【魔力量測定器0】作るね」
「あっ!忘れてた!!」
「どうした?蓮」
マザーに確認しておいてと言われてたのに、すっかり忘れてたよ。
「蒼ってさ、どこかに土地持ってたりする?」
「土地?」
「うん、土地」
「さすがに土地は持ってないな」
「だよねぇー」
「なんで土地?」
マザーには、蒼専用のダンジョンの話はしていいって言われてるしな。
別にサプライズとかにするつもりじゃないしね。
「マザーから聞いておいてって言われてたのよ。マザーが前に結婚祝いを用意しておくって言ってたの覚えてる?」
「あぁ!言ってたな。すっかり忘れてたけど」
私もこの間言われるまで忘れてたけど…。
「蒼専用のダンジョンを用意してくれるみたいなのね?」
「マジで?」
うわっ!
すっごい嬉しそうなんだけど!!
やっぱり喜んだね。
「で、ダンジョンの場所をどうしようかってことみたい」
「蓮の家の裏の物置きとかが入口じゃダメなのか?」
私もそれ聞いたわ。
「ダンジョン同士が近すぎるのもダメみたい」
「そうなのか…どこかの山とか買うか!?」
山!?
「山って買えるの?私はなんか空き家になってる家を土地ごと買えばいいかと思ってたんだけど」
「それもありだな」
【虹橋の神道】で、行き来すればいいかと思ったんだよね。
私がじゃないよ?
蒼がだよ。
で、探してみたらあるのよ。
新宿の端の方に、一軒家の空き家。
築40年とかだったけどね。
土地ごと買えるところを探して、一括で買いましたよ。
キャッシュで!
今までの人生で一番高い買い物だったわ。
家は蒼のリペアで修復したわ。
その後に、自動修復が付与出来るかやってみたわよ?
出来たわよ?出来たけどね…。
ごっそり魔力持っていかれたわ。
でもこれで、これ以上古くはならないんじゃない?
マザーにお願いして、蒼のダンジョンを作ってもらったわよ。
最初だから、一緒に行ってみることにした。
「ここも家の中に入口なのね」
「そうみたいだな」
マザーの管轄なのかな?
「行ってみるか」
私は蒼に頷いて、蒼の後ろを着いて行く。
だって、蒼専用のダンジョンだよ?
私のレベルじゃ無理に決まってるじゃない!
『千変万化ダンジョンへようこそ!』
「千変万化ダンジョン!?」
蒼がクビを捻る。
あれ?最初からダンジョンに名前ついてるんだね。
『このダンジョンは、全3階層からなるダンジョンです。入るたびに違うダンジョンに変化します。まさしく千変万化』
あっ、私がマザーになんとなく言ったことが反映されてる?
「おもしれぇな!入るたびに違うダンジョンになるってことだろ?毎回楽しめるってことだな?」
ワクワクだねぇ。
3階層だと物足りないかな?
「3階層でごめんね?たぶん私がマザーに1日で攻略できるくらいの階層って、話をしたからだと思う」
だって、帰ってこないのはイヤだったんだもん。
「もしかして、毎回変わるって言うのも蓮のアイデアか?」
あれ?
なんでバレてるんだろう?
「うん。その方が蒼は楽しめるかなって」
「さすが俺の奥さんだ!よく俺のことわかってるな!」
って、なんで抱きつくのよぉ。
家の中だから誰もいないけど、不意打ちはビックリするのよぉ。
でもダンジョンをもらって嬉しそうだから、いいけど。
「とりあえず、魔物を倒してタブレットをドロップさせてくるか」
あっ、所有者になっておかないとね。
「さてと、初回はどんなダンジョンだ?」
階段を降り切ったところで、驚いた。
「うわー、メグミハントじゃない!?」
「だな?見慣れたダンジョンだ」
田んぼがあって、古き良き田舎の風景って感じだよ?
けど、魔物はスライムじゃないね?
米とかも収穫できない?
「なんか違うね?」
「違うな。稲とかも魔物だ」
鑑定
ライスプラント レベル20
種を飛ばして攻撃してくる
ただし、種は米サイズではなくどんぐりサイズ
はっ!?
レベル20!?
「蒼、鑑定した!?」
「したぞ、どんぐりサイズの種ってなんだよ」
「レベル20って…」
どうなってるのよ!?
って、蒼専用だった。
蒼のレベルなら余裕ってことだよね。
「蓮は、最初から物理防御パッシブにしておけ」
「わかった」
メグミハントはこんなダンジョンじゃないのになぁ。
スライムしかいないのに。
本当にメグミハントは、私のためのゆるーいダンジョンだったのね。
「蒼、あの辺燃やしてみてもいい!?」
「やってみな」
ファイヤーボール!
レベル20の魔物に私の魔法は通用するの?
私の今のレベルは17だよ。
わぁー。
すっごい燃えてるけど、倒せてるの?
倒せてるみたいね?
インベントリに魔石が入ってるから。
はい?2,000ってどういうこと?
えっ?もしかして米粒分ってこと?
飛んでくる種はどんぐりサイズなのに、1個取り出してみたら、魔石は米粒サイズだったのよ?
これって、経験値どのくらい入ったの!?
スライムじゃないからわからないじゃないのよ。
経験値 前
12,445,757,656,865/711,374,856,192,000
経験値 後
12,645,757,656,865/711,374,856,192,000
あっ、わかっちゃった。
経験値1ね。
魔石2,000× 経験値1億倍分しか加算されてないもの。
レベル20は関係ないみたいね。
私だけの可能性もあるわよね?
ここ、蒼のダンジョンだから。
私はここでダンジョンから出ることにしたわ。
これ以上は無理ね。
それから夕方まで、蒼はダンジョン内で遊び倒してきた。
ものすごくいい笑顔で戻ってきたわよ。
「攻略出来たら、次回からいつでも攻略済みのダンジョンにも行けるらしいぞ?」
攻略したら、リストが増えて行くんだって。
入る時に選択出来るってことらしい。
しばらくは、ダンジョン任せで潜るらしいけどね。
浅葱さんや天音さん、和くん、優くんと潜ってみたり、松山さんや遠野さんと潜ってみたりしてるみたい。
メグミハントは誰も呼べないけど、千変万化なら好きに呼べるもんね。
楽しそうで何より。




