ダンジョン課の人を紹介しよう2
咲ちゃんと舞ちゃんに、
これこれこんな事情で、
希望者8人全員とまとめて顔合わせがしたいらしいと話をしたら、
「「何それ面白そう!」」
って、なぜか2人とも乗り気でオッケーを出してくれた。
その時に、いつもの化粧水に加えて、今月からは乳液と保湿クリームも追加で渡すことになった。
事前に話は通ってるからね?
金額は、すべて化粧水と同じで話がまとまった。
高くない?大丈夫?って言ったら、
むしろ安すぎだと言われたけど…。
今の購入者以外には、秘密でお願いしてもらっているから、たぶん大丈夫だと思う。
そんなわけで、変則的な合コン?なんだろうか?
ただの飲み会?なんだろうか?
ダンジョン課の独身男性8人。
咲ちゃんと舞ちゃん。
仲介役の蒼と私。
みんなの日程を合わせるのが大変だった。
金曜日の仕事帰りに設定させてもらったよ。
咲ちゃんと舞ちゃんの予定優先で。
その咲ちゃんと舞ちゃんは、乳液と保湿クリームの効果?で、さらに綺麗になっての登場よ。
これは、早く相手見つけて結婚しないと、変態とかストーカーとか自称彼氏とか湧いてきそう。
マズイわね。
誰かいい人がいますように。
ダンジョン課の参加メンバーは、全員が遅れずに来た。
必死ですか!
乾杯して、自己紹介から始まった。
ダンジョン課のみなさんは、中々に濃いメンバーだよねぇ。
結婚式に来ていたのが、
蒼より背の高い相川さん。
蒼が180センチ超えてるのに更に高いとか…
蒼がよく頭?オデコをドアの上枠とかにぶつけてる、ちょっとぼんやりさんだと教えてくれた。
人当たりの良さそうな木村さん。
雰囲気が柔らかい。
実はエリクサー体験者だと蒼が教えてくれた。
脊椎損傷で手が動かなかったのは、木村さんだったとのこと。
全然そんなのわからなかった。
コワモテの須藤さん。
意外にも?動物好きで、懐かれるんだって。犬を3匹飼っているそうだ。
声が柔らかい。
蒼がニヤニヤしながら教えてくれた。
なんでニヤニヤしてるの?
頬にキズのある遠野さん。
頬のキズはあえて残しているそうだ。
美形なのよ、遠野さん。
ストーカーとか顔に寄ってくる女の人避けらしい。
顔じゃなくて自分を見てくれる人を探してるんだって。
美人さんは男性でも女性でも大変ね。
蒼がいいやつなんだよと言っていた。
今日、初めて会ったのが、
研究者っぽい藤崎さん。
研究者とは真逆で、部下たちのフォローがメインの仕事らしい。
しかも全国どこでもフォローに行っちゃうようなアグレッシブな人らしい。
インドアな人じゃなかった。
少し神経質そうな奈良さん。
ちょっとコミュ障らしい。
オブラートに包んだりとか出来ずに、ストレートに思ったことを言っちゃうみたい。
藤崎さんがそうフォローしてた。
冷たそうに見える松山さん。
1番優しいヤツだと蒼が言っていた。
ちょっと人見知りで、緊張しぃなんだって。
慣れちゃえば問題ないみたい?
ニコニコ笑顔の渡辺さん。
1番のクセモノだって蒼が言ってる。
気づいたら、渡辺さんの思った通りに物事が運んでたりするらしい。
仕事が出来る人ってことかな?
見た目は私の勝手な第一印象でしかないわよ?
実際のところは、蒼が教えてくれたのよ。
さすがに同年代だからか、チャラ男はいないようだわ。
咲ちゃんも舞ちゃんも、飲んだり食べたり、ダンジョンの事聞いたり、それぞれのこと聞いたりしながら、楽しそうにしてくれてる。
良かった。
連絡先の交換とかもしてるみたいだし、誰かとうまくいったらいいよねぇ。
そんなことを思っていたら、個室のドアが勢いよく開いた。
全員がドアの方を見た。
他の部屋の誰かが、部屋を間違えたのかな?
そう思ったよね。
けど、次の瞬間、視線が動かせなかったわよ。
はっ?
ありえないんだけど!?
だって、そこにいたのは、元職場の有名な困ったちゃんだったからだ。
「川里先輩も小山内先輩もひどいじゃないですかぁ〜。私のことおいていくなんてぇ〜」
はぁ?
呼んでないけど?
呼んでないよね?
思わず、咲ちゃんと舞ちゃんの顔見ちゃったわよ。
2人ともふるふる頭を横に振ってたので、呼んでない。
呼ぶわけないんだけどね。
なんでここにいる?
何しに来たの!?
「蓮、知り合いか?」
蒼に小声で聞かれたけど、みんなにも聞こえるように普通の音量で答えてあげるわね?
「元職場で有名な仕事の出来ない困ったちゃんで、他人の彼氏や旦那さんに色目を使って誘惑して、人間関係を壊して行く【Ms.クラッシャー】よ」
私がそう言うと、男性陣がドン引きした。
「えぇ〜緑川先輩ひどいですぅ〜。ちゃんと花園花織って可愛い名前があるんですからぁ」
イラっとするんだけど。
頭だけじゃなくて、名前もお花畑だったのね。
えっ?かおりも花を織るって書くの?
名字にも名前にも"花"が入ってるって、今知ったわ。
部署が違ったからねぇ。
「で?【Ms.クラッシャー】は何しに来たのかしら?」
怒気が混ざってるのは仕方ないわよね?
私が名前を呼ばなかったからか、むくれた。
可愛いと思ってやってるんだろうけど、
アラサーのぶりっ子は見苦しいかな。
「だってぇ〜川里先輩と小山内先輩が合コンに行くみたいな話をしてたからぁ〜」
「だから何?あなたには関係ないでしょ」
咲ちゃんの感情のない口調と視線に、
「えぇ〜!?可愛い私も参加してあげようかなぁって」
語尾にハートが飛んでそうなセリフと顔にげんなりする。
「花園さん、呼ばれてないでしょ」
舞ちゃんも冷たく言葉を返す。
「でも〜可愛くてぇ〜私みたいにぃ〜若い子がぁ〜いた方がいいですよねぇ?」
男性陣に、問いかけてる。
肯定してもらうつもりかな?
うるうるの上目遣いとか…
男の人はこういうの好きなのかな?
蒼を見たら、凄い顰めっ面で驚いた。
なんだコイツ!?って顔をしている。
「いや、必要ない」
相川さんがバッサリ。
さっきまでよりも低めの声で告げる。
「うん、いらないね」
木村さんも同意みたい。
人当たりの良さそうと思ったけど、実はそんなこともなかった?
「イラっとするから帰ってくれないか」
「本当にな」
コワモテの須藤さんと頬にキズのある遠野さんにジロリと睨まれても、まだ逃げ出さずに、ひどいですぅ〜とか言ってるとか肝が座ってるのかな?
それとも超絶鈍いだけ?
「香水つけすぎ」
奈良さんがハッキリ言ってくれた。
本当に死ぬほど臭いのよ。
神経質っぽいのは、正解だった!?
「鼻曲がるよな」
鼻摘んでるのが、藤崎さん。
仕事に差し支えるから早く出て行ってくれと言ってるけど、鼻をつまみながらだと迫力はないけどね。
鼻をつまみたい気持ちはよくわかる。
「川里さんと小山内さんの方が、綺麗だし可愛いと思うけど」
松山さん、グッジョブ!
冷たくみえただけだ?
あっ、人見知りなんだっけ。
きっと良い人に違いない。
「だよなぁ、間違いなく2人の方が美人だな。しかも、いい歳してあの喋り方はないな」
さっきまで、あんなにニコニコしてたのに、1ミリも笑ってない顔で、渡辺さんが更に落とす。
若いふりを頑張ってるのに、いい歳してっていわれてるね、【Ms.クラッシャー】。
もう本当にいい加減にしてほしいよね。
【Ms.クラッシャー】は、顔を真っ赤にしてるし、表情がヤバいね。
般若?
しかしまだコメントを発していない蒼に狙いを定めた?
視線が蒼を見つめている。
ロックオンしてんじゃないわよ?
その人、私のだからね?
あははは。
蒼、結界張ってるの?
【Ms.クラッシャー】は、1歩すら近づくことも出来てないね。
「何よ、なんで進まないのよ」
もしかして、男性陣みんなで結界を張ってるの?
スキル?
もしかして、私が練習で作った量産品を持ってたりする?
いや、あれは意図して結界を張れるんだったかな?
【Ms.クラッシャー】は、どんどん扉まで押し返されてる。
「いい加減に警察を呼ばれる前に帰りなさい。
あと仕事は自分でやりなさいよ?
【Ms.クラッシャー】の提出書類なんて、ひとつもないじゃないの。全部、岡島くんに作業やらせてるんじゃないわよ」
「なん、で…!?」
何を驚いてるのよ?
「みんな知ってるわよ?ねぇ?」
私は咲ちゃんと舞ちゃんに確認する。
「そうね。気づかれてないと思ってるのは、あなただけよ?」
「岡島くんも可哀想よねぇ。花園さんが定時で退社して遊びまわってるのに、あなたのために夜中まで仕事してるんだもの」
なんで【Ms.クラッシャー】がいいのかしらねぇ?
他の男の人ばっかり見てるのにね?
どうでもいいから、早く帰ってくれないかな?
あー、蒼に威圧の仕方教えてもらっておけばよかった。
こんな時に使えばいいんじゃないの?
小声で蒼に、
「軽く威圧したら帰ってくれないかな?」
あっ、蒼が悪い顔してる。
やってくれるっぽい。
【Ms.クラッシャー】が青い顔して、ガタガタ震えてる。
あれ?威圧ってこんな凄いの?
って、もしかして男性陣のみんなが、軽く威圧してる?
みんな限界だったかな?
【Ms.クラッシャー】は這々の体でいなくなったわ。
やっと帰ってくれた。
「「「つかれたー」」」
咲ちゃんと舞ちゃんと私の声が揃った。
顔を見合わせて笑った。
「みなさん、よく言ってくれました!」
「ホントに!」
「やりたい放題にもほどがありますよね…」
「あのタイプは、みんな苦手って言うか、嫌悪感がすごいんだよな」
そうなんだ?
「あれを可愛いっていう人も世の中には少なからずいるんだよ。もし誰かが【Ms.クラッシャー】を擁護とかしてたら、速攻でお開きにするつもりだったわ」
私がそう言うと、
「誰もあれを良しとはしねぇだろうな」
蒼の言葉に全員が頷いていた。
なんかあったのかな?
「気を取り直して、再開する?」
「乾杯のやり直しだな」
その後は、みんな打ち解けたように咲ちゃんと舞ちゃんと話をしていた。




