四章④
「・・・・・・」
「・・・・・・」
さらに気まずさが増す。
崇はさすがに居心地が悪くなり、立ち上がろうとするが、何を思ったか、また座り、深く息を吸い込むと話しはじめた。
「俺ですね・・・ホールって・・・パチンコ屋でね、倒れちゃったんですよ。んで、救急車で運ばれて、目が覚めたら病院のベッドの上で・・・何やってんだろうと思いましたよ」
「はぁ」
「んで、俺、彼女もいたし、パチプロなんて馬鹿な事やめようと思ったんですよ」
「・・・・・・(まぁ、当然ね)」
「でも、俺はこれが好きだし、これしかなかったんで」
「はい」
「まだ、しぶとくやっています」
「・・・・・・おかげでいろんな物を失ったけど」
崇は頭をかいた。
「まぁ、俺が言いたい事は、こんな底辺な人間もいるという事で・・・そんな奴もそれなりに頑張っているということで・・・」
「・・・・・・」
「まぁ、一般の人が見れば、ただ遊んでいるだけだろって思われるけど・・・」
「うん、そうだね」
「でも、大変なんすよ」
「・・・・・・」
「何が言いたいかというと、頑張ってください」
崇は立ち上がると、言いたい事だけを言って立ち去った。
菜緒は立ち去る崇の背中を見ながら、ぐっと拳を握りしめた。




