17/20
四章②
まともに社会に出てない俺は、やっぱりこれしか道がない。
岩にかじりついてでも這ってでも、こいつで食っていくしかないんだ。
だが、それには、このままでは、今のままのやり方じゃいけない。
俺はパチプロ仲間の通称常勝のゲンさんに、弟子入りして無理を言って、彼の部屋の片隅で住まわせてもらっている。
雨露は凌げ、メシも食える十分だ。
これでよかったと思っている。
俺も沙奈の為にも何度もこれで良かったと反芻しては、自分を納得させている。
これでいい、当然の結果なのだから。
そして俺は強くなっている。
本物のプロと一緒に過ごし、行動を共にすることで、着実にこの世界で生きていく術を身につけている。
それは間違いない。
だが、納得した生き方だが、それしかないと分かっているが、ふと、我に返ると虚しさを感じる。
あの時、ああしていればという、後悔と残惜の念が、ふつふつと沸いてくることもあるが、後ろを振り返ってはいけない。
自分にそう言い聞かせる。
そう繰り返し自問自答する中で、俺はある女と出会った。




