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第四章 リンク~浮上契機~①
菜緒にとってより慎重なリハビリが続いている。
結局、四年目のシーズンは二度目の怪我により終わってしまった。
五年目のシーズンも7月、オールスター休みを迎えていた。
しかし、彼女は絶望とも思える苦難の日々をがむしゃらに生きている。
「はぁ」
出るのは溜息ばかり、周りのスタッフも気遣うばかり、腫れ物でも触るかの如くである。
本人としては少しずつよくなっていると感じているが、前回の事もあって、リハビリのドクターからは、なかなか次のトレーニングへのゴーサインが出ない。
今だに見えない光明が腹ただしかった。
それでも逃げる訳にはいかない。
そう思う反面。
(やっぱり、私駄目かも)
不安にかられる自分がいる。
それでも・・・全力を尽くす。
これだけは忘れない菜緒がいた。
ある日、いつもの如く心の中で、葛藤を繰り返しながら訪れた病院で男とあった。




