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422 呪いの正体

「俺の魂から、やつの呪いの力を引き離す……?」


 いったいどういうことだろう? いまいち話が見えない。


「僕が独自に調べたところによると、実は、暴虐の黄金竜マーハティカティさんの魂は、まだトモキ君の中にとどまっている可能性が高いのです」

「え、あいつまだ成仏してないのかよ」


 俺の中にあんなのの魂がまだいるとか……きめえ。


「つまり……俺は今、あいつの霊にとりつかれているような状態ってことか?」

「はい。そして、それこそがまさに、バッドエンド呪いが解けずにいる理由なのです。トモキ君のなかに、暴虐の黄金竜マーハティカティさんご自身のものすごい怨念が残っているということですから」

「まさに悪霊だな……」


 あのクソ竜、一瞬で俺に倒されたくせに、俺への恨み節は延々と続いてたのかよ。


「ただ、これはあくまで僕なりに考えて導き出した仮説です。まずは本当に黄金竜マーハティカティさんの魂が、トモキ君の中にとどまっているのか、確認する必要がありますね」

「確認ってどうやって?」

「そりゃあもちろん、冥府の川の番人に聞きに行くんですよ。彼の魂のありかをね」


 と、言うや否や、いきなり闇の翼で自らの首を切り落とす呪術オタだった。うわっ、唐突に自殺するなよな、もー。


 そして、それから約十秒後、


「いやー、カロンさんには会えたのですが、詳しい話を聞くことはできませんでした。面目ないです」


 と、落ちている自らの首を拾いながら言う男の姿があった……って、なんだよそれ?


「お前、何しにあの女のところに行ったんだよ。ただ無駄に一回死んだだけかよ」

「はあ、それがたまっているツケを払わない限り、僕とは何も話をしたくないようでして」

「ああ、なるほど……」


 そういや、あの守銭奴女、この無駄に死ぬだけの貧乏不死族にはめっちゃ冷たかったような。


「しゃーねえな。俺が直接あいつに話して聞くか」


 そうそう。俺ってば、ちょうどあの女と電話ができる道具持ってるんだよな。通話料バカ高だが、このさいやむを得ないか。すぐに例の貯金箱型電話を取り出し、大金をそこにぶちこんだ。


 死神電話は前回と同様、すんなりとあの女につながった。あらかじめこっちが大金を払っているせいか、返答も早かった。


『確かに、黄金竜マーハティカティとやらの魂がここを通過した記録はないわね。まだ現世にとどまっているようよ』


 やっぱり俺にとりついてやがったのか、あのクソ竜。


 俺はすぐにその守銭奴女との話を終え、電話をしまった。


「……つまり、あの竜をここで生き返らせることで、魂を俺から引っ剥がすってことか?」

「そうですね。そのやり方でおそらく呪いは解けるはずです」

「おそらく、かよ」


 ちょっと頼りないなあ。理屈は大いにわかるんだが。


 と、そこで、


「ちょっと待って! あの竜を復活させるなんて本気で言ってるの? あれは世界を滅ぼしかねない邪悪そのものなのよ!」


 変態鎖女が血相を変えて飛んできた。


「せっかく勇者様に倒されて世界は平和になったのに――」

「いや、また倒せばいいだけだろ」

「えっ」

「今度は俺に呪いがかからないように、うまい具合に」

「そ、そんな器用なことできる相手じゃないでしょう!」

「できるよ」

「えっ」

「俺、世界を二度も救っちゃった勇者様だしぃー」


 ぶっちゃけ、俺にとっちゃ、あいつクソザコだしなあ。はっはっはー。


「で、でも、あんなディヴァインクラスのレジェンド・モンスターをよみがえらせるなんて、いくらベルガド様でも無理でしょう?」

「いや、できるぞい」

「えっ」


 と、今度は亀妖精の言葉にぎょっとする変態女だった。こいつ、さっきから珍しく動揺しまくってんな。普段はひょうひょうとしてるくせに。


「人間だろうとモンスターじゃろうと、同じ一つの命じゃ。ワシの祝福で復活させられんことはない。ただ、死者をよみがえらせるには一つ条件があっての。死者の肉体の一部や、死者とつながりの深い道具が必要なのじゃ」

「まあ、そうなのね。あの竜は勇者様に倒されてずいぶん経っているし、そんなものもうどこにもあるはずないわね。つまり復活させるのは無理――」

「あるよ」

「えっ」

「売るにも売れずに、ちょうど持ち歩いてたんだよな。邪魔くさいことになー」


 俺は懐から例のもの……そう、あの竜を倒した時にゲットしたレジェンド・コアを取り出した。レアアイテムすぎてすっと使い道がわからなかったやつだ。面倒な騒ぎになるから売れねえし。


「おい、ベルガド。これで暴マーとかいう竜を復活させられるだろ?」

「ああ、十分じゃ」


 亀妖精は力強くうなずいた。


「ほ、本気であの竜を復活させるつもりなの……」


 変態女は心底不安げにつぶやいた。

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