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413 地の利 Part 2

「はっ! 何かと思えば、たかがベルガドの甲羅を出しただけではないか! それで何が変わるというのだ!」


 と、ラファディは大声で叫んだものの、すぐに術を使って砂利を動かし、俺の掘った穴を覆おうとした。やはりこの状況だと戦いにくいのは間違いないようだ。


 そこで俺はすかさず命令した――近くにいるであろう亀妖精に。


「ベルガド、物理障壁でこの砂利をはねのけろ!」


 そう、さながらポケモンに指示を出すポケモントレーナーのように!


 そして、実際、俺の指示通りに物理障壁は俺の周りに展開され、ラファディが押し付けてきた砂利をはねのけた。うほー、やってみるもんだなコレ。


「いきなりワシのデリケートな甲羅をむき出しにして、さらにこのワシに命令とは、またずいぶんと偉くなったもんじゃのう、おぬし」


 と、言いながら、やがて例の亀妖精は俺のすぐ目の前に沸いて現れた。ラファディとのバトルが始まってから、どこに隠れてたんだよ、こいつ。


「うっせーな。元々この戦いはお前のためのものだろうがよ。ここは俺に協力しろ」

「……まあ、確かに、ワシもそろそろ本気を出す頃合いかのう」


 亀妖精はふと笑い……すっとその姿を消した。


 そして、直後、足元から声が聞こえてきた。


「よし、トモキとやら! このワシの能力、思う存分使うがよい!」


 なるほど、亀妖精のやつ、本体に戻ったようだ。


「じゃあ、遠慮なくコキ使わせてもらうぜ! ベルガド、まずは物理障壁でお前の甲羅の上にあるヤツの汁まみれの砂利を吹っ飛ばせ!」


 俺は今はスコップの形になっているゴミ魔剣を掲げ、再び高らかに命令した。気分はやっぱりポケモントレーナーだ。


 そしてやはり、俺の指示通りに物理障壁は展開され、俺の周りから砂利が瞬く間に取り除かれて――は、いかなかった。現実は非情である。実際には俺の周り三メートルくらいの範囲で砂利が押し戻されただけだった。


「おい、ベルガド! なんでこんだけしか仕事しないんだよ!」

「いやー、ワシ、よく考えたらそんなに器用に物理障壁使いこなせんほうじゃったし? この場から、ヤツの本体の液体がしみ込んだ物質だけ押しのけるとか、無理な話じゃよ。変に力むと、ここにいるおぬし達まで吹っ飛ばしてしまいそうじゃしのー」

「そ、それは困る」


 くそ、使えるかと思ったら使えない亀だな。もうちょっと気を利かせろよ。


「とりあえず、ワシの物理障壁を自在に使えるアイテムをやるから、あとは自分でなんとかするんじゃな」

「アイテム?」

「ほれ、足元をよく見てみい」


 と、言われた通りに下を見てみると、ベルガドのクソデカ甲羅の一部が剥離して板状になって転がっていた。盾にするにはちょうどよさそうな形と大きさだ。足でひっくり返してみると、何やら裏に持ち手のようなものまでついている。


「そうか、じゃあありがたく使わせてもらうか」


 俺は迷わずそれを拾い、左手に持って構えた。そして、右手に持ったゴミ魔剣に命じ、スコップから剣の形に戻した。


 すると、


『ネーネー、マスター。やっぱりワタシ、この下のデカブツ食っちゃっていい? いいよネ? ネー?』


 と、何やら興奮しきったゴミ魔剣の声が頭の中に響いてきた。


「バカ! さっき、ベルガドに触れても絶対食うなって命令しただろ!」


 俺は力いっぱい怒鳴った。そう、スコップに形を変えさせる前にゴミ魔剣に厳命したのはこのことだった。こいつにベルガドを食われて吸収されたら、あらゆる意味で終わりだからな。


『エー、デモォ? このデカブツがほとんど役に立たないことはわかったようなもんですし? 遠慮なんかいらないんじゃないんですかネー?』

「いるに決まってんだろ! いいからお前は黙って自分の仕事をしろ! ベルガドは絶対食うなよ! 食うなよ!」


 俺は再度ゴミ魔剣に怒鳴りつけた。やがて頭の中で『アッ、ハーイ』と気の抜けた返事が聞こえた。

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