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411 克己 Part 6

「クソッ、なぜ私の攻撃が当たらない!」


 一方、俺の神回避にラファディはますますイライラしてきたようだった。もともと怒りにまかせた単調な攻撃だったが、さらに大振りで雑な動きになってきた。


 ふふ、やっぱりボディだけ神スペックでも中身がクソだとダメってことだな。


 俺はそこで、一瞬わざとよろけてスキを作ってみた。


「そこだ!」


 基本に忠実な戦闘スタイルしかできないラファディは、当然そこを狙ってきた。よし、計算通りだ。俺はすぐに体勢を立て直し、その槍の突き攻撃を紙一重でかわした。(相手の動きは読めていたとはいえ、突きの速さが半端ないのでマジで紙一重の回避だ!)


「な……」


 よけられるとは思っていなかったのだろう。ラファディは俺の神回避に度肝を抜かれたようだった。さすが、初歩的なフェイントに引っかかる学者先生だ。反応がウブすぎるぜ、ハハ。


 俺はそのまま真横に飛び、やつの左手側から反撃を仕掛けた。


「うわっ!」


 完全に油断していたらしいラファディは、しかしギリギリで槍を駆使して俺の反撃を食い止めた。やはり腐っても昔の俺の体か。こんな状況でも反射的に神防御しちゃうんだなって。


 まあ、ここまではまだ俺の想定内だけどな!


 俺は直後、今は槍になっているゴミ魔剣に命じ、その形を変えさせた。今度は鎖だ。そう、何の変哲もないただの鎖。変態女の体に巻き付いているような……って、今は違うものがまとわりついているみたいだけどな。


 そして、それをラファディの持っている槍に向かって投げつけ、絡ませ、思いっきり引っ張った。えいやーっとな!


「わああっ!」


 いくら昔の俺の体が半オートで戦ってくれるとはいえ、こんなイレギュラーすぎる戦い方には対応しきれないんだろう。ラファディはあっさりと槍を俺に奪われ、丸腰になってしまった。


 よし、今だ!


 俺はすかさず奪った槍を拾って、やつに向かって投げつけた。槍投げだ!


 ドーンッ!


 それはきっちりやつの腹の真ん中に突き刺さり、やつはそのまま後ろに吹っ飛ばされ、壁にはりつけになった。武芸大会の一回戦の時のザドリーみたいに。クリーンヒットだ。


「はは、勝負あったな。どんなもんでい!」


 俺は鎖を拾いながらガッツポーズした。正直、昔の自分の体を傷つけるのはあまりいい気分じゃないが、まあ今となっちゃただのお古のボディだ。抜け殻みたいなもんだし、気にしてもしゃーないか。


「おお、さすがアル。やっるうー」


 と、外野でぼーっと俺たちの戦いを見ていた鳥人間のバカが俺に賞賛を送ってきた。抱えているほぼ全裸の女の乳を揉みながら。てめえ、俺をたたえるときくらいセクハラをやめろや。


「わあ、さすがトモキ君。なんだかよくわからない戦い方で勝ってしまいました」

「うむ、邪道もいいところじゃのう」


 呪術師二人も何やら俺を褒めているような、褒めてないような感じだ。うっせーな、勝てばいいんだよ、勝てば。


 と、そこで、


「な……るほど……さすがは勇者アルドレイ様……」


 壁にはりつけにされているラファディがうめき声を上げた。


「体の能力はこちらが上回っているというのに、勝てない……。やはりあなた様の魂は素晴らしい……フフ……」


 と、ラファディは何やら不気味に笑い、直後、槍を自力で引き抜き、すぐ下に着地した。


 そして、やつが壁から離れると同時に、やつの腹の傷は一瞬でふさがったようだった。鎧には穴が開いてるが、ほぼノーダメに戻ったようだ。


「なんだよ、てめえ。俺の体使っておきながら、勝手に再生能力足してんじゃねえよ」


 俺は舌打ちした。殺しても殺しても死なない相手ってほんとめんどくさいんだよな。どっかの呪術オタとかさあ。


「……そうですね。ここから先はもう、今までのようなフェアな戦い方はできないようですね」


 ラファディはさらに顔をゆがませ、いっそう不気味に笑う。


「フェア?」


 人の死体勝手に使っておいて、何がフェアな戦いだったんだ?


「さて、これから私は一人の錬金術師として、勇者様のお相手しましょう!」


 ラファディは両手を大きく広げ、高らかに叫んだ。


 直後、俺の周りの景色は一変した。床の一部が次々と隆起し、大蛇のモンスターに形を変えたのだ。召喚魔法だろうか。


「はは、こんなやつら、俺の敵じゃねえぜ!」


 俺はすぐさまゴミ魔剣を元の剣の形に戻し、俺めがけて襲い掛かってくるその大蛇たちを斬りつけた。動きはそんなに早くなく、いかにもザコモンスターという感じだった。


 だが、その俺の斬撃は大蛇たちに当たらなかった。少しも。


 スカッ!


 そう、俺の攻撃はすべて、大蛇たちの体をすり抜けてしまったのだ。


「あれ? こいつら幻か?」


 と、一瞬呆けたところで、大蛇の一匹が俺に牙を突き立ててきた!


「のわっ!」


 とっさにその攻撃をかわしたが、一瞬だけその巨体に腕が触れた。ちゃんと実体としてそこにあるもののように感じた。


「これはつまりどういう……」

「彼らは幻ではありませんよ、勇者様」


 と、そこでラファディの声が聞こえてきた。


「ただ、私の錬金術で、勇者様の攻撃をすり抜けるようにしているだけです」

「攻撃を……すり抜ける?」

「はい、勇者様の攻撃が当たった瞬間に、彼らの体はそこだけ気体になります。それだけの話です」

「って、ちょ……待て!」


 一瞬のうちに体の一部分だけ気体化して物理攻撃無効とか、チート過ぎない、それ! 俺、どうやって戦えばいいのかさっぱりわからないんですけど!


「さあ、行きますよ!」


 ラファディはさらに大蛇たちを俺にけしかけてきた。

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