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桜花舞う!!  作者: 高嶺の悪魔
第一章 春(後) 開拓村視察任務
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第三十話

 三日後。未だ、夜も明けきらぬ早朝から参謀本部へと出頭したサクヤは、すでに出発の準備を整えていたソウジに急かされて、用意されていた馬車へ押し込まれた。

 帝都北西に連なる飛禅連山、その麓にある第1151開拓村は、帝都周辺に七つある開拓村の中でも最も離れた場所にある。馬車をどれほど急がせても、片道だけで二、三刻はかかってしまう上、帝都を抜けた先にあるのは舗装もまともにされていない道だ。

 のんびりとしていては、帰りつくのが明日になってしまう。


 用意されていた馬車は、軍が兵員輸送などで使う簡素な幌馬車ではなく、一頭立ての箱馬車だった。狭すぎるわけでもないが、くつろげるほどでもない車内には向かい合った二列の座席があり、縦に細長い小窓が設けられていた。

 馬車が走り出すと、すぐにサクヤはお尻が痛くなった。整備の者が手を抜いたのか、そもそも整備などされていないのか。緩衝ばねの調子が悪く、車輪が地面から受け取った衝撃がそのまま座席へと伝わってくるからだった。

 初めのうちは我慢していたサクヤだったが、帝都を抜けた頃になると流石に耐えきれなくなり、いつものように羽織ってきた大外套を丸めて座席の上に敷いた。

 無いよりはマシ、程度の効果しかなかったが、それでも自然と向かい合って座る形になっていたソウジが羨ましそうにそれを見ていた。


「さて、と」

 しばらく、良い位置取りを探してお尻をもぞもぞとさせていたサクヤは、やがて諦めたように息を吐くと、堅から下げてきた通勤用鞄の中から紐で綴じられている書類を取り出した。それに、ソウジが課題を忘れてきた生徒を叱るような目を向ける。

「なんだ。目を通しておけと言っただろう」

「ほとんどは、昨日のうちに目を通しました。細かい部分を少し、確認し直そうと思っただけです。……私も、それほど暇なわけではないので」

 元々、この任務に乗り気ではない上に、寝起きの不機嫌さがまだ残っているサクヤはつんとした声で彼に答えた。上官に対して褒められた態度ではないが、特に誰の目もないためソウジは気にしなかった。

「それならば」

 尻への衝撃から少しでも逃れようと、座席に就いている肘掛に体重を乗せるような姿勢になったソウジが言った。

七倉ななくら大尉について、どう思った?」

 彼の質問にサクヤは書類から顔を上げることもなく、率直な言葉で応じた。

「恐ろしく有能な人物であると思います」

 そして、七倉ヤト大尉について纏められている頁を開いた。

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