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007
琥翠堂の店前で待っていた三人の下にソウジが合流したのは、夜も更け始めた時分だった。
「すまん。遅くなっ」
軽く片手を上げて詫びたソウジの声が、ぱしんという弾けるような音でかき消される。
言うまでもなく、コトネに思いきり引っ叩かれたのだ。
「いったい! アンタは! 何をしていたのよ!?」
一言発するたびに、コトネがソウジの頬を張る。
「ま、ってくれ! まずは、話、をっ!」
往復ビンタを浴びながら悲鳴を上げるソウジを、ミツルとコウは無視した。
怒っているコトネは確かに恐ろしいが、泣きじゃくられるよりはマシだと心の中で思っている。それにどうせ、誰も彼女には逆らえないのだ。
「それで? さっさと説明しなさい。いったい何がどうして、こんなことになったのかを」
ソウジの両頬がすっかり紅葉色に染まったところで。コトネが肩で息をしながら言った。
「……ああ」
ひりひりと火傷のように痛む頬を手で扇ぎつつ、ソウジは頷いた。
「本当はもう一人来るんだが……まあ、いい。あいつはもう知ってるだろうし、先に説明しておこう」
コトネからの無言の圧力に屈したのか。彼はさっと辺りに注意を払ってから、口を開いた。




