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桜花舞う!!  作者: 高嶺の悪魔
第三章 秋(後) 夢の続き
153/205

014

 どうしようもなく、夜は更けてゆく。

 短い秋が終わり、夜の帝都は全てが凍りついたように静まり返っていた。

 先週まで、毎夜のように虫たちの喧噪に満ちていた参謀本部の中庭も、今は次第に近づいてくる冬の冷たさに草木が身を震わせる、微かな音だけが響いている。

 そんな静謐の中へ、サクヤがふらりと姿を現した。

 ぽっかりと月の浮かんだ、寒気のするような夜空を見上げる表情は死人よりも穏やかだ。


 私は戦争を終わらせたはずだった。

 けれど。終わっていなかったのね。

 そんな思考を打ち消すように、サクヤは小さく首を振った。その口元に自嘲するような笑みが浮かべて、思う。

 いいえ。

 そんなことはとっくに分かりきっていた。

 見て見ぬふりをしてきただけだ。

 それはたとえば、ふとした拍子に覗く誰かの横顔だとか。たとえば、初めて会った時の彼の瞳の中だとか。たとえば、今でも毎晩のように見る悪夢だとか。

 国と国との戦争は終わっても、誰かも彼もの心の中で戦いは続いていた。

 なんにも終わってなどいない。

 だから、彼らは。彼は、私を。


 世界中を巻き込んだ大戦争。

 その後に残ったのは戦えなかった人々と、戦わなかった一部の人たち。

 そして戦った私たち

 生き残った、私たち。

 ならば、私は。

 最後まで、その責任を取らなければならない。

 戦いを終わらせてしまった・・・・・・・・・、その責任を。


 そして。翌朝。

 帝都が新雪に白く染まったその日。

 サクヤは、終わらせたはずの悪夢の続きを見ることになる。

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