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魔女の道々  作者: 川獺右端
第六章 農村ガリバタから二年目

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第43話 夜市が始まった

 はげ山の天辺で、火魔法の長老でもあるメロディ師がワルプルギスの夜市の開催の宣言をした。

 集まった魔女達が拍手して場が沸騰したみたいになった。


 ターラーはガントール工房のみんなと広場でそれを見ていた。

 どうでもいいけど、丁度良い小高い丘のあるはげ山を良く見つけてくるな、とターラーは思った。

 ブンチャブンチャと楽団が明るい音楽をかき鳴らし、気の早い魔女がエールの樽を開けて酒を飲み始めた。


「わああ、ここにいる人みんな魔女なのね」

「すごいね、王都では想像も出来ないよ」

「今から夜市が始まるんれすねっ」

「そうよ、ポーラ、みんなにも言っておくことがあるわ」

「なんですかー」

「カジノには行っちゃ駄目よ、凄腕のギャンブラーが主催してるから、最初勝っていても最終的に全部かっぱがれるわよ、王都に帰れなくなるわ」

「わ、わかったわ」

「お小遣い無くなっちゃうのね」

「私もやりませーん」


 とりあえず都市魔女は夜市に初参加なので、火魔女組合のテントに連れて行った。


「おー、ターラー、良く来たね」

「お世話になりますよ、ロッカさん、ガラス工房で一緒に働いている都市魔女の子達を連れてきましたので、登録お願いします」

「おお、火魔法の子が一杯だな、おしおし、みんな名前と住所と『色』と、師匠の名前を教えておくれ」


 ロッカが火魔女組合の名簿にセンター組のみんなの名前を記入していく。


「ポーラれすっ、王都の下町で『白』、師匠はガガン先生れすっ」

「おー、その若さで『白』はすごいな、どうだい、私の弟子にならないか?」

「師匠替えれすか、でも私はお母さんがいるので、王都を離れられないのれすけど」

「本当は、色々な所を行くのが道々の本筋なんだけど、定住していて、たまに旅に出る形のやり方もあるんだよ」

「ターラー師、どうしたらいいでしゅか?」


 ポーラはターラーに意見を聞いてきた。


「ポーラちゃんの好きにしたら良いけど、やっぱり都市魔女の師匠よりも、道々の師匠の方が実力が上だから、いろいろと勉強になるよ」


 ポーラはロッカの顔を見て、微笑んで、頭を下げた。


「ロッカ師、よろしゅくおねがいしましゅ」

「そうかそうか、なんかポーラを見てビビっと来たんだ、私の持てるノウハウを全部ポーラに伝えてやるよ。ガガン師との交渉も任せておきな」

「はい、おねがいしましゅ、ロッカ師匠」


 ロッカはポーラに師匠と呼ばれてとろけるように表情を崩した。


「いいなあいいなあ、私もお師匠さま欲しいなあ」

「そうね、都市魔女の師匠はあんまり教えてくれないから」

「夜市をうろうろしていれば、運命の出会いがあるかもよ」

「そういうものなんですか」

「師弟関係は前世とか運命とかで決まってる、という学説もあるヨイヨイヨイ」


 火魔女組合のテントの前をギャガと調査部の魔女達が通りかかり、声を掛けてきた。


「あ、ギャガ師、そうなんですか」

「まあ、運命だヨーイヨイ」


 ケラケラ笑ってギャガは歩いて行った。


「なんか不思議な魔女さん」

「『霊』の魔女さんだからね」

「わあ、心霊魔女さんなのね、こわーい」


 ハンナはオバケが苦手のようだった。


 その後、センター班はメロディ師に火魔法を見て貰ったり、魔導炉の記録を塗り替えたと自慢したりした。


「そうかいそうかい、ガンドールの魔導炉の記録を破ったかい、炉は歌ったかい?」


 メロディ師はにんまり笑ってそう言った。


「ええ、とても良い声で歌いました、というか、やっぱり設計時に仕掛けてあったんですね」

「ああ、危険温度の百度下で鳴るように仕掛けたと言ってたがね、なかなか難しくて、やっぱり鳴ったんだねえ」

「すごい設計者さんだったんですね」

「ああ、もう死んじまったが、ヴァネッサは『土』の鍛冶魔女で天才だったよ。幾つも凄い炉や仕掛けを王都に作ったよ」


 まだヴァネッサ師産の炉とか、仕掛けが王都に残って居るのか、とターラーは思った。


「ガンドールの社長は、いまだに元気にやってるみたいだねえ、懐かしいよ」

「ますます工房の名前は高まっていますよ」

「王都に行って、あんたのガラス像を見たよ、あれは千年、のこりそうだね」

「ありがとうございます」


 メロディ婆さんにガラス像を褒められてターラーは我が事のように嬉しくなった。


 その後、みんなで夜市を冷やかして、その後、ゾーヤと合流して、アウネの街へと繰り出した。

 街も夜市がある関係で魔女や観光客で賑わっていた。

 若旦那とボストン師と合流して、ホテルのレストランに連れていって貰った。

 なかなか美味しい料理を出している店であった。


「意外と良いホテルね」

「シーツも綺麗だったし、良い宿よ」


 サリーがホテルを褒めた。


「ポーラもホテルで泊まった方が良くない」

「テントがいいのれすっ、なんだか燻製みたいな良い匂いがして嬉しいのれすっ」


 そりゃ、テントの近くで煮炊きしてるから、煙で燻されているのだ、とターラーは思ったが黙っていた。


「私もテントで泊まりたい~」

「私も私も」

「駄目なのれす~」


 意外とテン泊は人気があったのだった。

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