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底辺不良中学時代 (5)

 NとAが、

私を援護してくれたのは意外だった。

孤立無援は覚悟していたんだけど。


 特にAはね。

敵に塩を送った形になる。

Aは私を毛嫌いしていたし、

テストとかも一点差が多くて。

肺活量を測定した時なんか、

私が彼の記録を塗り替えたら、

「絶対おかしい!

もう一回測定し直す!」って、怒り狂っていたよ。

後に甲子園に行った奴だからね。

身体能力で私に負けるなんて信じられなかったのだろう。


 この二人は、

助け舟を出してくれたわけだが、

逆の言い方をすれば、

他の連中は、

全員、

私を裏切った。

予想通りだけど。

あれだけ「決起する!」って、盛り上がっていたのに。


 話はズレるが、

この時からだね。

『勉強の出来る人間』を信用する様になったのは。


 それまでは、

(勉強なんて、やりさえすれば、誰でも出来る)くらいにしか、

思っていなかった。

『人間の能力差なんて、たかが知れている』

と。

『三人寄れば文殊の知恵』とは、

『人間の頭は、

標準の三倍の働きをするのは、

無理』

を意味する。

これを逆の見方をすると、

(勉強の出来ない奴は、

能力以外に問題点が有る。つまり人間性に)

となる。


 話を戻すと。


 私は、

(服装や髪型を規制されても、

超優等生のNとAには、

関係無いじゃん!)

と思っていた。

そして、

その場に居た教師達も、

同じ様に感じた様だ。

その結果、

事の重大性も、

理解したのだろう。

私が天下の嫌われ者だって事は、

教師達も全員知っていたから、

(私を守るためにNとAが立ち上がった)なんて、

希望的観測は抱かない。


 その場は生徒総会だった。

あくまでも、

生徒会の役員が、

質疑応答を行っていたのだけれど、

教師達が、

その生徒会を無視した。

誰だか? 解らないオバちゃんが、しゃしゃり出て来て、

生徒会からマイクを奪い、

壇上に上がった。

そして、

話した内容が、

「昔は貧乏で服が買えず、

制服が出来た時は、

どんなに嬉しかった事か」


 出たよ!


 この当時の大人は、

親も教師も、皆、戦争を経験していたため、

【戦前は悲惨だった】

【日本は戦争に負けて良くなった】

という話が、必ず出て来る。

その体験談が、

「若い母親が、

赤ん坊に乳房をくわえさせながら、

死んでいた」

とか、なので、

まぁ、誰も、何にも言えないんだけど。


 また、話は完璧にズレるけど。


 『宇宙戦艦ヤ○ト』を観た外国人が、

主役級の登場人物が死んだので、

大変驚いたのだそうだ。

日本人だったら、

主題歌の歌詞の『必ず帰って来る』で、

(生きては帰れないんだろうな?)

とは、

感じると思うが。

そもそも、

その『宇宙戦○ヤマト』よりも前の子供向け番組は、

最終回で主人公が特攻しちゃうのが、

多かった。

戦争のドラマも、

ストーリーは、

当然、

『日本軍の作戦が成功して、日本が局地的な勝利を収める』んだけど、

味方を逃がすために、

たった一人で待ち伏せして、

米軍に蜂の巣にされるとか、

日本兵が、

どんどん死んで行く。

最終回では、

生き残ったのは、

僅か数人。

日本の勝利なのに。


 話を戻すと。


 一人の教師が、

私の前で座っているNとAをスルーして、

私に向かって来た。


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