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底辺不良中学時代 (4)

 Kと私が、

立ったまま話をしていると、

目の前で動きが有った。


 私の列の前、

つまり私のクラスの人間が手を挙げた。

まずNが私に賛同し、

Aが援護してくれた。


 信じられない光景だった。


 何故?


 私が不思議に感じたのは、

その二人の顔触れだ。


 まずNだが。

彼は、

その後、

地元のトップ高へ進学し、

東北大学へ行った。

彼の能力は、

『T大や医学部の連中と比べてみても、

見劣りはしない』

とは思っていたが、

息子はT大へ行った。

何故?

こんな優秀な奴が底辺不良中学に居たのか?

と言うと。

実家が八百屋だったから。

彼の叔父さんも、

私の家から30メートルくらい離れた場所で、

やはり、

八百屋を開業していたのだけれど、

どう考えてみても、知性や教養とは、

無縁の環境だった。

ちなみに、

Nのお姉さんも、

東北大学を受験しようとしたが、

両親に却下されてしまったそうだ。

その後、

Nのお姉さんは、

底辺不良中学の同級生と結婚した。

嫁ぎ先は、

私の家の隣の町工場。

昔の日本では、

個人の家で家具を作っていたんだよ。

さて、

そのNと私の関係だが、

私は天下の嫌われ者なので、

当然の様に仲が悪い。


 次にAだが。

彼も、

その後、

地元のトップ高に進学し、

甲子園へ行った。

勉強でしか入学出来ない進学校から、

甲子園へ行ったのも凄過ぎるが、

その後、

推薦で慶應義塾大学へ。

まぁ、NもAも、高校でも一緒だったわけだが、

当時の通知表は、

今の絶対主義とは違って、

相対主義なので、

私の高校で慶應義塾大学の推薦基準をクリア出来る奴は、

普通、

T大や医学部へ行く。

実際、

Aの他に、もう一人、推薦が決まっていた奴が居たんだけど、

そいつが東北大学の医学部を受験してしまって、

大問題になった。

そんな、何もかも揃っているAが、

何故?

底辺不良中学に居たのか?

と言うと。

転校生だった。

中二の時に、

他県から転校して来たので、

隣の国立大学の附属中学を、

受験する事が出来ない。


 話はズレるが、

私の中学が、

底辺不良中学として、

地元で有名だったのは、

この国立大学の附属中学と校舎が並んでいたから。

たぶん、

元々は同じ敷地だったのだと思う。

附属幼稚園や附属小学校も在るので、

私の中学の学区で、

まともな家庭の子供は、

必ず、

これらのどれかを受験する。

私の家でも、

姉は、

エリートコースだった。

でも、

私は、

附属を受験した事すら無く、

ずっと底辺。

その理由は、

『父が共産党員で、反対していたから』

だと思っていたが、

亡くなる前の母の話に依ると、

『父が浮気をしたので、

家庭が崩壊していたから』

らしい。


 話を戻すと。


 このAは、

『妻曰く「栄光の陰にイジメ在り』で書いた同級生だ。

彼は、

「甲子園に行った」

と言うと、妬まれるので、

隠していたのだそうだ。

さて、

そのAと私の関係だが。

彼は、

私を露骨に毛嫌いしていた。

全部、私が悪いんですけどね。

中学を卒業して四十三年も経っていたのに、

同窓会で言われたよ。

Aが、

転校初日の挨拶を終えて、

席に着こうとしたら、

私が椅子を引いたので、

スッてんコロりんしたって。


 もう御解りだと思うが、

NとAの共通点は、

どちらも、

『底辺不良中学には似つかわしく無いほど、

優秀』

という点。

私は、

この二人が、

服装や髪型に対する規制に反対したので、

不思議に思った。

(品行方正・成績優秀なんだから、

何の影響も無いだろ?

どうせ、

規則違反になる様な事は、

元々しないのだから)






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