この頃、日本衰退化計画が始動していた (2)
高校に入ると、
私は、
同級生達から、様々な伝説を聞かされた。
例えば、
王○治選手が、
ホームランの世界記録を塗り替えようとしていた頃だったので、
『その王貞○選手が高校生の時に、
私の高校のグランドで、特大ホームランを打った』とか。
ちなみに、
この伝説は事実なのだそうだ。
その時に三塁を守っていた人から、最近になって聞いた。
打たれたのは、
後に巨○軍で活躍した某投手。
私が生まれる三年前の話だ。
その伝説の中には、
名物教師に纏わるものが。
『赴任の時に、東京から走って来た』とか。
だけど、
そんな影響力の有る教師達は、
私が高校へ入った時には、
一人も残っていなかった。
全員、左遷されてしまったらしい。
さて、
この教師の左遷だが、
中学の教師よりも、
高校の教師の方が、被害がでかい。
具体的には。
1 農業や工業、商業高校などの実業高校から、
進学校へ転任する場合。
これでは、
受験指導は難しい。
でも、
教師になる様な人は、
元々、レベルが低かった人だからね。
『医学部に合格した』どころか、
受験さえもしていないのが、ほとんどだ。
左翼教師だった私の父が、
ある時、
「生徒に質問された問題が解けない」
と言って、
これを、当時高校生だった私に聞いて来た。
問題
X+Y+Z=1の時、
√X+√Y+√Zの最大値を求めよ。
数学の教師なのに。
ただ、
父は文系だったけど、
徴兵を避けるために兵器学科へ行き、
第二次世界大戦中は勤労動員で【工場長】となり、
戦争が終わると、
繰り上げ卒業となって、
その兵器学科が廃科になってしまった人だから。
その後、
【課長】として就職し、
管理職なのにストを支援したため、
責任を取って退社し、
旧制中学の時の担任が、
商業学校の校庭を耕して畑にするのを手伝ったら、
その商業学校の教師になってしまっただけだから。
当然、
その時代には、
教員免許とか無い。
話はズレるが、
戦前の日本は、
徹底した学歴社会だった。
だから父は、
学生なのに【工場長】となり、
新卒で【課長】だった。
それは、
旧制中学自体が、
金持ちの子供が行く所だったから。
【金持ちの子供が出世する】という、
今と全く同じシステムだっただけ。
【資本主義社会】だから当たり前なのだが。
学歴社会とは、
【親の力】で出世していたのを、
まるで『本人の努力』であるかの様に、
見せ掛ける社会なのだ。
話を戻すと。
生徒の立場からすると、
高校生になっても、教師よりも優秀でなかったら、
それでは将来性が無い。
教師の立場からすれば、
トップ高へ転任しただけで、
教師としての幸せを感じる事が出来る。
それまでは、
一生懸命授業をしても無反応だったのが、
目を輝かせて聞いて貰える様になり、
今まで受けなかったギャグも、
大爆笑を誘う。
逆を言うと、
トップ高から他校へ転任するのは地獄だ。
私の高校には、
生徒からの絶大な人気を誇る『国語教師』が居た。
進路指導の本なんかにも、
卒業した浪人生達から、
「東京の一流予備校にも、『国語教師』に敵う人は居ません」
と、
書かれていた。
そう。
その『国語教師』は、
隣の市の予備校とかでも教えていた。
当時は、
ギリギリ、教師がアルバイトをして良かったから。
その『国語教師』は、
別の市の商業高校へ転任になったのだそうだ。
そして、
自殺した。
2 進学校から、
主に就職する高校へ転任する場合。
これが大問題だった。




