58、頑張れお父さん
翌日は部屋で朝食をとり、その日の予定を聞いた。
街中の視察……に着いていくらしい。
しかもオリゴン准将達と……
うわ、絶対やだ!
私は朝食を食べる手を止め、実は朝から体調が悪い、熱があるかも……と訴えた。
するとロイドは"なに仮病使ってやがる"と言う顔をして、小さなため息をつき「少々お待ち下さい。」と部屋の外に出ていった。
ロイドがいない間、マルタが大変だわ!と私をベッドに寝させ、お医者様をお呼びします。と言うのでそれを必死で止めた。
そうこうしているうちに、ロイドが戻って来た。
「ロイド、リリア様にお医者様を呼んでくれた?」
焦ってるマルタがロイドに聞く。
「……姫様はお小さいので、長旅の疲れが出ただけと思われます。今日1日ゆっくりしていて下さい。お医者様は必要ないでしょう……」
冷静にロイドが答える。
仮病だから要らねえよな?と目で言われた気がする。
はい。お医者様は必要ありません。…て言うか呼ばないで!
「私はオリゴン准将に同行する事になりました。姫様はこの部屋から出ないように、外に屍兵が配置してあり、シーラとレイラそれから"カズクン"もおります。王宮内で襲撃はないと思われますが、迂闊な行動はお控え下さい。」
要するに仮病使って外に遊びに行くなってことだよね?
出ませんよ。部屋でゆっくりします。
それにしても襲撃ってなによ。街中に行ってたらそんなイベントあるの?余計行きたくないわ。
あ、でもフェルが出かける前に抵抗勢力のあぶり出し? だっけ? そんな事言ってた気がする。
私は、囮に使われる予定だった? としたら本当は行った方がいいのか……行かないけど。
「見舞いは通すな、断れ。」
マルタとシーラ、レイラに指示をだし、そのままロイドは部屋を出ていった。
昨日からロイドは腕に包帯をつけていない。怪我は治っているのか……
身体中の傷や痣は治ったのか?
ジャケットを着ているから分からない。
私の代わりにロイドが視察の同行だとしたら気の毒、ちょっと後ろめたかった。
でも私が行っても行かなくてもロイドは行く運命だったんだよね?
そう思ったら、まあ、いいか。
頑張れお父さん!




