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284、アレスのこれまで話

 アレスがルカレリアに入って二週間経っていたそうだ。


その間ルカレリアの兵士の剣の訓練に付き合ったりしていたらしい。


 とりあえずアレスが使っている部屋で話をする事になった。


結婚前に二人きりは不味いのでラファエルも一緒だ。


 ラファエルはすっかりシスコン扱いをされて兵士達から冷やかされたりしていたが動じてなかった。

すまないラファエル。でも人気者っぽいねラファエル。


思えば君は私が生まれる前から本当にお世話になった。


本当にアレスに再会するまで面倒見てくれたね。


ラファエルだって外の世界にいってみたかった筈なのに……


こっそりラファエルに感謝をする。


 兵士達は「汚いところですが」とか言いながら部屋の前まで案内がてらついてきた者もいた。

ドアを閉めたが多分ドアの外にも窓の外にも兵士がいる。


どうして皆さんそんなに私達に関心があるの?


 窓の外にいる兵士達をラファエルが追っ払いカーテンを閉めた。



ふう……と溜め息をつくラファエル。


「アレスともなかなか話せなかったな、リリアに会わせてあげられなくてごめん」


「いや、ありがとう。ラファエルと双子と聞いていたけど……ルカレリアの血はすごいな……」


 アレスが私を横目で見ながら言った。


「それ、どういう意味?」


「いや……変な意味じゃないよ……その……今までもかわいいし綺麗だったよ……」


ん?


「だ、だからスゴく……その……綺麗だ」


「何が?」


「だから……リリアがスゴく綺麗だって!」

アレスが真っ赤になって照れて言った。


 お父様もお母様も美しい、ラファエルも美しい、のはわかる。


私、美しいの?

なんか容姿をあまり誉められた事がなかったから分からなかった。


お母様と比べていたせいか自分をそんなに美人と思ってなかった。

お母様より残念な感じだし、前にラファエルが以前のリリアと変わらないっていってたから……


 アレスに綺麗なんて言われて、私も真っ赤になった。


「ほら、見つめあって無いで、いくら俺が一緒でも結婚前だしあまり長居出来ないよ」

ラファエルが言った。


「う、うん」


 でも私とアレスは真っ赤になってうつむいたまま何も話せなかった。


「どうした!? アレス、会ったらハグしてチュウじゃないのか?」

ラファエルがせかしてくる。


「いや、さっきはつい抱き締めちゃったけど……結婚式まではまずい……触ったら止まらなくなりそうだ……」


「え、いいよ、ちゃんと黙ってるよ。俺はちゃんと気の効く男だ」


何故「いいよ」ってラファエルが言うの!

黙ってるって言うけどお父様の犬だからあやしいし、二人きりでもないのに、ラファエルのいる前でイチャつけません!


「やめとくよ……お義父さん怖いから……」

アレスが目線をそらした。


ラファエルみたいな反応だ。

何それ流行ってるの?



「そ、そう言えば、お父様に働かされてたって聞いて……エターナルの調査団を手伝ってたって……」


アレスの顔色が悪くなった…


「う、うん……リリアのお父さんが本当にロイドさんになるとはね……予感は無くはなかったけど……眠りから覚めてすぐ会うことになって……ある意味魔王と対峙した時より怖かった……」


ええ!!!? 魔王より!?


「何て言うか……やっぱりお義父さんに嫌われたらまずいし……一度目の世界でリリアと二人きりで結婚しちゃった後ろめたさもあるし……ひっそり暮らすつもりが……」


ご、ごめんね、アレス!!

私がロイドから産まれたばっかりに……!! (産んだのはマルタだけど)




「そ、そう言えばみんなアレスの事アレスって呼んでたね~」

巧みに話題を変えてみた。


「"カズヤ、ナルセ"は発音しづらいらしい……外ではみんな"ナルセさん"と呼んでくれるけど何故か内輪だけになるとみんな"アレス様"って呼ぶんだ……」


「ふ、ふーん、そっか、さっきの人達が調査団の人? あんなに大勢でビックリしちゃった」


「……調査団は最初20人だった……エターナルで活動してた人数はそのぐらい……」


 さっきの人数はどう見ても20人じゃない!!


「俺の事を洩らさないと魔法契約して貰ったんだ……そのうち少し人数が増えるって聞いて、2~3人かと思ったら調査団に参加して無い人もどんどん魔法契約をコピーして増えていって……お義父さんに聞いたら兼任する者が増えたって……」


「兼任?」


「つまり城の兵士全てが調査団と兼任でって名目を立てられたんだ。城の者以外に口外しないけど皆俺が勇者だって知ってる状況になった」


え? 城の兵士全て!?


「調査団の仕事が終わってルカレリアに入った頃には城中の兵士に勇者と知られていた。お義父さんは俺を引退させる気がないのかも……」


「皆でお祝いするためだよ。誰だかわかんない奴がリリアと結婚するより皆が祝ってくれる方がいい。前回は寂しい結婚式だったから今回は大勢に祝福される幸せな結婚式にしたいんだ」

ラファエルが言った。


「前回は寂しい結婚式だったって……お父様は知らないでしょ?」


 ラファエルがヤバいって顔をした。


やっぱりお前喋っていたのか!?


「そうか……皆が祝福か……そうだね」

アレスが笑った。


「良いお父様だね。リリアが幸せに育ってくれてて良かった、もう帰った方がいいよ。あとは結婚式でねリリア」


 もっともっとアレスと一緒にいたかったけど帰されてしまった。

でもあと少しの我慢だもんね。


後ろ髪引かれる思いで兵士の宿舎を後にした。


 帰る途中兵士が道を作ってくれていた。両脇に人が並んでいる。


なんか変な光景。


皆がおめでとうございます。と声をかけてくれる。


私はどんな顔をしていいかわからずラファエルに隠れて進んだ。












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