263、一番可愛い私を見て貰おう!
フェルの地下室に戻るとフェルが待っていた。
「アレス、言い過ぎて……ごめん」
「俺こそ心配かけてごめん。もう大丈夫だ。今晩出るよ」
「アレス、ごめん」
「もう謝らないでくれ」
フェルがアレスに抱きついた。
しばらく見なかった光景だ。
アレスがフェルの頭をポンポンした。
フェルは下を向いたまま笑った。
フェルとの仲直りも出来たようでホッとした。
私は着替えに戻る事にした。お洋服濡れてるし、出発前に可愛くしておこう。
「リリア……これを……」
フェルが私に何か渡してきた。
これは……姫巫女服だ。
そういえばフェル(ニーナ)とお揃いで作ってもらってたんだっけ?
ニーナとの思い出になるなぁ
「ありがとうフェル。もらって行くね」
あんなに練習した踊りは結局もうしなくても良かったのか……
まあお陰で妖精石が出来たのかもしれませんが、これを着て神殿で踊ったら何かあったのだろうか?
姫巫女の踊りを完璧に踊れたら神様は答えてくれるのだろうか……?
そう言えば今さらだが神様は何種類いるんだろう?
「姫巫女の踊りはどの神様が答えてくれるのかな?」
なんとなく考えていることが言葉に出た。
「それは最高神エターナルじゃないかな?」
フェルが答えてくれた。
「は? エターナルって国の名前では? 神様の名前だったの!?」
「神の名前をもらって建国したんだよ。エターナル王宮の地下には大迷宮がある。この地下室もその一部だよ。その大迷宮からある時神が現れて国を作った、と言うのがエターナルの建国神話だよ」
マジ? エリザの授業がつまらなすぎて気を失って(寝ていた)部分か……
そんなこと言ってたような気もしてくる。
「それで、エターナルの王族は神の子孫で勇者の血筋って事になってるけど、ルカレリアと違ってそれはないと思うんだ。たぶん実際は地下への入り口の管理を任された一族だったんじゃないかと思うよ」
「そうだね。民を管理しやすいように神格化したんだろう。お陰でエターナルは大国になったんだ」
おお、エリザの授業よりよっぽどおもしろく聞こえるのがすごい。
二人が先生だったら私は優等生になれたかも!
「じゃあ私、せっかくだからこれに着替えて来るね」
服を持って自室に戻る。
ああ、もうすぐアレスとお別れだ。
アレスが私をすぐに探したくなっちゃうくらい可愛くしないと……
一番可愛い私を見て貰おう!
自室に戻るとマルタとサクラコが私の荷造りを終えていた。
「姫様、どこに行ってたんですか? ドレスどろどろですね」
サクラコに言われた。
「ごめんね。心配しちゃった?」
「ロイドが姫様は夕方までには戻ると言っていたので心配はしていませんが……ちょっと汚れちゃいましたね。急いでお風呂に入りましょう」
マルタがお風呂の準備をしてくれた。
急いで綺麗に洗って着替える。
「この服を着るんですか?」
「変わったデザインですね」
姫巫女の服を見てマルタとサクラコが不思議そうに言った。
まあ確かにアイドルか魔法少女のようなデザインだ。
これを着こなしちゃったフェルの当時の女子力の高さに脱帽ものだ。
「これに似合うように髪を結んでほしいの。アレスにかわいいって思ってもらえるように」
「まあ、姫様ラブラブですね」
サクラコは笑った。
「お任せ下さいリリア様、いつもかわいいですがもっと可愛くしましょう!」
マルタに気合いが入った!
髪は二つにするかひとつにするか迷ったあげく大人っぽくひとつにしばった。
ポニーテールだ。
そこに服に合わせられるようにいろいろな色のリボンを出してきて、合うリボンを見つけた。
リボンをつけて、薄くお化粧もしてくれた。
初のお化粧だ。
何だか大人っぽくなった気がする。
子供のバレエ発表会で見るようなきついお化粧ではないせいかとても綺麗に仕上がった。
マルタは普段うっかりさんだが、こういうところはすごいと思う。
ロイドが来て、私の荷物を屍戦士に運ばせた。
「マルタとサクラコも自分の荷物を運んでもらって馬車へ先に行ってくれ」
「「はい」」
マルタとサクラコが部屋から出ていく、ー瞬振り返り二人でがんばれと拳をグッとしてきた。
まあ、ラブラブがんばれ的な事らしい。
うん、頑張るよ。
アレスを夢中にさせないとね。
魔法少女風の姫巫女衣装です。




