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236、マルタの暴走

「マルタ、ロイドならここにいるよ」


マルタを追いかけてマルタに触れようとした。


「待て! 姫様!!」

ロイドが叫んだ!


 私はマルタに手を払われ吹っ飛ばされた。壁に激突する前にロイドが受け止める。


腕が痛い。なにこれ?


「痛い!!」


 ロイドが私の腕を引っ張った?

一瞬気が遠くなった。

今まで経験したことの無い痛みだ!!


激痛の中、私の腕が何か木ベラと包帯で固定された。


「骨折してますね。応急措置はしたので大人しくしていてください」


そう言ってロイドがマルタを追って出ていこうとする。


 腕は痛いがダメだよ! このままロイドを行かせてはダメだ!

ロイドは重傷の包帯男だ!


「ロイドは重傷だからハイポーション飲んでーーーー!」


「姫様が飲みなさい! 私はマルタを追います」


「待ってーーーー!!マルタどうしちゃったの?」

痛みで涙が溢れる。えぐえぐ泣きながら聞く。

いくらなんでも触れただけで吹っ飛ばされるのはおかしい。


「……前に少しお話しましたね。暴走です」


「ロイドが大変な時に!?」


「だからですよ。彼女を不安定にしてしまったようです」


「じゃあ、ロイドひとりじゃ大変だよ! シーラとレイラは?」

戦闘メイドの出番でしょう。


「……私ひとりでいいです。彼女達を巻き込みたくないので……」


「ダメだよー! ロイドは眼が!!」


「……もう痛くないです」


うわーーーーすごい強がり言ってる!

「嘘だよーーーーー!!」


「とにかく私ひとりでいいので、姫様はくれぐれも大人しく!」


「シーラとレイラ呼んできます。」えぐえぐ…


「呼ぶなって! ーーーーーーああ、もう! ……以前いたサリーとカーラを覚えてますね? 彼女達は以前マルタが暴走した時にマルタに殺されたんです。これ以上彼女に誰も殺させたくないし犠牲も出したくない! わかったら姫様は良い子にしていなさい!!」


 ロイドが飛び出して行った。


私は呆然としていた。


サリーとカーラ……

突然いなくなっていた二人はマルタに殺されていた?


マルタが?


あのマルタだよ。


それはないよ。あのマルタだもん。


だって、だってマルタはそんなこと出来る人じゃないし……


 ちゃんと話しかければマルタも目覚めるかも?

私だって気がついたらきっと乱暴な事はしない。


だってマルタはとても優しいもの、誰かを傷つけるような人では無いもん!


 私は夜の裏庭に腕の痛みを堪えながら飛び出した。


マルタを助けないと!

ロイドを助けないと!


どこに行ったの二人とも!?


 裏庭の木々がざわつく中、私は二人を探して走り回る。


どうか無事でいて、どうか無事で!!







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