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184、小さいままチビリル

「チビリルは大きくならないですね。」


 マルタの胸にくっつくチビリルを見てサクラコが言った。

 そう言えば犬って成長が早いはずなのに、チビリルは来たときからずっと大きさが変わっていない。

 何ヵ月も同じ大きさだ!


 分身と言っていたから成長しないのだろうか?

(成長して象のようなフェンリルさんみたいになっても困りますが……)


 自分の事を噂されているのにチビリルは全く気にせずマルタの胸の上だ。


「この大きさで成犬なんでしょうか?」


サクラコが不思議そうにチビリルを見る。


「どう見ても子犬ですよね? 私昔犬を飼っていましたが何か違います。 毛質が赤ちゃんのまま柔らかい感じと言うか……普通は成犬てもっと毛も骨格もしっかりしてくる様な気がします。……小型犬てこういうモノですかね?」


チビリルの毛をモフモフしながらサクラコが言う。


 本当は超超超大型犬(象の大きさ)なのだが分身はこのままなのか……

かわいいからいいけど……


 私もチビリルをモフる。

チビリル、何で小さいままなの?

大きくなったらデカリルになっちゃうから?


《大きくなったらここに乗れなくなるからだ!》


チビリルが私に答えを語りかけてきた。


マルタの胸の上に乗れなくなるからその大きさのままでいるってことですか?

まさかそんな理由だとは……


エロ犬……





「この子……私みたいで……」

マルタがポツリと言った。



 私みたい?

どのへん?

「マルタと似てるって、かわいいところ? でもちょっと違う気がする。マルタは可愛いけど綺麗って感じだよ」


私の言葉にマルタが赤くなる。


「リリア様の方がかわいいですわ。ただチビリルは歳をとらないのかな? と思いまして……」


「歳をとらない? まあマルタは相当若いけど……」

とてもロイドと同じ歳と思えない位若い。


「ロイドは今28です……あれから10年も経ってしまった」


 マルタが悲しそうに言った。


ロイド28歳になってたのか。

「お誕生日、いつだったの? 言ってくれればお祝いするのに……」


 私の言葉にマルタが慌てる。

「いえ、いいんです! 全然! それよりリリア様、今度街から仕立て屋さんを呼びましょうね。身長伸びましたよね?」


 まあ、確かに伸びましたがもう少し大きくなってもいい気がする。

まだまだアレスの横に立つには無理がある大きさ。


 理想はマルタの体型だな。羨ましい。


「ロイド様の誕生日はいつだったんですか?」

サクラコが話題を戻した。

 マルタが話題を避けたようだったが、サクラコはお構い無しだ。


「あ、いえ、その……先先週です」


「知っていたらお祝いするのに、マルタの……」

私が言うと……


「え? なぜマルタさんの?」

サクラコが不思議そうにする。


あ、マルタとロイドが双子ってまだ知らなかったのか……

そういえばマルタはサクラコに自分は18歳って事にしてあったような?


 そもそも本当に二人は双子?

最近似てない気がする。

 最初よく二人が双子って気がついたよ、私。

私の観察眼すごいかも?






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