132、少年の心を忘れていない人
黙って目線をはずす私。
これだけは絶対に言えません!!
「姫様、私に何か秘密にしようとしても無駄です。言いたくないなら視ますよ」
へ?
「言わなくていいですよ。あとで視るので……」
えーーーーーーーーーーーーーーー!?
もしかして私の頭の中を勝手に視るって事を言ってる?
そ、それって私の人権とか人権とか人権が無いーーーーーーーー!?
鬼か!!
「前から思ってたけどロイドって私に酷すぎる! 初めて会ったときから悪意を感じる!」
「そうですか? まあ、そうかもしれませんね」
なに認めてるんよ?
私は涙を堪えた。
「最初はねー、確かにそうかもしれません……どうせ生け贄にされる姫だと思ってましたから、……はい、コアです」
アレスの中にあったコアを渡された。
白い光のコアだ。うわーーーー綺麗。透き通る光に包まれて眩しい。
突然コア渡されて……私にどうしろと……?
コアを持った私をロイドが視ている。
何してるの?
「はい、もういいですよ。返してください」
コアをとられた。
「姫様にこの珍しいコアが反応した訳ではないようですね。何もないです」
ーーーーー!!? ん? ーーーーー何か聞き流した気がする……?
「……あれ、さっき私の事を"生け贄にされる"って言った?」
「おや? 師匠から聞いてなかったんですか?」
「いけにえ? いけにえ? あ、魔王復活に私の命が必要ってやつ? 魔王を倒すにも必要って言ってたっけ? それって生け贄!?」
深く考えてなかったけどそう言うことですか!! 改めて酷い!!
「え、じゃあ私が生け贄にされるから意地悪だったの? そこは優しくするべきでしょう!? あんまりだよ!」
「感情移入したくなかったんです。割りきりたかったので……あとは八つ当たりですかね」
さっきから酷いことばかり言われている?
「割りきる? 八つ当たり!? なんの?」
「セレシャが逃げたから……」
アレスにコアを戻して何かを視ている?
気になる話をしながら気になることしないで!
「セレシャ……?」
「自分のお母様の名前、ご存知ないですか?」
「お母さん!」
ここにきてお母さんの事が出ると思わないよ!
「私のお母さんが何かしたの!?」
「だから八つ当たりだって言ってるじゃないですか。セレシャが逃げたからマルタに愛妾の話が本格化してしまって、私にとってはとても迷惑な話でした」
は?
はあ?
あ! 前にマルタから聞いた話にそこから繋がるんだ!
「なにそれ……ひど……八つ当たりとか、子供じゃん!」
思わず口から出た。
「そうですよ。私、少年の心を忘れていないので」
ロイドがにやけながら言った。
うわーーーーなんだコイツ! 腹立つーーーー!!




