最初の一行で読者を惹き込むべし
最初の一行。
ここで、いかに読者の集中を作品に向けさせるか。
これが肝心だ。
一行目からダラダラと説明を始める作品がある。
ほとんどの場合、筆者はそこで読むのをやめる。
作者の力量を測る上で、これほど分かりやすい指標もないからだ。
現実から作中に没入するスイッチ。
それが冒頭の一行目となるわけだが、いったいどのように書くのが、一番手っ取り早いのか。筆者が推奨するのは「いきなりセリフから入る」である。
会話から入ると、すでに物語が始まっていることを意味し、否が応でも、読者は物語に集中せざるを得なくなる。特に切り出しの会話が、すでに本編で語られる事件が発生している状態で、それに対する登場人物の感想であった場合、耳を傾けるほかない。
スイッチを変えるという意味では、五感に訴えかけるのもよい。曖昧な表現ではなく、具体に対する感覚を切れ味するどく、言葉にするのが、出だしとしては良いだろう。
たとえば、「○○は、強烈な匂いに意識を失いかけた」という文章を書いた場合、単に強烈な匂いとはせず、それが具体的に「何の匂いなのか」を書いた方が、読者もイメージがしやすい。
「ひとが焦げる匂いは、○○に似ている」
こんな一行から始まる短編があれば、嫌が上でも、読者のスイッチも切り替わるのではないだろうか(喩えのチョイスは、それでいいのか?




