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第6話「赤くなる公爵様と、赤くなる私」

目を覚ますと異世界のベッドの上――公爵様はいずこ……?

胸元の印を見せることで訪れる、甘くてちょっとコミカルな対面シーンをお楽しみください


目を覚ますと、そこは見知らぬ天蓋付きのベッドの上だった。

ついさっきまで手を握ってくれていた公爵様の姿はもうなく、胸の奥に小さな不安と寂しさが広がる。


すると、近くにいた使用人がこちらに気づき、慌てた様子で誰かを呼びに駆け出していった。

――な、何? そんなに慌てること!?


ほどなくして、廊下からバタバタと複数の足音が近づいてくる。

ドアの前で一度止まり、控えめにノックの音が響いた。


「……目を覚ましたと聞いた。入ってもいいか?」

聞き慣れた低い声――公爵様だ。


思わず髪を手ぐしで軽く整え、「どうぞ」と招き入れる。


入ってきた公爵様の姿に、私は思わずうっとりと見惚れてしまった。

鋭い眼差しに、威厳ある立ち姿。けれど私に向けられるその気配は、不思議と安心を与えてくれる。

――やっぱり、私のタイプど真ん中……!


そんな視線に気づいたのか、公爵様は軽く咳払いをして口を開いた。


「……まずは自己紹介をしよう。私はアルデリア王国の公爵、アルデリア・フォン・マット・アレクセイ。年は四十五になる。……君の名は?」


そういえば、まだきちんと名乗っていなかった。


「あ、私は佐神ミレイと申します! 二十五歳です。ミレイと呼んでください!」


勢いよく名乗ると、公爵様――アレクセイ様は一瞬目を瞬かせ、少し気圧されたように眉を動かす。


「あ、あぁ……わかった。私のことも“アレクセイ”と呼んで構わない。……そうか、二十も離れているのか……」

どこか自嘲めいた笑みを浮かべるアレクセイ様。


――え? どうして少し寂しそうに笑うの?


胸がざわつく私に、彼は話題を変えるように問いかけてきた。


「……君は“渡り人”なのだろうか? 何か神託などはあったのか?」


オジサマプレゼントなんて……恥ずかしくて言えない!

だけど、女神ルミエールに“愛し子”と告げられたことだけは伝えよう。


「私は、女神ルミエールさまの“愛し子”だと……その証がこれです」


そう言って、胸元の印をぐいっと見せる。


その瞬間。

「……っ!」

アレクセイ様の顔がみるみる赤く染まり、視線を逸らした。


「わ、わかった! すぐに胸元を閉じなさい!」


「あっ……!」

ようやく自分が何をしているのかに気づき、慌てて胸元を押さえる。


――は、はしたない……っ!

顔が真っ赤になり、頭の中までぐるぐると熱が回る。


気まずい沈黙。

けれど、その沈黙すらも胸を締め付けるように甘く感じてしまうのだった。



---

初めて公爵様としっかり向き合うミレイ。

胸元の“愛し子マーク”で赤面するアレクセイ様と、気まずくも甘い沈黙……読んでいるだけで胸がときめきますね。


次回は、この気まずさをどう乗り越えるか、そして公爵様がどんな反応を見せるのかに注目です✨


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