第4話「冷徹公爵様のあーんと、女神ルミエールの登場!」
今日は公爵さまのギャップシーンです✨
世間では「冷徹で恐ろしい」と噂されるアレクセイですが、実際は……?
ミレイの胸キュンと、夢の中での女神ルミエール登場をお楽しみください!
館に入ると、執事やメイドたちが慌ただしく準備を整えていた。
だが、すぐに響いたのはアレクセイの低い声。
「風呂を用意しろ。……丁重にもてなせ」
きっぱりと告げられ、使用人たちは一斉に頭を下げて散っていく。
私は思わず彼を見上げた。
「そ、そんな……わざわざ……」
「汚れたままでは眠れんだろう」
冷たい声音なのに、不思議と胸が温かくなる。
やがて用意された浴室で、侍女たちの手を借りながら身を清めると、ふわりと柔らかな寝間着に着替えさせられた。
戻ると、テーブルには温かな料理が並んでいる。
「食べろ」
アレクセイが椅子を引き、私を座らせる。その仕草は威圧的なはずなのに、なぜか丁寧で。
スープを口に運ぼうとした瞬間――。
「……まだ震えているな」
そう言うと彼は、スプーンを手に取り、私の唇へと差し出した。
「……っ、公爵さま!? そ、それは……」
「口を開けろ」
逆らえず、思わず「はむ」と受け入れる。
――公爵さまに、あーんされてる!?
頬が熱くなって仕方がない。
なのに彼は当たり前のように淡々と、次の一口を差し出してくる。
「噛め。……そうだ、ゆっくり飲み込め」
その声音は冷たいはずなのに、まるで子どもに言い聞かせるように優しい。
されるがまま食事を終えると、アレクセイは私を寝台へと導いた。
「もう休め」
寝具を整え、私を横たえると、その手がそっと私の髪を払う。
「……怖がるな」
そう告げて、大きな掌で私の手を包み込んだ。
冷たい口調に隠された温かさ。
その温もりに守られながら、私は安らかに眠りに落ちた。
――すると。
まぶしい光が視界を包み、夢の中に現れたのは、キュルリンとした瞳の美しい女神。
きらきらと輝くオーラをまといながら、まるで舞台の上に立つアイドルのように笑みを浮かべる。
「はじめましてぇ☆ ミレイちゃん! 私、女神ルミエールって言いまーす!」
あまりのテンションに、私は夢の中だというのに呆然と固まったのだった。
読んでいただきありがとうございます!
アレクセイの「冷徹 → よちよち扱い」へのギャップ、楽しんでいただけましたでしょうか?
そして夢の中ではついに女神ルミエールが登場しました。テンション高めな彼女が、これから物語にどう関わってくるのか……次回をお待ちください!




