最終話「愛は永遠に――そして物語は幕を下ろす」
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
ついに、アレクセイとミレイの物語は結末を迎えます。
嵐を越え、想いを重ね、幸せを掴んだ二人の姿を――どうか最後まで見守っていただければ幸いです。
王子フェルナンドの暴走が収束してから、季節は幾度か巡った。
その後の出来事は、嵐の後の空のように清らかで、穏やかで、そして眩しいものだった。
アレクセイとミレイは、誰もが納得する形で正式に婚約を結んだ。
それは政略でも権力のためでもなく、ただ純粋に「互いを愛するがゆえ」の婚約だった。
二人が揃っているだけで自然と心が温まり、周囲の人々は微笑まずにはいられなかった。
婚約からそう間を置かず、二人は婚姻の日を迎える。
華美な披露宴ではなく、屋敷の中で行われた身内のみの小さな結婚式。
だがその場にあったのは、きらびやかな宝石にも勝る、深く、真実の愛の輝きだった。
王子フェルナンドもその場に姿を見せた。
一時は心を見失った彼であったが、今は清らかな眼差しで二人を祝福していた。
「……どうか、末永くお幸せに」
その言葉は、過去のわだかまりを越え、まっすぐに二人へと捧げられた祝福だった。
アレクセイはミレイの手を取り、誓いを立てる。
その姿に、参列した者たちは涙をぬぐい、口々に「これほどお似合いの二人はいない」と囁き合った。
そして時は流れる。
二人の間には、ミレイによく似た黒髪の女の子と、アレクセイに瓜二つの可愛い男の子が生まれた。
愛らしい子どもたちはすくすくと成長し、屋敷は常に笑い声と温かな空気に包まれていた。
だが、何より人々の目を引いたのは――時を経てもなお変わらない二人の仲睦まじさだった。
どれほど年月が過ぎても、ミレイとアレクセイは互いを思いやり、手を取り合い、まるで恋人同士のまま。
人目もはばからず微笑み合う二人の姿に、子供たちは顔を赤らめて呆れ声を漏らした。
「父上と母上は……もう、いつまで経っても……」
「仲良すぎて、見てるこっちが恥ずかしいんだよ!」
それでもその光景は、見守る全ての人々に「愛が永遠である」ことを信じさせる、揺るぎない証となっていた。
そして――天界。
雲の上からその様子を覗き込んでいた女神ルミエールは、頬杖をつきながら満足げに微笑んでいた。
「ふふん、なかなか良い感じにまとまったじゃない。二人とも幸せそうで何より♪」
けれども、彼女の視線はすぐに新たな方向へと移る。
「さて……次は誰にちょっかい出そうかな〜?」
キラリと目を輝かせ、彼女は空間を切り取るようにして、別の世界を覗き込む。
そこには、現代社会で平凡に暮らす一人の男子高校生の姿があった。
「うん、決めた!次はこの子にしよ〜っと! 女の子の体に転生させるとか……面白そうじゃなーい?」
無邪気で残念な女神の声が、天界に軽やかに響き渡る。
こうして一組の恋は見事に結ばれ、幸せな家庭として実を結んだ。
そして物語は、また新たな波乱の予感を秘めて――幕を下ろす。
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最後までお付き合いくださった皆さま、本当にありがとうございました!
アレクセイとミレイ、二人の恋はささやかな出会いから始まり、数々の試練を乗り越えて幸せを掴みました。
彼らの愛はこれからも永遠に続き、子どもたちや周囲の人々に温かな光を灯し続けることでしょう。
そして天界の女神ルミエールは、次なるターゲットを見つけてニヤリ。
もしかしたら新しい物語が始まる日が来るかもしれませんね……?
ここまで読んでくださったすべての方へ、心から感謝を込めて。
本当に、ありがとうございました!




