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若隠居のススメ~ペットと家庭菜園で気ままなのんびり生活。の、はず  作者: JUN


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過去との再会

 また会おうと言って別れ、エルゼの家から地下室へ戻って来た僕達は、遠足か何かから帰って来たような気分だった。

 採って来た薬草や木を地下室に移植し、武具の手入れをして片付ける。

「明日はマンションの件で不動産会社に行くんだろ?」

「うん。最終確認でね。これが終われば、後はもう楽になるはずだよ」

「だといいな」

 チビが冗談めかして言い、夕食になった。


 翌日は、入居希望者の募集や入居者の選定、賃貸料などの件で話をし、ほかの色々な事を決めて契約を交わした。

 今は一時的に借金が膨らんでいる。考えたくもない金額ではあり、とても、隠居などしていられない状況に思える。

 しかし、マンションが上手く行けば20年で全てのローンが完済される計画だし、家庭菜園の薬草や果実など、他にもポーションや魔道具が上手く売れるようになれば、本当に楽隠居も夢じゃない。

 それもこれも、マンションの裏のダンジョンが安全なまま攻略されずにあり続けてくれなければ困るし、早い所、地球でも色々なポーション類がもっと出てくれなければ、日本では売るに売れない。

 祈るような気持ちで、印鑑を押した。

 これで終わりと立ち上がり、ついでに協会の売店を覗いて来ようと幹彦と連れ立ってダンジョンのそばにある協会へ向かった。

 が、そこで思わぬ人物と会った。前の職場で同僚だった人だ。

「麻生先生?うわ、久しぶりです!」

 解剖医としての免許を取り立てだった若い医師で、柴という名の犬のような人だ。

「柴君。久しぶりだなあ。どうしたんだ?医者は辞めたのか?」

 見るからに駆け出しの探索者という感じなのでそう訊くと、

「魔物による外傷とかもこれからは出るでしょう?だから、一度は魔物を直に見ないといけないって事になって。それで、若い奴が行けって」

と、そう言いながらも、楽しそうに笑った。

「こちらは同じパーティーの方ですか」

「周川幹彦。幼馴染で、一緒に住んでもいます」

 幹彦がにっこりと笑いながら手を差し出すと、

「うわあ、噂の!本当にカッコいい!

 よろしくお願いします!柴 耕助です!麻生先生の後輩で、随分お世話になりました!」

と柴君も笑って手を握り返す。

 僕も幹彦も、柴君の言葉に首を傾げた。

「噂って何?」

「あ、ヤベ。

 ああ、気にしないで下さい。その、ちょっと引率の探索者グループの人に聞いてたんで」

 柴君は笑って頭を掻いた。

 何だろう。まあいいか。マンションの件で知られたのかも知れないな。

「それよりも聞きました?西野さんが里中先生に婚約破棄されたんですよ」

 声を潜めて柴君が言い、僕は驚いた。

「里中先生、女性関係が派手で。検査に来たモデルといい仲になって、西野さんは捨てられたんですよ」

 幹彦がフッと唇の端で笑った。

「まあ、同情はあんまりしないな」

 言うと、柴君は嘆息した。

「先生は人がいいんだからなあ。皆は『ザマア見ろ』って言ってますよ。

 その西野さんも、このダンジョン体験のグループに立候補して入ってます。後は、救急の先生と外科の先生と看護師と」

「確かに必要だな」

 ううむと頷く。

 幹彦は

「ここのダンジョンを使うのか?だったらここには来ない方がいいか。あんまり会いたい相手でもないだろ、史緒」

と言う。

 が、遅かったようだ。

「麻生先生!」

 背後から声がかけられ、振り返れば、上目遣いで目をウルウルさせる西野さんが、ほかの先生達や同期の女性探索者達と立っていた。

「やあ、久しぶり。君達そう言えばパーティー組んだんだっけ」

 幹彦が営業的笑顔で言うと、同期の彼女らはにこにこと応えた。

「はい!ミキ・フミも相変わらずで!」

 知らない所で、あだ名で呼ばれていたらしい。

「皆もお久しぶりです」

 一応元は顔見知りのスタッフたちだ。僕はそう言ってなんとなく頭を下げると、彼らも頭を下げた。

 しかし、どこか空気は、西野さんを中心にぎこちなかった。






お読みいただきありがとうございました。御感想、評価などいただければ幸いです。

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[良い点] 更新、楽しみにしてます! [気になる点] 腐女子&貴腐人の皆様が、自称ヒロイン気取りさんのペラッペラな化けの皮を剥ぎ取るまで、あと何分かな?(期待) [一言] あ、ちなみに私の剥ぎ取り最…
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