若隠居のおつかい(3)
モリムは大笑いした後、
「気に入った!いいぜ、おもしろそうだ。盾を作ってやろう」
と宣言した。
しかし、問題があった。素材だ。いくつか必要だが今はここにない素材があり、それを入手して来いということだった。
「ええっと。鉱石のアダマンタイトと、氷スズランのつぼみの中に溜まる液体、ドラゴンのうろこ、か」
メモを見て読み上げる。
「アダマンタイトは、そこの鉱山にあるのはわかっている。恐ろしく岩盤が固くて掘り出すのが大変なだけで、それさえどうにかなるなら、これは簡単だ」
幹彦がつるはしにしたサラディードでちょっと掘れば、出てくる気もする。
「氷スズランのつぼみって何だ?」
幹彦が訊くのに、モリムが答えた。
「極寒の山の頂上に咲く花で、つぼみの中には凍らずに水が溜まっているんだ。これは触媒として優秀だから入れるという意味もあるが、入れると氷属性が付く」
それを聞いた幹彦は、目を輝かせている。今度自分でもやってみる気らしいな。
「最後はドラゴンのうろこだね」
「ドラゴンは、上手く巣に入って取ってくるしかないな。砂浴びをする場所に行けばあるだろうが、見つかったらただじゃ済まんぞ」
モリムと同じようにポポも唸り、幹彦は目を輝かせていた。
「時間的にも急がないといけないしな。アマダンタイトの位置がわかっているなら、そっちをポポがやるのがいいだろうな。その間にドラゴンのうろこと氷スズランのつぼみをこちらで取りに行くのがいいのではないか」
チビが言いながらも、どこかそわそわと尻尾を緩く振っている。
こいつら……ドラゴンと戦いたいんだな、と僕にも嫌というほどわかった。
「まあ、それが妥当だろうな。
それでいいか、史緒」
「いいよ」
まあ僕も、興味がないとは言ってない。
「決まりだな」
そうと決まればと、お互いに出発する。
ポポは頑丈なアダマンタイト専用つるはしを借り、坑道へと向かった。
僕たちもすぐに出発した。まずは気もそぞろになるから、ドラゴンからだな。
ドラゴンは巨体だ。その体は硬いうろこに覆われていて、圧力や熱にも強い。そして、ドラゴンの体自体が魔力を生み出しているとも推測されているそうだ。
そんなドラゴンだが、魔力が溜まりすぎるのも悪いらしく、たまに砂に体をこすりつけて過剰分の魔力を捨てるそうだ。それがドラゴンの砂浴びというものらしく、砂に残った魔素は段々と時間が経つにつれて薄れていくらしい。
そんな事を調べた後、僕たちはドラゴンが砂浴びをした直後、またはしそうなドラゴンを探していた。
魔力をチビと幹彦がサーチして、異常に高くて動かないところがあると、そこが砂場の可能性が高いということだ。
「あったぞ!」
幹彦が声を上げ、幹彦は前剣聖を倒して得た飛ぶマントを着けて飛び上がり、チビたちは合体して飛び上がり、僕は魔術で飛び上がり、幹彦の掴んだ高魔力の所へと急いだ。




